皮膚科専門医。東京都生まれ。東京医科大学医学部卒業。つちやファミリークリニック副院長などを経て現職。年間約３万人の患者の肌の悩みと向き合っている。新しい薬品や施術は、まずは「自ら試す！」がモットー。季節や生理周期に合わせたケアが得意で、肌そのものの力を信じ、トラブル無縁の赤ちゃん肌を目指す親切な診断が好評。肌への摩擦を少しでも軽減する「ミニマムスキンケア」を提唱。著書に『美容皮膚科医が試してわかった！ 美肌・新常識33』（小学館）がある。
【測ってもらった人】
ライター・イオちゃん
フリーランスで編集・ライター・出版プロデュースなどを行う50代。「50代、30代TikToker女子にメイクを学んで大変身」の連載がキッカケで、昭和メイク→今どきメイクのコツに目覚め、自分の美と健康に向き合い始める。
健康診断をサボってきたライター・イオ。ついに血液検査へ！
「実は私、もう何年も健康診断を受けていなくて…」。そんな会話から、今回の企画はスタート。編集部内でも「イオちゃん、検査結果の数値とかも、わかってないんじゃ？」と心配されるなど…。確かに、これまで自分の検査結果をきちんと見たことがない…。
そんなわけで、美容や肌だけでなく、体の“中”の状態も一度きちんと知ろう！と、第１回の肌診断でもお世話になった、つちやファミリークリニック 浅草院・土屋佳奈先生のもとで、血液検査を受けることに。その結果についても、土屋先生に詳しく解説していただきました！
病院も注射も、本当に苦手なんです…この表情をご覧ください（笑）。
イオ：いやぁ…健康診断って、ずっと避けてたんです。結果を見るのも怖いし、“悪いところがいっぱい出るんだろうな〜”って…。でも編集部の方々に背中を押されまして、仕方なく（いえ、ありがたく）、いざ血液検査を受けてみようと…。
土屋：そういう方、実はすごく多いんですよ。でも数値を知ってこそ、日々の習慣を整えるヒントになりますから。
さて検査結果。気になる数値は…？
イオ：先生、正直に言ってください！ 何か悪いところ、出ました？（ドキドキ）
土屋：それがですね…。結果を見る限り…、イオさんは健康そのものです（笑）。肝機能や腎機能、血糖値などはすべて正常範囲内。お酒をよく飲む人に出やすいγ-GTPも問題なしです。
イオ：あ、あら…。そうなんですか？ うれしいですけど、正直ちょっと拍子抜け？
よ、よかった…。けど、ライター的にはもうちょっとドラマが欲しい！ ここで終わってしまっては記事にならないので（汗）、自分のあら探しをしてみましたよ！
記事が続きます検査結果は「ほぼ健康！」
さて、検査結果の紙を前に、先生と一緒にあら探し…じゃなかった、確認をします！
土屋：総合的には数値はとても安定していますが、少しだけ、気をつけたいポイントはありました。
イオ：おぉ…そうなんですね。正直、この結果を見ても数値の見方がさっぱりわからないんですが…。
じゃーん。こちらが私の検査結果の全容です！
土屋先生によると、次のふたつのポイントが判明しました。
◎総コレステロール値＆中性脂肪 … やや高め。食事のバランスを意識したいところ
◎赤血球値の＋傾向 … 数値上は軽度だが、血が濃い状態
「検査結果は“すぐ病気”という意味ではなく、“ここからどう暮らすか”のサインになる、と思っていただけたらいいと思います」（土屋先生）
赤血球が多め＝“血が濃い”体質？
イオ：数値を見ると、中性脂肪は「219」で上限ギリギリだし、総コレステロールは「245」！ 上限の「145」という基準をオーバーしていますが、コレ大丈夫なんでしょうか（不安）。
土屋：総コレステロールのほうは、実は直近の食事内容によっても変動するんですよ。中性脂肪とともに高くはありますが、イオさんの現状では、投薬などの必要はありません。油の多い食事を控えるとか、運動不足に注意する程度で問題ないと思いますよ。
イオ：そうですか…（ホッ）。そういえば、閉経後の女性は女性ホルモンの関係で、コレステロールの数値も上がりやすくなる、と聞いたことがあります！
とはいえ、年齢なりに疲れやすいし、今年の酷暑でぐったりするし…。「さすがに貧血傾向くらいは、結果にありませんか？」と、先生に聞いてみたところ…。
土屋：いえ、むしろ血液はしっかりしていて、貧血の心配はまったくないです。むしろ逆でして…。イオさんは血が“濃い”くらいなんです。
ちょっと待ってくださーい！ “血が濃い”ってどういうこと？ 健康なのに、なぜか笑えるフレーズが出てきました。
「血液の濃さを表すヘマトクリットの値が少し高めですね。つまり“血が濃い”状態です」（土屋先生）。「貧血でもなければ不調でもなく、むしろ濃い？ 血の気の多い青年的な…」（イオ）。まさかの結果に、なぜか笑いが起きました（笑）。
記事が続きます「血が濃い」の正体は、水分不足！
イオ：濃いって…先生、ワインじゃないんですから〜。それは、危なくないんですか？
土屋：危険というほどではありません。でも、水分摂取が少ないと血液がドロッとして、濃縮されやすいんです。
イオ：でも私、コーヒーもお茶も、一日中飲んでますけれども〜。
土屋：それが実は盲点でして。カフェイン飲料は利尿作用があるので、水分補給になりきらないんです。体から水分を追い出してしまうこともあります。
イオ：じゃあ私は、ずっと“飲んでるつもり”で、実は水分不足だったんですね…（びっくり）。
土屋：喉が渇く前に、常温の水や麦茶などのノンカフェイン飲料をこまめに取るのが理想です。特に酷暑の時季は、“飲んでるつもり”では追いつかないので、意識してくださいね。
土屋先生が院長を務める「つちやファミリークリニック 浅草院」は、子育て中の患者さんも多いとのことで優しい雰囲気。病院が苦手な私も、リラックスできました！
私の場合は「血が濃い」という、若干笑えるオチですんだものの、水分のとり方次第では、体調の変化につながることもあるとか。
「健康だけど、もうちょっと水を！」
これが今回の診断結果でした…。
でもこうして数値で見ると、自分の体を客観的に理解できるし、小さな生活習慣の癖にも気づくことができます。土屋先生からも「健康とはいえ、年に1回は血液検査を」とすすめられました（ですよね）。体の変化は緩やかだからこそ、定期的に記録しておくことで傾向が見えて、早期の予防にもつながるそうです。
「今の自分は大丈夫」と安心するためにも、「見えない不調を早めにキャッチする」ためにも。年に一度の血液検査を。「それが未来の自分へのプレゼントだ！」と実感した私でした！
撮影／藤澤由加 取材・文／井尾淳子
