最近話題の更年期不調により仕事やキャリア等を失う「更年期ロス」も、知識が最良の治療になります。女性ホルモンについて学び、婦人科医に相談しながら健康の意味を考える姿勢が大切です。
女性ホルモンについて学び、自分に役立つツールを増やす
「卵巣は排卵すればするほど衰えます。衰えるだけでなく、子宮筋腫や内膜症など、子宮にも病気のリスクが及ぶことに。
出産回数が少なく排卵回数が増えた現代女性は、少し卵巣をお休みさせてあげることも大切。閉経前の揺らぎ期には低用量ピルを使ってみるのもいいと思います。
更年期の長い10年間、女性の体、自分の体について学び、ホルモンに関する薬を自分の人生に役立つツールとして使えるようにする。
閉経後、さらに不調が起きたときでも、漢方やホルモン補充療法(HRT)などを、すっと体調管理の選択肢に挙げられる女性でいましょう。予備知識はいくらあってもじゃまにならないものです」(対馬ルリ子先生)
更年期の不調、改善する鍵は?
新薬発売で、より身近になるホルモン補充療法(HRT)
●根本解決はホルモンを補充すること
がんの既往歴がない人の最初の選択肢はホルモン補充療法(HRT)。飲み薬のほか皮膚に貼るパッチ剤や塗るクリームなどの薬が使われます。
エストロゲンだけでは子宮体がんのリスクがやや高まるため、黄体ホルモンを併用するのが普通。最近、その黄体ホルモン剤に「天然型」の新薬が加わり、より安全に実施できると期待されています。
ホルモン補充療法(HRT)は、女性ホルモンを若いときの量にするわけでなく、微量を補充する療法です
閉経移行期のホルモンのアップダウンを緩やかにする治療として使われる、「ミレーナ」についての記事は、下のリンクから読むことができます。
月経困難症に保険適用され、閉経移行期のホルモンの波を穏やかにする「ミレーナ」とは?
不調を起こす「3大要因」を取り除く
更年期に不調が起きる要因は、大きく分けて3つといわれます。3つが重なっている人ほどつらい症状が出やすいもの。これらの要因を取り除くことが不調改善の鍵。今すぐできそうなこと、ありませんか?
●卵巣の老化により機能が低下
女性ホルモンが急激に減ること
ホルモンケア/婦人科へ相談
●生まれつきの気質や体質
性格やストレスへの感受性、抵抗力など
メンタルケア/ストレスをためない
●そのときおかれている環境
親の介護、家族との関係、人間関係など
環境の改善/人生の見直し
お話を伺ったのは
対馬ルリ子さん
Ruriko Tsushima
1958年生まれ。対馬ルリ子女性ライフクリニック銀座・新宿理事長。産婦人科医、医学博士。女性の生涯にわたる健康推進活動に積極的。『「閉経」のホントがわかる本 更年期の体と心がラクになる!』(集英社)が大好評。
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八田真理子さん
Mariko Hatta
産婦人科医。1998年、千葉県松戸市で女性のためのクリニック「ジュノ・ヴェスタクリニック八田」を開業。著書に『産婦人科医が教えるオトナ女子に知っておいてほしい大切なからだの話』 (アスコム) など。
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イラスト/かくたりかこ 構成・原文/蓮見則子