じわっと汗をかくくらいの有酸素運動を習慣に!
脳卒中や心筋梗塞などの病気を予防するためには、高血圧や脂質異常症、高血糖などのコントロールをしっかりすることが大切です。その方法として食事習慣の改善が重要ですが、適度な運動も必要です。
「ぜひ毎日の習慣にしてほしいのが、まずは歩くことです。
血液は心筋の規則的な拍動により全身に運ばれます。一方、心臓に戻るときは、足、主にふくらはぎの筋肉が動くことがポンプ役となり、心臓より下にある血液を心臓に戻しています。これが『足は第二の心臓』と呼ばれる所以です。
第二の心臓をしっかり働かせるためには、歩くことがとても大切なのです。目安は20分!ダラダラ歩くのではなく、少し速足で軽く息が上がって、じわっと軽く汗をかく程度を目指すのがポイントです」(鈩裕和先生)
特に下半身のストレッチで血流を促すべし!
「一日座りっぱなしで、長時間同じ姿勢でデスクワークなどをしている人は、足がむくみがちです。血流が滞ると血栓ができやすくなります。仕事や家事の合間に、ストレッチや簡単な筋トレなどを習慣にしてください」
【お尻のストレッチ】
座り姿勢が長いと、股関節やお尻まわりの血流が滞りがちに。ここの緊張を緩めるストレッチを、時間を決めて定期的に行いましょう。
【1】椅子に座り、脚を組む
椅子に座り、右脚の股関節を大きく広げ、膝を曲げて、左太ももの上にのせます。右手は右膝、左手は右足に添えます。
【2】上半身を前に倒す

上半身を前にゆっくり倒します。お尻の筋肉が気持ちよく伸ばされたら、ゆっくり元に戻します。これを数回繰り返します。脚を替えて同様に。左右均等に行います。
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【ふくらはぎの運動】
椅子に座って、両足のかかとを床につけたまま、つま先を上下させる運動です。心臓から遠いふくらはぎの筋肉が収縮と弛緩を繰り返すことで、静脈を圧迫し、血液とリンパ液の流れを促します。この筋肉のポンプ作用を、牛の乳搾りに似ていることから「ミルキングアクション」と呼びます。
【1】椅子に座って行う

椅子に浅めに座り、両足裏を床につけます。両足のつま先を上げて、しばらくキープ。そのままゆっくり床に戻します。これを数回繰り返します。
【2】立って行う
椅子の背もたれやテーブルに両手を添えて体を軽く支え、両足を肩幅くらいに広げて立ちます。両足のかかとをゆっくり上げて、しばらくその姿勢をキープしたあと、ゆっくり下げます。これを数回繰り返します。
「これならテレビを見ながら、また家事や仕事の合間にも手軽に行えると思います。
そして普段の生活で、エスカレーターやエレベーターではなく、できるだけ階段を使う。家事や庭掃除など、体を動かす時間を意識的につくるようにしましょう。わざわざ運動の時間をつくらなくても、こうした積み重ねがとても大切です」
【教えていただいた方】

医療法人社団つくしんぼ会理事長。平成9年に、外来診療から訪問医療介護、在宅看取りまで連携したサービスを提供できる専門機関「つくしんぼ会」を設立。職種間の垣根を越えて自由に議論できる環境作りに努め、治療介護計画を立案し実践する体制を構築。患者に寄り添う医療を実践する。著・監修書『身近な人の突然死・寝たきりを防ぐ心臓と脳の正しいケア』(自由国民社)など。

イラスト/小迎裕美子 取材・文/山村浩子


