52歳から、更年期の不調から脱するため、様々なことにチャレンジしてきた作家・横森理香。
その体験とコーネンキ対策をまとめた『コーネンキなんてこわくない』(集英社刊)は、女性誌やテレビやラジオで話題に。
そんな彼女が、大人女子友達のナビでアンチエイジングな台湾旅へ。
初日は体によい漢方や薬膳ものを買ったり、美味しく食べて、1万7千歩越えしたのだったが・・・・・・。
※2018年2月6日、台湾東部・花連県沖を震源とした地震がありました。
被災された皆さまには心よりお見舞い申し上げます。
このリポートは、横森理香さんが年末年始に台湾を旅した時のものです。
大人女子ワンディトリップ、憧れのランタンタウンへ♡
2018年元旦。我が家は朝から、台北の屋台でラーメンを食べていた。
店は三畳ほど、表が屋台となっている。ベトナム系の夫婦がやっててる店だから、ライスヌードルが選べたのは幸いだった。なんせ台湾、小麦天国w。グルテンフリーが難しい?
そしてこの日、憧れのランタン・タウン、九份(Jiu Fenと読む)に連れてってもらおうということになっていた。
ジブリ映画の舞台にもなった、山の上の観光名所である。台北からは電車で四十分ほどかかり、そこからタクシーだから、ジェシーがいないと無理だ。
彼女は二日から、すでに大学の授業があった。台湾のお正月はチャイニーズニューイヤー(二月)だから、一月は普通に、二日から学校も仕事もあるのだ。
夫の体調は良さそうで、九份まで行けそうだったのに、台北駅に渡る歩道橋で風に吹かれると、
「俺やっぱ、部屋で寝てるわ。具合悪くなったら一人で帰れないし」
と言い残し、戻ってしまった。
前日も、台湾茶楼でお茶していたら、頭痛くなって来たといって先に帰ってしまった。大人女子のお喋りに付き合っているより、ソファでゴロゴロしてテレビ見てた方が楽しいのだろう。台湾は、日本のテレビが見られるし。
しかし、夫の勘は当たっていた。九份への旅は、タイヘンなものだったのだ!
まず、台北駅でジェシーが乗る電車を間違えた。
まっすぐ内陸を進むのに乗れば、四十分で着くはずのものが、海沿いをぐるーっと回る電車に乗ってしまったものだから、一時間半もかかってしまったのだ。しかもどんこう~!
ま、台北の風景を堪能できたという点ではいい旅だったが、台湾は基本、暑いところなので、寒くても電車の暖房がなく、混んでちょっとでも暑くなると冬でも冷房をかける。つまり、車内が表より寒いのである。
薄着で行ったため、これは厳しいものがあった。
「理香、ほら、ショウガ湯飲んで」
とジェシーにステンレスボトルを渡されるも、ぶるぶる震えるほど。
なんで、冷房?
九份最寄り駅になかなか着かないことに気づいた頃は、凍えていた。
「こ、これは・・・通り過ぎてるから、次の駅で乗り換えよう」
スマホでジェシーが確認し、言う。
ここは台湾。表記はすべて漢字なので、私と娘には読めそうで読めない。
ツアコン(ジェシー)について行くしかないが、
「ついでにジミーパークに寄ってこう! 台湾の世界的に有名なイラストレーターで、その駅から丸ごとジミーの作品パークになってるんだよ」
と、間違えた本人は屈託ない。
凍えながら、予定されてなかった駅に降り立つと、そこは、台湾全土、中国本土から来た観光客、家族連れや若者、主にカップルでごった返していた。
「ジミーパーク、はぁ~」
「次の電車までに30分しかないから、さーっと回ってこようね」
ジミーは癒し系の絵本で知られる作家らしいが、一冊も読んだことがないので、いまひとつ楽しめない。
ジェシーに言われるまま、ガラスの向こうとこっちで娘と手を合わせて記念撮影したりして・・・水の中、的な?
寒いしおなかは空くし、トイレも行きたくなったので、目の前にあったカフェに寄り、あたたかいカプチーノと、ラスクを齧りつく。
「あ、もう時間だから駅に戻ろう!」
寒くて、なんだかトホホな展開に・・・!?
ふたたび、ぶるぶるしながら寒い電車に乗り、三十分ほどで九份最寄り駅に。
そこからタクシーに乗り十分ほどで、山間の村に着いた。
観光バスが何台も押し寄せ、世界からの観光客がひしめいている。そして、さっきまで晴れていたのに、小雨が降っている。
「ここはいつも雨が降ってるんだよ。晴れてたためしがない」
ジェシーが呟く。傘も、持ってなかった。
「その辺の土産物屋で傘か雨合羽買わない?」
と提案するも、
「いや、小雨だし、降ってんのここだけだから」
と買わせてくれない。
幸いフードのついたダウンベストを着ていたので、ほっかむり、えいやっと歩きはじめた。せっかく遠くまで来たのだから、あの提灯つる下がった石の階段を、歩かないでか!
