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【脱! 昭和の健康常識】「紫外線=とにかく防げ」は、間違いだった!

「日焼け=悪」とされ、紫外線カットが常識になったのは、昭和の終盤から平成にかけて。でも、その結果として「ある栄養」が足りなくなっている人が激増中! 花粉症や不眠症、骨粗しょう症や骨軟化症、赤ちゃんの体の異常まで、実はそれが関係していた! ──機能性医学の専門医、斎藤糧三先生が吠えます!

医者だって信じて疑わなかった「紫外線=悪」神話

昭和の健康常識 昭和の常識 紫外線は体に悪い ビタミンD きゅうりパック

こんにちは。斎藤糧三です。

「機能性医学」を専門に、日本機能性医学研究所の所長を務め、表参道のクリニックで診療しています。

 

実は私も昔は「紫外線は肌の敵」だと信じて疑わない側でした。

 

でも、2007年、アメリカで機能性医学を学び始めたとき──。

 

「紫外線=悪」これは思い込みかもしれない、と気づいたんです!

 

ビタミンDという栄養の重要性を知り、多くの人が不足している深刻な現実を目の当たりにしたからでした。そのときの衝撃といったら、もう…医者人生の中でもトップ3に入るレベルです。

 

肌に悪いからと紫外線を避けていた自分自身が「ええっ、ビタミンD、作れてないじゃん!」とパニック。

 

結局、自分でサプリを開発するまでに至りました。おかげさまで今では「ビタミンDおじさん」とまで言われるように…(笑)。

昭和の健康常識 紫外線=悪 ビタミンD

「日焼け=悪」はいつから常識になった?

 

紫外線はとにかく避けるべきもの、という発想が一般化したのは昭和の終盤。バブルの足音が聞こえてきた1980年代後半あたりからです。

 

それまでは「日焼け=元気で健康的」「真っ黒になってる子=よく外で遊ぶいい子」って言われてましたよね。ところが、この頃から化粧品会社がこぞって「紫外線=肌の敵」とアピールし始め、「日焼け止め」「UVカット」などの言葉も定番に。やがて「光老化」「UVケア」といった専門ワードも登場し、平成では美容の常識になっていくわけです。

 

家庭ではきゅうりパックにレモンパック、小麦粉パック…。今考えたら「なんだそれ、絶対NO!」 と思うけれど、真面目にやってましたよね。顔にレモンですよ! ピリピリするのに「効いてる〜」って。ダメでしょ、それ。

昭和の健康常識 レモンパック 美白 

紫外線は「A波」「B波」で働きが違う!

紫外線って、全部が全部「悪者」ではないんです。「UVA(A波)」と「UVB(B波)」という、まったく働きの違うふたつがある。

 

A波は、肌の奥まで届いてシワやシミの原因になるやっかいなやつ。一方のB波は、肌表面に作用して赤くなったり日焼けの原因になったりする。

 

でも、このB波がビタミンD作りに欠かせない!

 

そもそもビタミンDは、食べ物からでは十分補えず、紫外線(特にB波)を浴びて皮膚が自力で作るという特殊な栄養なんですよ。なのに「肌に悪いから」と、日焼け止めやUVカットグッズでB波までブロックしてしまったら…ビタミンDは作れない。

 

美容を守るために、健康の土台を削ってた!

──そういう話です。

昭和の健康常識 紫外線波悪 ビタミンD 紫外線ガード

紫外線を避けすぎた結果、今何が起きている?

紫外線を敵視しすぎた日本では、今、ビタミンD不足が社会現象レベルに。2023年に発表された東京慈恵会医科大学の研究調査は、

【98%の日本人のがビタミンD不足に該当】

という衝撃的なものでした。

The Journal of Nutrition誌 Volume 153, Issue 4, p1253

 

肌を守るために日光を避けた結果、体の中で何が起きたか?

【ビタミンD欠乏】がもたらす深刻な影響

■免疫力の低下
花粉症、アレルギー、感染症の増加。ビタミンDは「免疫の調整役」だからです

 

■メンタル不調
うつっぽさ、不眠、イライラ。脳内のセロトニン合成にもかかわっているから、気分に直結

 

■骨の異常
栄養失調の時代の病気だった、ビタミンD欠乏による「くる病」「骨軟化症」が今また増加中。更年期以降では骨粗しょう症も加速

 

■赤ちゃんへの影響
妊婦のビタミンD不足は胎児の骨の形成に影響。生まれた赤ちゃんの頭の骨が柔らかすぎて、指で押すとペコペコと凹む状態(くる病の症状)が増加

 

ほらね、肌どころじゃない話でしょう? ビタミンDは「今すぐの健康」だけじゃなく、「未来の子どもたちの健康」にもかかわっているんです。

昭和の健康常識 ビタミンD不足 頭蓋癆 紫外線は悪

美容か? 健康か? その前に「バランス」を

もちろん、紫外線のダメージを軽視するわけじゃありません。でも、肌を守ることと健康を守ることは両立できる時代になってきたんですよ。

 

実際、環境省などの公的機関も「紫外線に注意しつつ、適度な日光浴でビタミンDを」という方針を出しています。つまり、お上でさえ「ちょっと日光浴びたほうがいいよ」って言い始めてるわけ。

 

さらに、「solarD(ソーラーD)」というめちゃめちゃ優秀な日焼け止めも登場しています。これ、ビタミンDの生成に必要なB波の一部だけは通して、肌に悪影響を与える波長はカットするという優れモノ。

 

私からもおすすめします!

 

■まとめ■ 令和の常識はこれ!

昭和の常識:「紫外線=悪。とにかく防げ!」

令和の常識:「全部防ぐのはNG。ビタミンDを作るために適度な日光浴を」

 

【教えていただいた方】

斎藤糧三
斎藤糧三さん
医師/日本機能性医学研究所所長
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1973年生まれ。日本医科大学卒業後、産婦人科医に。その後、美容皮膚科治療、栄養療法、点滴療法、ホルモン療法を統合したトータルアンチエイジング理論を確立。2008年「日本機能性医学研究所」を設立(2009年に法人化)。2017年、スーパーフードとしての牧草牛(グラスフェッドビーフ)の普及を目指し、日本初の牧草牛専門精肉店「Saito Farm」をオープン。2022年、機能性医学と再生医療を融合させた治療拠点として「斎藤クリニック」を開設。著書に『サーファーに花粉症はいない』(小学館)、『糖質制限+肉食でケトン体回路を回し健康的に痩せる!ケトジェニックダイエット』(講談社)、『病気を遠ざける! 1日1回日光浴 日本人は知らないビタミンDの実力』(講談社+α新書)ほか多数。斎藤クリニックSaito Farm

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イラスト/小迎裕美子  取材・文・画像制作/蓮見則子

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