骨盤内にある臓器を支えている骨盤底筋群。この分厚い層が衰えることでおこる「骨盤臓器脱」とは、どんな症状? 詳しくご説明します。
腟から臓器が落ちてくる臓器脱。
誰にでも起こる可能性が!
「GSM(閉経関連泌尿生殖器症候群)と重なるトラブルでは、臓器脱もよくあります。骨盤底の緩みとして尿もれは知られていますが、骨盤臓器脱も昔からある病気。子宮や膀胱などが、腟から外に落ちてくる病気です。特に出産を経験した女性は、骨盤底が傷ついて弱くなっていることが多いので、臓器脱のリスクが高いですね。
気づいたときには、丸いものが腟から外に出てきていることが多いんです。臓器が落ちてくると聞くと驚きますが、命にはかかわらないのでとりあえず心配しないで」(八田真理子先生)
ちょっとした違和感を感じたら臓器脱を疑ってもいいかもしれません。
初期症状としては、
- □ 特に夕方、何かが降りてくる感じ
- □ 股間に何か挟まっているよう
- □ 陰部が下着にこすれて出血する
- □ 立ち上がるだけで尿もれする
- □ 排尿や排便がしにくい
などが挙げられます。
骨盤内の臓器を支えているのが骨盤底
骨盤底は、骨盤の底を作っている骨盤底筋、靱帯、皮下組織、神経などを含めた分厚い層のこと。
ハンモックのように骨盤内の臓器(子宮、卵巣、腟、膀胱、尿道、直腸など)を下からしっかり支えています。
一般的にいわれる「骨盤底筋」「骨盤底筋群」も、ほとんど同じ意味で使われているようです
骨盤底が衰える原因トップ10
- ● 妊娠・出産(筋肉・靱帯の損傷)
- ● 排尿・排便での“いきむ”習慣(便秘)
- ● 加齢による筋肉の衰え
- ● 女性ホルモンの減少
- ● 肥満(内臓脂肪の増加→過重)
- ● 花粉症、喘息(ぜんそく)などのくしゃみや強い咳(せき)
- ● 息を止めて行う腹筋運動(腹圧のかけすぎ)
- ● 運動不足(筋力低下)
- ● 不良姿勢(骨盤前傾or後傾)の習慣
- ● 車の運転など骨盤を後傾した座位姿勢
お話を伺ったのは
対馬ルリ子さん
Ruriko Tsushima
1958年生まれ。対馬ルリ子女性ライフクリニック銀座・新宿理事長。産婦人科医、医学博士。女性の生涯にわたる健康推進活動に積極的。『「閉経」のホントがわかる本 更年期の体と心がラクになる!』(集英社)が大好評。
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八田真理子さん
Mariko Hatta
産婦人科医。1998年、千葉県松戸市で女性のためのクリニック「ジュノ・ヴェスタクリニック八田」を開業。著書に『産婦人科医が教えるオトナ女子に知っておいてほしい大切なからだの話』 (アスコム) など。
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イラスト/かくたりかこ 構成・原文/蓮見則子