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アルツハイマー、糖尿病…歯周病は全身の不調とつながっていた!

歯磨きをしていて、ちょっと血が出た。歯ぐきが腫れている気がする…。それ、甘く見てはいけません。静かに進行する歯周病は、アルツハイマー病や心臓病、糖尿病など全身の不調と深く関係しています。歯科医師の塚原妹美先生とともに「歯ぐきから始まる健康の話」、今日から始めましょう。

【教えていただいた方】

塚原妹美
塚原妹美さん
歯科医師
公式サイトを見る

歯学博士(再生医療)。医療法人社団宏礼会 塚原デンタルクリニック勤務。医療法人社団宏礼会 行徳TM歯科院長。歯科衛生士学校で講師を務めたり、新聞でコラムを担当するなど、歯科医院へ行くことの重要性を訴える歯科医師。 塚原デンタルクリニック 行徳TM歯科

歯周病は感染症! ただの歯ぐきトラブルと見くびらないで

歯周病って、「歯ぐきが弱っていく病気」だと思っていませんか? 歯周病は「歯周病菌」という細菌が起こす、れっきとした感染症です。

 

風邪やインフルエンザのように熱や痛みが出るわけじゃない。歯ぐきの奥で静かにじわじわと炎症が進んでいく。それだけでなく、血液を通して全身に歯周病菌の感染が広がっていく可能性もあります。

 

「最近では、歯周病菌がアルツハイマー病に直接影響を及ぼしていることが、多くの研究で明らかになってきています。普通は脳には菌なんて入れないものなんですけれど、歯周病菌は血流に乗って脳のバリア(血液脳関門)をすり抜けるほど強力。

 

脳だけでなく、すい臓、心臓、大腸、肺…、歯ぐきの問題がそんなところにまで及ぶなんて、にわかには信じられないかもしれません。でも本当なんです。40代50代は、この怖い歯周病菌とそろそろ真剣に向き合わなければならないときだと思います」

 

そう教えてくれるのは、「お口は健康の入り口」が口グセの歯科医師 塚原妹美さん。

 

歯周病は万病のスタート地点!? 歯と歯ぐきから始まるドミノ倒し

 

痛くもない。熱もない。気がつけばすでに進んでいた…。それが、歯周病という静かな病気の怖さです。

 

歯磨きで出血する。
口臭が気になる。
歯ぐきがむずがゆい、痛い。
歯ぐきが赤く腫れている。
歯と歯の間に隙間ができた。
食べ物が挟まりやすくなった。
歯が長くなったような気がする。

 

こんな自覚症状がある場合、もうすでに歯周病が進んでいると考えられます。さらに怖いのは、歯ぐきの不調が全身の深刻な病気の始まりになっていること!

 

記事が続きます

指摘されるきっかけになったのが、「メタボリックドミノ」という考え方です。

メタボリックドミノ 歯周病 OurAge

メタボリックドミノとは、生活習慣の乱れがドミノ倒しのように不調を招き、さまざまな病気や感染症を引き起こしていく、という負の連鎖をたとえたもの。20年以上も前に、慶應義塾大学の伊藤裕教授が提唱しました。

 

「近年、メタボリックドミノの最上流、スタート地点にあるのが虫歯や歯周病だとされています。歯周病は、体中の多くの病気を誘発させることが明らかになってきたためです。

 

特に糖尿病とは相互に悪影響を与え合う関係で、“鶏が先か卵が先か”のような悪循環に陥ります。さらに、最近では大腸がんや誤嚥性肺炎との関係も報告されているんですよ。

 

『歯周病=歯を失う』という認識ではなく、『歯周病=命にかかわることもある』という理解が必要だと思います」

 

90秒で全身へ! 歯周病菌が血液に乗るとき

 

侮ってはいけないのが、歯磨きやフロスのときの出血。

 

歯周病菌はプラーク(歯垢)の中に棲みついています。歯磨きで磨き残しがあると、プラークは厚く重なり硬くなっていく。

 

歯周病菌は空気がないところが大好きなので、プラークが厚くなるほど喜んで増殖し、より歯ぐきの奥へ入り込みます。

 

「そんなとき、歯ブラシやデンタルフロスなどで歯肉が傷つき、出血してしまったら…?  歯周病菌は血液に乗ってわずか90秒後には全身に回ってしまうというデータもあります。歯周病菌がすい臓に届けば糖尿病、心臓に届けば心疾患、脳に届けばアルツハイマー型認知症、大腸まで届けば大腸がん――。

 

がんと歯周病。一見無関係に見えて、世界中の研究者が注目している意外なペアなんです」

歯周病菌は全身へ OurAge 歯周病菌

 

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歯周病菌は大腸まで届き、腸内環境を悪化させる! 

 

口から肛門まで、消化管は1本の管でつながっています。普通は胃酸で多くの菌が死滅するので、歯周病菌が腸に届くことはほとんどないはずです。

ところが、近年はそこにも落とし穴が!「胃酸を抑える薬(PPIなど)」の服用です。

 

「胃酸を抑える薬を飲んでいると、歯周病菌が生きたまま腸まで届いてしまうことがあります。特に40代〜50代の女性は、慢性的な胃の不調を抱える人が多く、逆流性食道炎にもかかりやすい年齢。この薬を使っている人が多く、腸内環境が悪化しているケースも少なくありません」

 

つまり、「腸まで届くはずがないと思っていた歯周病菌」が腸に棲みつき、腸内細菌のバランスをくずしている可能性があるということです!

 

「歯周病が進んだ人は腸のコンディションもよくないと思って間違いないでしょう。逆に腸内環境が悪い人は、だいたい歯周病になっています。私が患者さんに腸内環境について質問することがあるのはそのためなんです」

 

後悔しないよう正しく知って!  歯周病は自分で守れる病気

 

「心配になったら一度、歯科医院で歯周病かどうかを診てもらいましょう。場合によっては歯科治療が必要なこともありますが、たいていはセルフケア、つまり歯みがきの指導を受けていただくことで改善していきます。

 

正しい磨き方を知って毎日コツコツ続けること。単純ですけれど、まさにこれが歯周病予防の基本です」

 

健康を守る、その入り口はもしかしたら歯ぐきかもしれない。今日の自分に、ちょっと問いかけてみませんか?

 

 

イラスト/内藤しなこ   取材・文/蓮見則子

 

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