作家・横森理香。閉経前後の体験を描いた『コーネンキなんてこわくない』(集英社刊)は、
“コーネンキ”を明るく乗り越えられるパワーが湧いてくる一冊だ。
今回の更年期な日々を活性化するためのチャレンジは、初めての京都一人旅!!
“超ド級”の方向音痴である横森さん、はたしてたどり着けるのか!?
さて、いよいよ大阪から京都へ向かう・・・!!
大阪でのトークショーが終わり、主催者のおじさんに淀屋橋まで送ってもらって、無事「京阪電車」に乗った。
この電車は、何年か前、娘と大阪から京都に行く際、乗ったことがある。今、外国観光客にも大人気の伏見稲荷大社の駅を通る電車である。
まぁ一人だし、ついでに「伏見稲荷」もお参りして行こうかなと思ったが、伏見稲荷駅は各駅停車しか止まらず、特急電車で行かないと、出町柳までは結構時間がかかる。なんせ行ったことのない町だし、暗くなる前に宿に着きたい。お腹も空いたし。
朝ごはんを九時半に食べたっきり、何も食べずに三時になってしまった。ほんとうは梅田の地下街で、美味しい明石焼きを食べてから京都に向かおうと思っていたが、主催者のおじさんのご厚意で叶わずw
出町柳、何が食べられるんだろう。せっかくの京都なのだから、京のおばんさいとか食べたいよねぇ。慶ちゃんオススメの食堂「出町うさぎ」でも覗いてみるか。なんせ一人だし、一人で入りづらい店だったらNGだしな・・・。
出町柳駅に到着したのは、午後四時を過ぎていた。「鞠小路イン」のホームページに載っているアクセスを頼りに進む。
「七番出口を出たら、東に進む。って、どっちが東じゃい!」
最初、英語のサイトを見ていて、あとから日本語サイトもあることに気付いた。この宿は、バイリンガル夫婦が経営する、外国人観光客対応の宿らしい。一年前に古民家を改装してオープンしたばかり。
と、そのとき、西日が私の右頬を照らした。
「あ、こっちだ」
西日の反対方向に進めば、それは東ではないか!
スマホでなんでも検索できる時代に、なんて原始的な・・・。我ながら自分のプリミティブさに感動したが、考えてみたら、スマホに方位磁石ついてるよねw
アクセスの説明通りに進むと、途中に慶ちゃんが教えてくれた「出町うさぎ」も発見! 準備中だったので、
「何時からですか?」
と聞くと、夜の営業は六時からだった。うーん、今すぐ食べたいぐらい、おなかは空いている。どーしよ~。
怒涛の食欲を抑えながら歩き進むと、右側に、素敵な庭園が見えて来た。
「なんだろう。旧家とかかなぁ」
独り言を言いながら進む。今回一人旅をして分かったが、結構私、ぶつぶつオバサンになっちゃうね!
「あ、牛乳屋さんの角、ここだっ」
この小路の突き当りが「鞠小路イン」です。という案内を見て、ほっと一息。スマホをポケットに入れた。
ピンポーン。
「はーい」
と、フロントを迎えてくれたのは、電話に出た宿の主人ではない、若い男の子だった。
ルイス君というフランス人ハーフで、日本語と英語、フランス語が喋れる。喋れるっていっても、なんだか日本語が怪しい感じ。
「荷物はもう、部屋に運んであります」
素泊まりの宿だから、先にクレジットカードでお支払い。
「すでにご存じの事と思いますが、食事はありません」
周辺のコンビニや飲食店マップをもらった。
「出て、牛乳屋さんを左に進むと、五分ぐらいでいろいろあります」
玄関はオートロックで、宿泊者は暗証番号で出入りできるようになっている。部屋は、二階の「銀閣」w 部屋の鍵は銀閣寺のお土産キーホルダーだった。
きれいにリノベイトされていて、清潔だが、もともとはかなり古い日本家屋と見た。
部屋に入るとそこは、懐かしい、手の込んだ和室だった。畳は新しく気持ちがいいが、古い床の間や天井、障子はそのまま残されている。
宿として各部屋にユニットバスは設置されているが、電気は昔ながらの紐ひっぱってつけたり消したりするやつ。懐かしさが込み上げた。三段階に明るさが調節できるあれ。小さい頃、真っ暗は怖いから、豆電球つけて寝たっけ。
ベランダから下を覗くと、キッチュな石庭が作ってあった。
「わ~、すごい。枯山水つーの?」
外国人観光客、こんなの見たら、大喜びだろうなぁ。
荷ほどきをして、一通り部屋の設備をチェックすると、おなかがぐうっと鳴った。
到着したら、おなかペコペコなことに気づいた!! さて・・・
京都一人晩ごはん、どうしよう!?
「とりあえず、ごはん食べられるところ、探そう」
いただいたマップを見ると、「おむら家」という店が、「おばんざい、居酒屋」と書いてあり、五時から営業しているではないか!
「おおっ」
しかし行ってみないと、どういう店が分からない。私は身支度をして、階下にくだった。フロントには、もう誰もいなかった。ほ、ほったらかしの宿?
宿から五分ほど歩くと、色々な飲食店が見えて来て、「おむら家」は今風レトロな居酒屋さんだった。
「あ、いーじゃんいーじゃん。ここにしよ」
入ってみると、まだ早いから、カウンターに謎の中年カップル一組しかいない。
「いらっしゃいませー」
女の子たちがイキイキと働き、カウンターにはおばんざいが大皿に並べてあった。
「ここ、いいですか?」
カウンターに座り、肌寒かったので、熱燗とおばんざいをニ種、注文した。茄子のたいたんと、なっぱのたいたん♡
こういうメニューを誰に気兼ねなくちょびちょび食べられるのって、大人女子には嬉しいではないですか!
隣のカップルの話にジワリながら、鱧の天ぷら、生湯葉さしみも追加✨
「梅酒の古酒、ソーダ割りで(^^)/」
古酒、ブランデーのような味わいです♡ というキャッチフレーズにやられて注文。
「は~、美味しかったぁ」
店を出ると、夜のとばりが降りていた。
古い商店のガラス戸、薄暗い照明が、ムードたっぷり。民家の庭の照明すら、いちいち素敵だ。
宿の小路に入ると、町屋の夜が、しんしんと深まっていた。
「あ~、京都が染み込んで来る~」
私は独り言ち(ってずっとか)、暗証番号のメモをしっかり見て、間違えないようにw打ち込み、オートロックのドアをあけ、宿に入った。
・・・さて、翌朝は・・・!? 次回もお楽しみに!! ・・・・・・
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作家・横森理香が更年期の不調解決のため、空中ヨガ、イケメン太極拳、コルギ、観光ウォーキング、グルテンフリーなどに次々チャレンジ。読むだけで気持ちが前向きになる一冊です。
(集英社 定価 本体¥1,400+税)