40代・50代からの歯医者さん選び、今こそ始め時!
虫歯がないから大丈夫…、そう思っていませんか?
ところが、この年代からは「虫歯ゼロ=安心」ではなくなります。静かに進行する歯周病は、気づいたときには大切な歯を失う原因に。
「高齢になっても自分の歯で食べられるかどうかは、今の時期のケア次第。セルフケアを始める前に歯科医の診察を受けることが大事です。
長らく歯科医院にかかっていない人や、もしかして歯周病かもしれないと気になっている人は、まず歯科医院選びから始めましょう。
ここから先の何十年も、自分の歯を守ってくれる場所を見つけること。それが、将来の自分への最高のプレゼントになりますよ」
と話すのは、口腔外科や栄養療法の知識も持ち、温和な語り口で患者の不安を解く歯科医師、塚原妹美先生。

「この先も通いたい」と思える歯医者さん、どう探す?
歯周病は数回の通院で終わる治療ではありません。だからこそ、「通い続けたい」と思える歯科医院を見つけることが鍵になります。
「まずは気になった歯科医院のホームページを見てください。診療内容や専門分野、歯周病ケアへの姿勢は、そこにかなり出ていると思いますよ」
例えば、診療内容に「歯周病」や「予防歯科」について書かれているか。「正しい歯磨き」について書かれていることもポイント。特に歯科衛生士が常駐していること、歯周病のスタッフ教育・研修に力を入れているのも押さえておきたい点です。
そして、歯周病専門医(※1)、日本歯周病学会認定歯科衛生士(※2)、日本臨床歯周病学会認定歯科衛生士(※3)の有無はどうか。たとえその医院には常駐していなくても、歯周病専門医と連携している医院なら、複雑な治療が必要になったときも安心。
※1)・※2)日本歯周病学会が認定する資格で、歯周病に関する専門知識と技術を持った歯科医師・歯科衛生士。
※3)日本臨床歯周病学会が認定する資格で、治療やメンテナンスに特化した専門スキルを持つ歯科衛生士。
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信頼できる歯医者さんに共通する5つのサイン
具体的には、どこをチェックすれば自分に合う歯科医院が見つかるのでしょう? 外せないポイントを塚原先生に教えていただきました。
━━★ 歯周病ケアが得意な歯科医院 ★━━
【1】検査&カウンセリングが丁寧
ポケットの深さなど、歯と歯ぐきの状態を数字や画像でわかりやすく説明してくれるか。
【2】写真&レントゲンで骨の状態まで確認
見えない部分まで“見える化”してきちんと説明があり、把握していてくれるか。
【3】治療法と予後のことまで説明
この治療で、今後何がどう変わるのか、その先の計画まで話してくれるか。
【4】歯科衛生士によるブラッシング指導
治療より先に、歯科衛生士が「正しい歯磨き」の指導から始めてくれるかどうか。
【5】プラーク・歯石をしっかり除去
短時間で終わらせるのではなく、じっくり時間をかけてケアしてくれるか。

歯科衛生士さんは、歯周病ケアの主役です
虫歯の治療とは違い、歯周病治療やメンテナンスの多くは歯科衛生士さんが担います。
「見えない場所の歯石を取るSRP(スケーリング・ルートプレーニング)など、衛生士にしかできない施術も多いもの。歯周病のケアやメンテナンスでは、医師よりも歯科衛生士が長期間患者さんにかかわります。
だからこそ、腕前だけでなく話しやすさや安心感も大切。この人なら任せられると感じられる衛生士さんとの出会いが、治療の続けやすさを左右すると思いますね」
メンテナンス計画のある歯医者さんなら安心
歯周病は「治った」で終わらせるとあっという間に逆戻り。治療後のケアは再発防止の要です。
「私のクリニックでは、治療終了時に患者さんの口腔内の状態に応じて約3〜6カ月後の予約を入れ、その後も通っていただく体制にしています。そうしなければ、歯周組織の健康の維持(メンテナンス)はできないからです」
さらに、歯科医院の施設基準にも注目を。厚生労働省が定める「口管強(口腔管理体制強化加算)」の基準を満たした医院では、患者さんの状態やリスクに応じて、通常は3カ月に1回の歯周病安定期治療(SPT)を、毎月保険適用で受けられます。
歯周病ケアは歯科医院との長いお付き合い。信頼できる場所と人を見つけることが、未来の歯を守る第一歩です。
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【教えていただいた方】

歯学博士(再生医療)。医療法人社団宏礼会 塚原デンタルクリニック勤務。医療法人社団宏礼会 行徳TM歯科院長。歯科衛生士学校で講師を務めたり、新聞でコラムを担当するなど、歯科医院へ行くことの重要性を訴える歯科医師。 塚原デンタルクリニック 行徳TM歯科
イラスト/内藤しなこ 取材・文/蓮見則子


