更年期に体の変化や不調はなぜ起こる? まずは、その原因となる女性ホルモン「エストロゲン」の働きを知っておきましょう。
不調は自分が悪いのではなく、ホルモンの揺らぎのせい
閉経を挟んだ前後それぞれ5年ずつ、合計10年間が「更年期」。閉経の平均が約50歳のため、45〜55歳頃が更年期に当たるといわれます。これも個人差があり、仮に閉経が47歳であれば、42歳にはもう更年期の入り口に立っていることに。40代前半でも、更年期特有の不調を疑う必要があります。
「更年期には8割以上の女性が何らかの不調、不定愁訴を感じます。仕事や家事に気力が湧かない、集中できない、だるい…、それが卵巣の老化、ホルモンの揺らぎによるものとわかっていれば対処のしようがあります。知らずにストレスをためると、症状をこじらせてしまうんです」(八田真理子先生)
更年期の不調はなぜ起きる?
●実質的に女性ホルモンが減ってしまうから!
エストロゲンは想像以上の働き者。全身の臓器や器官に恩恵を与え、健康を保っています。卵巣の寿命が近づくことで、このエストロゲンが急激に減ると、それらの恩恵がなくなり、あちらこちらの不調につながるのも当然のこと。
例えば、コレステロールを正常に保つ役割も果たすので、急にコレステロールの数値が悪くなったなども、更年期に入った証拠です。
●女性ホルモン「エストロゲン」のおもな働き
- ●卵胞を育てる
- ●妊娠に備え、子宮内膜を厚くする
- ●女性らしい体をつくる
- ●肌の潤いや髪のツヤを保つ
- ●骨を丈夫に保つ
- ●血管や関節をしなやかに保ち、高血圧や動脈硬化を予防する
- ●脳の機能を維持する
- ●自律神経を安定させる
- ●代謝を促して肥満を予防する
- ●悪玉コレステロールを減らし、善玉コレステロールを増やす
▼
これらがなくなるから不調が起きる
お話を伺ったのは
対馬ルリ子さん
Ruriko Tsushima
1958年生まれ。対馬ルリ子女性ライフクリニック銀座・新宿理事長。産婦人科医、医学博士。女性の生涯にわたる健康推進活動に積極的。『「閉経」のホントがわかる本 更年期の体と心がラクになる!』(集英社)が大好評。
ホームページはコチラ
八田真理子さん
Mariko Hatta
産婦人科医。1998年、千葉県松戸市で女性のためのクリニック「ジュノ・ヴェスタクリニック八田」を開業。著書に『産婦人科医が教えるオトナ女子に知っておいてほしい大切なからだの話』 (アスコム) など。
ホームページはコチラ
イラスト/かくたりかこ 構成・原文/蓮見則子