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育った地域や心理状態は滑舌に表れる

脳の老化を防ぎ、認知症予防にも役立つと、今、注目されている「早口言葉」。日本語は他言語にはない、高度な言語力が求められるといいます。その日本語の特徴とは? その特徴を伸ばすのに役立つ「早口言葉」とは? 脳機能研究の第一人者で認知症に詳しい、神経内科臨床医の福山秀直先生と、演技トレーナーの佐藤正文さんに伺いました。

世界で最も難しい日本語で脳をフル回転!

日本語は難しい…そんなことを聞いたことはありませんか?

 

「日本語は、ひらがな46文字、カタカナ46文字、漢字は常用漢字だけでも2000文字以上あるといわれています。それに比べて、西洋の言葉はほぼアルファベット26文字だけです。日本語の表記は世界で最も習得が難しいといわれており、それを身につけている日本人は世界でも極めて高い言語能力を持っているといえます。

 

『早口言葉』はこうした文字を解読して、意味を理解しながら発音していくことが大事です。これにより、言語を司る脳の『前頭前野』を活性化するのにおおいに役立つと思います」(福山秀直先生)

 

脳の仕組みに関しては第1回参照。

 

母音の発音を磨くことが早口言葉上達のポイント!

 

まず、下記の早口言葉を言ってみましょう。

 

早口言葉 青い絵 イラスト

【早口言葉】
青い家に合う、いい青い絵

「実はこれをきちんと発音するには、母音の発音をしっかり言わないとなりません。日本語の共通語で使われる音は120~130ありますが、「ん」を除いて、すべて母音で終わります。

日本語の母音はご存じのとおり、「あいうえお」の5つ。

 

この母音の発音を磨いておくことが、早口言葉を上達させる大きなポイントになります」(佐藤正文さん)

 

記事が続きます

 

次に、母音を強化する体操として、「いえあおう」を10回言ってみましょう。

 

「『いえあおう』と発音するときは、口の開き方とともに、舌がイラストにように動きます。それぞれの舌の動きをみてみましょう。

 

【母音発音の三角形の標準】

早口言葉 母音 舌の位置 標準 イラスト

「い」を発音するときは、唇を横に引き、喉の奥を開いて舌の位置は上あごの近くに。

「え」は、唇を横に引いたまま、舌は「い」と「あ」の中間くらいに。

「あ」は、人差し指と中指が入るくらいにあごを開き、舌もあごとともに下げます。

「お」は、上下の歯の間に指1本入る程度にあごを開き、唇を丸めて、舌の奥のほうを「あ」のときよりも後方に突き上げます。

「う」は、あごは「お」と同じに開き、唇は「お」のときよりもすぼめます。舌は奥のほうを高くして、口の奥の天井に近づけます。

 

この『いえあおう』体操を行ったあとに、もう一度、上の早口言葉を言ってみてください。少しスムーズに言えるようになっていませんか?

 

舌を動かす位置によって、気分も変わる!?

「この『母音発音の三角形』の位置は、日本の中でも地域によって異なります。

 

【母音発音の三角形が奥にある場合】

早口言葉 母音 舌の位置 奥にある イラスト

 

例えば、東北の人は、舌を口の奥のほうで動かして話す傾向があります。

試してみると、少しこもったような発音になりませんか? これが東北弁に特徴的な『し』と『す』の発音がはっきりしない発音になります。

 

記事が続きます

 

【母音発音の三角形が前にある場合】

早口言葉 母音 舌の位置 前にある イラスト

 

一方で、逆に舌を口の前のほうで動かして話す傾向があるのが、関西の人です。

 

面白いことに、こうした舌をどこで動かすかは、気分や性格、心理状態にも影響があるといいます。

 

 

例えば、気後れしたり憂鬱な心理状態のときは舌を奥のほうで動かし、快活でうれしい心理状態のときは前のほうで動かします。

 

これを逆に応用すると、ちょっと気落ちして元気が出ないときには、あえて舌を前のほうで動かして発音してみると、気分が晴れてくる可能性があります。

 

気分が落ち込んだときは、嘘でも口角を上げると元気になるといわれています。これに併せて、話すときに舌を前のほうで動かすように意識してみます。本当に気分が変わってくるか? ぜひ、試してみてください」

 

 

 

【教えていただいた方】

福山秀直
福山秀直さん
医学博士、神経内科臨床医

市立野洲病院相談役、京都大学名誉教授。1975年京都大学医学部卒業。2001年高次脳機能総合研究センター教授に就任。PETやMRIなどを活用して脳内の機能を画像化するなど、脳機能研究の第一人者。認知症の研究にも取り組み、現在は、京都市内の病院で神経内科の臨床医として認知症治療にも尽力している。共著に『「早口ことば」で認知症予防』(ART NEXT)など。

佐藤正文
佐藤正文さん
演技トレーナー、演出家、俳優

1970年桐朋学園大学演劇専攻科卒業。劇団 俳優座、安部公房スタジオを経て日本大学芸術学部非常勤講師、尚美学園大学客員教授。大手芸能プロダクションで演技レッスンを担当し、多数の俳優を育成。ほか、アマチュア劇団や朗読サー クルなどで、高齢者を含め約5000人を指導。トレーニングのひとつとして「早口言葉」を取り入れている。共著に『「早口ことば」で認知症予防』(ART NEXT)など。

 

協力/「早口ことば」で認知症予防(ART NEXT)

早口ことばで認知症予防 書影

 

 

イラスト/midorichan   取材・文/山村浩子

 

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