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セルフチェック&診断でわかる! あなたの歯周病リスク

口の中のネバネバ、歯ぐきのムズムズ…。それ、歯周病のサインかもしれません。セルフチェックで確認し、気になることは歯科医院で検査と診断を。進行度やリスクの見極め方を、歯科医師の塚原妹美先生がやさしく解説します!

こんな症状があれば要注意! 今すぐできるセルフチェック

「歯ぐきの腫れに気づいた」「歯磨きやフロスで出血した」など、スルーしてしまいがちな歯ぐきの小さな異変。そんなサインが実は歯周病の始まりだった──ということも少なくありません。

 

「まだ大丈夫」と思っているうちに静かに進行する病気だからこそ、見逃したくない変化があります。

 

まずは自分の状態をチェック。いくつ当てはまるか見てみましょう!

歯周病 セルフチェック チェックリスト あなたはいくつ当てはまる

 

【歯周病セルフチェック 10項目】

□歯の間に食べ物が挟まりやすい
歯ぐきの後退や歯の動きで、隙間が広がっている可能性あり。

□歯ぐきがぶよぶよしている
ハリがなく、歯と歯の間の歯ぐき(三角の部分)が膨らんで見えるのは要注意。

□歯ぐきが下がってきた気がする
歯周病の進行で、歯ぐきがやせて歯が長く見えるように。

□朝起きると口臭が気になる
夜の乾燥で細菌が繁殖し、起床時にニオイが強くなる傾向。

□歯ぐきが赤い・紫色に近い
本来ピンク色の歯ぐきが、炎症で濃く変色している状態。

□口の中がネバネバする
細菌が増えると、唾液の性質が変わり、ネバつきやすくなる。

□歯磨きするとよく血が出る
軽い刺激でも出血するのは、歯ぐきに炎症があるサイン。

□歯の隙間が空いてきた気がする
歯ぐきのやせや歯の位置のずれで、並びに変化が出てくることも。

□歯ぐきがムズムズする
細菌の刺激や軽い炎症が、かゆみに似た違和感を引き起こす。

□朝起きると血の味がする
寝ている間に自然出血していた可能性があり、慢性的な炎症が疑われる。

この10項目のチェックでふたつ以上当てはまる人は歯周病の可能性があります。まずは歯科医院で診てもらいましょう。

 

記事が続きます

 

特に、歯ぐきからの出血は歯周病の代表的なサイン。歯磨きやフロスでの刺激で出血するのは炎症が進行している証拠です。

 

これ以外にも、食べ物を噛むと痛みを感じる、しみる、歯がグラグラするなどという症状は、絶対に放っておかないで。ぜひ歯科医院へ来てくださいね」

 

こう解説してくれるのは、日々患者と丁寧に向き合う歯科医師、塚原妹美先生です。

 

歯周病はどう調べる? 歯科医院で行う検査とは?

「歯周病かもしれない」と思って歯科医院に行ったら、実際にはどんな検査をされるのでしょう? 痛いことをされるの? どのくらい時間がかかるの?

 

「歯科医院では、歯ぐきや歯の状態をチェックするさまざまな検査が行われます。

 

どれも難しいものではなく、短時間で終わるものばかり。まずは基本の検査だけでも、歯周病の進行具合がしっかりわかりますよ」

 

━━★ 歯科医院での主な検査項目 ━━★

▶ 歯周ポケット検査(プロービング検査)
歯と歯ぐきの間にどれだけ深い隙間(歯周ポケット)ができているかを、専用の器具で測定。健康な状態なら深さ1〜2mm、3mm以上になると歯周病の可能性大。深さが深くなるほど、進行した状態と考えられます。

▶ 歯ぐきからの出血チェック(BOP=Bleeding on Probing)
ポケット検査の際に出血があるかどうかで、歯ぐきの炎症レベルを確認します。

▶ 歯の動揺度チェック
歯を軽く揺らして、ぐらつきの程度を調べます。歯周病が進行すると歯を支える骨が減り、歯がグラグラしやすくなります。

▶ プラーク(歯垢)や歯石の付着チェック
歯の表面や歯ぐきの境目に歯垢や歯石がついていないかを確認。染め出し液を使ってチェックすることもあります。

▶レントゲン検査
歯や歯を支える骨の状態を確認します。パノラマ撮影は全体像を診るためのもの。10枚法・14枚法ではより詳細に診ることができます

 

また、必要に応じて行われるのが「オルコア」という検査。これは歯周病の原因となる菌(例えばPg菌など)の有無や量がわかり、重症度を予測するのにも役立ちます。

 

「オルコアで菌を持っているかどうかを知るのはとても大切。菌が多ければ、歯周病が進んでいる状態だと判断できます。自費の検査にはなりますが、私のクリニックでは可能な限りオルコア検査を行うようにしています」

 

記事が続きます

歯周病は「ステージ」だけじゃない。進行スピードでも診断する時代に

歯周病の検査を受けたあと、大切なのが「診断」。かつては「歯周ポケットが4mm以上なら歯周病」といった基準でしたが、現在はそれだけでは判断されなくなりました。

 

歯ぐきの状態、骨の減り具合、出血の有無、生活習慣まで含めて、トータルで「どこまで進んでいるか」「これから進みやすいか」を診るように変わってきたのです。

 

そこで登場するのが、「ステージ」と「グレード」というふたつの視点。

 

《歯周病診断のふたつの“モノサシ”》

【ステージ】
がんなどと同じで「今の重症度」のこと。どこまで進んでいるかを、歯ぐき、歯を支える骨のダメージ具合から判断。

 

【グレード】
歯周病がどれくらいのスピードで悪化しやすいかの予測。年齢、生活習慣、持病などが影響します。

 

つまり「ステージ」は今の状態、
「グレード」はこれからの予測。
いわば、現在地と未来予測です。

 

例えば——

✦歯周ポケットが4〜5mmで骨の吸収が少なければ、ステージⅠ(初期)またはⅡ(中等度)。適切なケアで進行を止められる可能性があります。
✦ポケットが6mm以上、または歯がグラつくほど骨が減っていれば、ステージⅢ〜Ⅳ(重度)。この段階では専門的な治療が必要です。

 

ただし、「歯周ポケットがまだ浅いから大丈夫」と思っていても、グレードが高い人は要注意。想像以上にスピードが速く進んでしまうこともあります。反対に、進行はしていてもグレードが低ければ、丁寧なケアで進行をくい止めることも可能です。

 

「歯周ポケットが5mmあって出血もしている場合、すでに歯周病としてしっかりしたケアが必要な状態。進み具合だけでなく、進みやすさにも注目して、患者さんに説明するようにしています」

 

「まだ軽いから大丈夫」と放っておかないこと。進みやすいタイプの人こそ、早めのケアが大切です。

 

【教えていただいた方】

塚原妹美
塚原妹美さん
歯科医師
公式サイトを見る

歯学博士(再生医療)。医療法人社団宏礼会 塚原デンタルクリニック勤務。医療法人社団宏礼会 行徳TM歯科院長。歯科衛生士学校で講師を務めたり、新聞でコラムを担当するなど、歯科医院へ行くことの重要性を訴える歯科医師。 塚原デンタルクリニック 行徳TM歯科

 

 

イラスト/内藤しなこ   取材・文/蓮見則子

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