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【脱!昭和の健康常識】「カロリーを減らせば痩せる」は、間違いだった!

「太るのは食べすぎ」「カロリーを減らせば痩せる」──そう信じて、こんにゃくや寒天、ノンオイルに走った昭和のダイエット。でも実は今、科学はその“常識”にNOを突きつけています。カロリーを減らしても痩せない理由とは? 機能性医学の専門医・斎藤糧三先生が、最新の「痩せるロジック」を紐解きます。

昭和女子の「カロリー至上主義」、まだ引きずってません?

 

こんにちは。斎藤糧三です。
「機能性医学」を専門に、日本機能性医学研究所の所長を務め、表参道のクリニックで診療しています。

 

昭和・平成の時代、ダイエットといえば「カロリーを減らすこと」。多くの人がそう信じて疑いませんでした。

 

お米と野菜中心の“ヘルシー食”で、お肉や油はできるだけ避ける。お昼はおにぎりだけ、夜は野菜炒めですませる。飲み物はダイエットコーラ、飴は低カロリーキャンディ。とにかく「カロリーが低い」ものばかりを選んで食べるのが、正しい努力とされていたんです。

昭和の健康常識 カロリーを減らしても痩せない OurAge

実際、若さのパワーでそれでも痩せはしたけれど、すぐにリバウンド。栄養が足りていないから、冷え症、肌あれ、月経不順も当たり前。それでも「もっと減らさなきゃ」と、食べることを悪者にしてしまったり。

 

そもそも、「カロリー信仰」はどこから来た?

 

「とにかくカロリーを減らすのが正解」。

この思い込み、実は戦後の「栄養失調対策」から始まっています。戦後まもない日本では、栄養不足による病気や発育不良が大きな社会問題でした。

 

医療や行政の現場では、「どれだけエネルギー(カロリー)をとれているか?」をチェックして、足りないものを補うことに必死だったんです。

 

その時代に広まったのが「1日に〇kcal必要」「これを食べれば何kcalとれる」といった考え方。

 

「カロリーで栄養を測る」という発想です!

昭和の健康常識 カロリー信仰 カロリーと栄養の違い

もともとは「ちゃんと食べて、命を守る」ための考え方だったはずなんですけどね。

 

ところが! 昭和も終わりに近づくと、時代は大きく変わります。今度は、栄養のとりすぎ=肥満や生活習慣病が問題になってきた。

 

でも、カロリーという物差しだけがそのまま残ってしまった。「食べすぎ=カロリーオーバー」「痩せたいならカロリーを減らせばいい」と。背景の変化を無視したまま「カロリー」だけが再利用されてしまったわけです。

 

記事が続きます

太るのは「摂取カロリー」のせいじゃなかった!

 

2000年代に入り、ようやく見えてきた新しい視点があります。それは、太る原因は“カロリーのとりすぎ”ではなく、“インスリンの出すぎ”だったということ。

 

ヒトは、糖質をとると血糖値が上がります。体はそれを下げようとして、すい臓から「インスリン」というホルモンを分泌します。

 

このインスリンは、「血糖値を下げる」という役割のほか「余った糖を脂肪に変えて体にため込む」という働きもしているんです。

 

つまり、食べたもののカロリーの合計ではなく、“その中にどれだけインスリンを刺激する糖質が含まれているか”が、太るかどうかを左右する。

 

ここを知らないと、「カロリーは抑えてるのに太る」「脂っこいものは避けてるのに痩せない」。そんな“報われないダイエット地獄”に迷い込んでしまいます。

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例えば、おにぎり2個と赤身ステーキ200gでは、どちらも約500kcalです。でも、おにぎりには80g以上の糖質が含まれ、ステーキの糖質はほぼゼロ。糖質が多ければインスリンの分泌も増えます。

 

カロリーは同じでもおにぎりのほうが脂肪をため込みやすい──つまり、太りやすいということ。

これでもまだカロリー信仰、続けますか?

 

食べなきゃ痩せる?──いや、逆に太ります!

 

そして極端なカロリー制限は、体を“省エネモード”にしてしまいます。栄養が入ってこない状態が続くと、体は「飢餓だ!」と判断し、代謝を落として脂肪をため込みやすくなる。命を守るために、エネルギーの消費を減らそうとするんです。

 

さらに、食べない時間が長くなればなるほど次に何かを食べたとき、血糖値がドカーンと上がり、インスリンがドバドバ

 

結果、またしても…

脂肪をため込む流れに!!

 

こうなると筋肉は減り、冷えやすくなり、代謝はさらに悪化。「食べてないのに太る…」という人の多くは、まさにこの状態です。

 

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「カロリー」って、実は試験管の中の話

カロリーとは、食べ物を“燃やしたとき”に発生する熱量を数値化したもの。つまり、試験管の中で燃やして測ったエネルギーです。でも、人間の体は試験管じゃありません。

 

私たちの体では、常に「代謝」という複雑な仕組みが働いています。心拍を維持したり、体温を調節したり、細胞を入れ替えたり。見えないところで、ものすごい量のエネルギーが使われているんです。

 

しかも、そのエネルギー消費量は人によっても違うし、状況によっても変わる。寒い日、疲れているとき、筋肉量が多い人、ホルモンバランスが変化しているとき。同じ「500kcal」を食べたとしても、どれくらい吸収されるか、どう使われるかはバラバラです。

昭和の健康常識 カロリー信仰 痩せない ダイエット

だからこそ、「カロリーが少ない=太らない」「カロリーが多い=太る」とは、一概に言えません。

 

見るべきは、“数字”より“反応”!

 

同じ数字でも、結果は人それぞれです。食べたものに体がどう反応するか。そこに目を向けるのが、これからの新常識。

そろそろ、その“カロリー信仰”、手放していい頃かもしれません。

 

■まとめ■ 令和の常識はこれ!

昭和の常識:「カロリーさえ抑えれば、痩せられる!」

令和の常識:「太る・痩せるは“ホルモンと代謝”が決めている!」

 

同じ500kcalでも、体がどう反応するかで結果はまったく違う。もはや「カロリー」だけでは語れない時代に突入!

 

 

【教えていただいた方】

斎藤糧三
斎藤糧三さん
医師/日本機能性医学研究所所長
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1973年生まれ。日本医科大学卒業後、産婦人科医に。その後、美容皮膚科治療、栄養療法、点滴療法、ホルモン療法を統合したトータルアンチエイジング理論を確立。2008年「日本機能性医学研究所」を設立(2009年に法人化)。2017年、スーパーフードとしての牧草牛(グラスフェッドビーフ)の普及を目指し、日本初の牧草牛専門精肉店「Saito Farm」をオープン。2022年、機能性医学と再生医療を融合させた治療拠点として「斎藤クリニック」を開設。著書に『サーファーに花粉症はいない』(小学館)、『糖質制限+肉食でケトン体回路を回し健康的に痩せる!ケトジェニックダイエット』(講談社)、『病気を遠ざける! 1日1回日光浴 日本人は知らないビタミンDの実力』(講談社+α新書)ほか多数。斎藤クリニックSaito Farm

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イラスト/小迎裕美子  取材・文・画像制作/蓮見則子

 

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