仙骨を動かすことで脳脊髄液が元気になる!
私たちの体は体液に守られています。体液としてすぐに思いつく「血液とリンパ液」に加えて、最も重要なのが脳脊髄液です。このあまり知られていない脳脊髄液が正常に保たれていないとさまざまな体の不調が現れます。
※脳脊髄液と不調については第2回参照。
「私たちの健康維持のポイントのひとつは、いかにこの脳脊髄液の生成・循環を最適な状態に保つか? です。そのためには、そこにかかわっているポンプ役である『蝶形後頭底結合』が上手に動いていることが大切です。
蝶形後頭底結合は頭方向と足方向にわずかに動くことで、脳脊髄液の生成・循環が行われます。そして、その動きは仙骨と連動しています。
例えば、蝶形後頭底結合が頭方向に動くとき、仙骨は鉛直軸(えんちょくじく・水平面に対して垂直な軸)で小さくねじれるように動きます。このふたつの連動を応用すると、仙骨を動かすことで蝶形後頭底結合も動きます。
あお向けになり両足を同時にワイパーのように動かすと、仙骨は鉛直軸で小さくねじれるように動きます。このときに同時に蝶形後頭底結合が動き、脳脊髄液が生成されます。
そして、蝶形後頭底結合が足方向に動くとき、仙骨は前後軸で小さくねじれるように動きます。同様にこれを応用して、あお向けになり左右の足を交互に足先方向に押し出すように動かすと、仙骨は前後軸で小さく動きます。このとき、脳脊髄液の循環が促されます。
この原理に沿って、足の小さな動きで仙骨を動かすことで、強制的に蝶形後頭底結合のポンプを動かそうというのが『モゾモゾ体操』の発想です」(片平悦子さん)
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脳脊髄液の生成・循環を最適化する「モゾモゾ体操」
これはあお向けになって、足を小さく動かす体操です。
【1】 あお向けになり、両手のひらで骨盤を包みます。
【2】 息を吐きながら、片足をごく小さく足先の方向に押し出します。その足を元に戻しながら、もう片方の足を押し出します。こうして両足を左右交互にモゾモゾと押し出します。
押し出す幅は1cm以内とごく小さく、ゆっくり行ってください。これにより、脳脊髄液の循環を促します。
【3】 両手をあごを包むように当て、あごを天井方向に1回動かします。
こうすることで、脳と脊髄の境にある硬膜を緩めることができます。
【4】 かかとを支点にして、両足を同時に車のワイパーのように左右に振ります。
これを10回ほど繰り返します。これにより脳脊髄液が生成します。
【2】、【3】、【4】を3回繰り返します。忙しいときは1回でもOK!
【5】 最後に、1で終了します。
朝起きてすぐと、就寝前に1セットずつ行うのが理想的。つらい症状が消えるまで毎日行いましょう。症状が消えたら、思い出したときに行う程度でOKです。
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「モゾモゾ体操」の効果アップポイント
それはゆっくり小さく動かすことです。
理由1:
脳脊髄液のポンプ役である蝶形後頭底結合は、1回の動きに5〜10秒かかります(個人差があります)。そのため、ゆっくり動かしたほうが効果的。
理由2:
仙骨は腸骨に挟まれているので、ほんの少ししか動くことができません。その可動域に合わせて小さく動かすのがベスト。
「『モゾモゾ体操』は、ある日ポーンとインスピレーションが降りてきました。朝と晩に布団の中で、両足を小さくモゾモゾ動かすだけなのですが、私自身、これを3カ月毎日続けたら、疲労や頭痛、乗り物酔いなどの不調は全部きれいに消えてしまいました。
脳脊髄液の生成・循環にかかわる蝶形後頭底結合を自分で調整するのは難しいのですが、そこと連動している骨盤にある仙骨を調整することは可能です。それが両足を小さく動かす『モゾモゾ体操』なのです。
ぜひ、ふたつのポイントを守って、朝晩に布団の上でモゾモゾしてみてください」
【教えていただいた方】

一般社団法人日本パーフェクト整体普及協会(JPSA)代表。赤門鍼灸柔整専門学校(現、仙台赤門医療専門学校)卒業後、東北大学や金沢大学医学部で2年間の解剖学実習研究生を経て、1986年に仙台市にて鍼灸院を開業。25年の整体師経験からパーフェクト整体®️3大メソッドを確立し、2012年に上京。パーフェクト整体のリアルの講座は500人以上、オンライン講座では3000人以上が受講。著書は10冊あり、累計17万部を超えている。
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イラスト/かくたりかこ 取材・文/山村浩子