知識を持って、ポジティブに向き合ったもの勝ち!
正しく知りたい「更年期」
「更年期って何?」「私って更年期なの?」「このつらさ、いつまで続くの?」etc。40代、50代といっても年齢によって、また人によって、更年期についての知識や、現れる症状にはかなり差があります。
ホルモンのバランスがくずれることで、実は誰にでも来る更年期は、不調の感じ方や症状の程度に差こそあれ、私たちの体に大きな影響を及ぼします。今と将来の自分の健康を考えるために、ここでしっかりと更年期のこと、学んでみませんか?
Part2
真っただ中の人に朗報
あの手この手で
更年期もHAPPYに過ごす!
今までとは違う疲労感、不眠、だるさ、のぼせ、多汗…、さまざまな症状が出ている人こそ、目をそらさずに向き合ってください。
約10年間の更年期をネガティブになることなく快適に過ごす方法と、元気で素敵な60代、70代にステップアップするための知恵を身につけたい!
足りなくなった女性ホルモンを薬で補う!
HRT(ホルモン補充療法)を知る
更年期の不調改善法の最右翼といえば、HRT。自費診療のイメージが強いのですが、健康保険が適用になる治療法です。
ここでは、具体的に初診からHRTを受けるまでの流れを3回に分けてご紹介。
今回は最後の、4:投与方法と薬剤選び、5:定期的な受診についてです。
根本治療 HRT
HRTを受けることは
本当の意味で健康になること
治療を切望しても、その場ですぐに処方してもらえるわけではないのがHRT(ホルモン補充療法)。がんなどはもちろん、病気が潜んでいることを知らずに始めたら、それを促進する危険性もあるからです。
「たまに、いきなり『ホルモン治療受けたいんですけど』という患者さんがいますが、『その治療が必要かどうか、可能な状態かどうかしっかり診させていただき、医師が必要だと判断したら出します。それでよろしいですか?』と聞きます。『いや、お薬だけ出してほしいんです』とか『検査は嫌です』と言われたら丁重にお断りします。医師としての責任ですよね」(宮沢先生)
事前検査は多岐にわたることが多く、治療中も年に1度の検診が必要。それも更年期の健康維持のため、毎年忘れずに検査を受けられてラッキーだと思いましょう。
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4:投与方法と薬剤選び
HRTではエストロゲン剤のほか、プロゲステロン剤も併用されます。エストロゲンだけを投与すると、場合によっては子宮からの出血や子宮体がんの発生リスクが高まるためです。投与方法や使う薬剤のタイプもよく説明を受け、しっかり理解したうえで、医師と相談して決定しましょう。
●貼り薬(パッチ)
●塗り薬(ジェルなど)
●飲み薬
5:定期的に受診
HRTを始めてから1カ月後に再受診し、症状が改善しているか、マイナートラブルがないかなどをチェック。その後も1~3カ月ごとに(医師によって違います)、定期的に受診。年1回は、初回と同じ婦人科検診や血液検査などを実施するのが、HRT継続の基本です。
■HRTにかかるお金■
健康保険が適用された場合、HRTの薬代は、診察料などを含めると1カ月あたり平均2,000円前後。ただ、年に1度の検診料などは別になります(料金は医療機関によってさまざま)。年齢的には乳がん検診や子宮がん検診は毎年受けたいものなので、健康診断や婦人科ドックと同じと考えて。
宮沢あゆみさん Ayumi Miyazawa
ジャーナリストから医師へ転身。
都内病院勤務を経て、女性外来「あゆみクリニック」を開業。
思春期から更年期までの女性のトータルケアに力を注ぎ、
「じっくりお話を聞いて一緒に治療法を探したい」という熱血ドクター。
働く女性のために夜間や土曜も診療。
http://www.ayumiclinic.com
東舘紀子さん Noriko Higashidate
1953年生まれ。
1987年から、東京女子医科大学附属成人医学センターの
婦人科にて外来を担当。
女性医学、更年期医療に積極的に取り組む。
25年以上前からHRTを推進して女性の健康寿命を延ばすことを啓蒙し、
年間400人以上にHRTを処方。
イラスト/平松昭子 構成・原文/蓮見則子