かつて、山の上に九軒の家しかなかったから、九份という名になった村。今では土産物屋が立ち並ぶ、一大観光地になってしまったが、古のここは、さぞかしロマンティックなところだったのだろう。
小雨のけぶる中、石段をそぞろ歩き、立ち込める霧の向こうには、ぼんやりと海が見える。
が、現実は、満員電車並みにぎゅうぎゅうで、狭いメインストリートに入ると身動きができなかった。
「しょうがない、ここからいったん出て、下から回ろう!」
ジェシーに誘導され、売店の横の小路を出る。小さい石段を下りると、普通の住宅街。そこを抜けると、人気もまばらな、観光地のはずれに出た。
「とにかくもう寒いし、トイレも行きたいから、ここに寄ろう!」
私はもう逃げだしたい気分で、流行らない感じのレストランに入った。
「空いてて良かった~」
とつぶやきたくなるぐらい、誰も居ず、心地よかった。サービスの人はたくさんいるから、混んでるときは混んでるのだろう。
遠くに海の見える窓辺の席でほっと一息。生姜入りのオレンジティで体をあたため、用便も済ませ、いざ出陣!
下から回っても、九份はすごい人混みだった。
でも、とりあえず記念撮影はしないと気が済まない。ここまで苦労してきたから、やっとたどり着いた、という達成感はある。
嬉しいような、悲しいような・・・。
迷いながら、寒い電車の中でジェシーとエンドレスにお喋りできたのは楽しかったけど、まさか電車が寒いとは!
九份観光のあと、帰りの電車も混んでて座れなかった。
寒くても腹ペコでも元気な台湾大人女子の秘密とは!?
やっとこさ台北に着いた時すでに、夫が楽しみにして東京から予約していた広東ダックの有名なレストランの予約時間にぎりぎり、私たちはボロボロで直行した。
彼だけが、シャワーを浴び、ドレスアップしている。近所で美味しいワンタンも、お昼ご飯に食べたそうな。私たちはジミーパークのカフェでラスクを齧っただけ。
しかし、このむちゃぶりスケジュールの中、迷った途中にあった「キャットタウン」にも寄って行こうというジェシーの元気さには驚いた。
レストランの予約に遅れると、二時間制だから広東ダックが食べられなくなっちゃうからと制したが。
この台湾大人女子の元気さは、やはり幼い頃からの漢方生活にあると私は見た。
ジェシーのお抱え漢方医も、御年六十云歳だけど、とてもその年には見えないほど若いという。
私も、このとき買って来た漢方薬を、桂枝茯苓丸がなくなった一月の半ばにやっと飲み始めたら、みるみる元気になってきた。
スギ花粉が出始めたのか、鼻水・鼻づまり、喉痛、咳で悩まされ、目も痒くてグズグズだったのに、三日ほどで治ってしまったのだ。エキネシアもネトルも効かず、アレグラ飲んでみたけど効かなかったのに。
処方されたのは、六味地黄丸と加味逍遥散。これをセットで飲むとよく、一つでは効かないという。ホットフラッシュがあり、桂枝茯苓丸を飲んでいる旨、伝えると、
「あ~、それは生理がある人用。生理がない人はこっち。朝昼晩と飲んでみて、効いてきたら三日休んで、様子見て。朝晩二回でいいようなら、回数減らしてもいいよ」
六味地黄丸と加味逍遥散は、かつて風水師の林秀静さんにも更年期に効く漢方として教えられていたものだが、まだその頃は、飲んでみようという気にもならなかった。何事もタイミングなのだなぁと思う。
花粉症みたいな症状が出て来た頃、熱感と滝汗で悩まされていた。それで、もしかしたら「寒暖差アレルギー」なるものかもしれない、とも思った。あったかくなったり寒くなったりで、ただでさえ自立神経系がイマイチな我々は、体がついてけないのだと。
が、思えば症状の回復と同時に、熱感も滝汗も軽くなっている。
恐るべし漢方! 六味地黄丸と加味逍遥散、もちろん日本の病院で更年期薬として処方もしてもらえるが、台湾で買うと、ぷっ、一年分500~600円。
切れたらまた行こうっと。
次回は夫抜き、「大人女子旅」にして、温泉なんかも入っちゃおうと、楽しみにする著者であった。
・・・終わり・・・
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台湾地震お見舞い
この原稿を入稿していた頃、台湾地震が起きました。私たちが行ったジミーパークの先、花蓮で。有名な観光地なので、行ったことある方も多いかと思います。
さっそくジェシーにラインで聞いてみると、家族はもっと北に住んでいて大丈夫だった、とのこと。彼女自身は旧正月のお休みでアンコールワットに行っていて無事。ただ、正月の四日前に地震なんて、と被災地を心配していました。
義援金をお見舞いするとともに、また台湾に行って、地震を恐れず観光したいと思います✨ 横森理香
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