子宮頸がんが増えているのは、先進国では日本だけ! この事実を受け止めて、厚生労働省が子宮頸がんワクチン接種を逃した一定年齢の女性に対し、無料接種をすると決めたことが話題になっています。一方、実は子宮体がんの患者数も右肩上がり。「どちらも検診で予防できるはずのがん」と肝に銘じて!
それぞれのがんの特徴を理解し、真剣に予防に取り組みたい
自治体などでも力を入れている「子宮がん検診」といえば、一般的に「子宮頸がん検診」を指すことを知っていますか? これは子宮頸部(入り口)の細胞を取って調べる検査です。
子宮がんには「子宮頸がん」と「子宮体がん」のふたつがあり、体がんのほうは普通の子宮がん検診では見つけられません。子宮内膜にできるので、内膜の検査をする必要があるのです。
40代〜50代に多く、閉経前後であれば超音波検診、不正出血があれば子宮内膜の細胞診も行います。
●年齢別・子宮頸がんと子宮体がんの罹患率
ふたつのがんは、できる部位が違うだけでなく、性質がまったく異なることを覚えておきたいもの(下の図を参照)。
◆こんなに違う! 子宮頸がんと子宮体がん
●40代に多いのが 子宮頸がん
- ◆できる場所……子宮頸部(子宮の入り口)
- ◆年代……20代から増加(ピークは40代)
- ◆初期症状……ほとんどなし
- ◆直接の原因……HPV(ヒトパピローマウイルス)感染
- ◆かかりやすい人……性交相手が多い、喫煙、ワクチンを接種していない、検診を受けていないなど
●50代に多いのが 子宮体がん
- ◆できる場所……子宮体部(子宮内膜)
- ◆年代……40代から増加(ピークは50代)
- ◆初期症状……不正出血
- ◆直接の原因……女性ホルモン(エストロゲン)による子宮内膜の肥大
- ◆かかりやすい人……閉経前後、妊娠・出産経験がない、肥満、糖尿病、高血圧、卵巣がん・乳がんの既往など
「頸がんはウイルス感染が原因のため、ワクチン接種と検診でほぼ完全に予防できます。それなのに年間2800人が死亡しているという歯がゆい事態。
厚生労働省は一時、ワクチン接種の勧奨を差し控えていましたが、いよいよ積極的な姿勢に。2022年4月から10代前半は無料接種が受けられるように、医療体制も変わっています。
一方の子宮体がんは、更年期世代に急増していますが、早期の発見で95%近くが治るがん。初期症状には必ずといっていいほど不正出血があるので、気づいたらすぐ受診することが早期発見の要ですね」(対馬ルリ子先生)
お話を伺ったのは
対馬ルリ子さん
Ruriko Tsushima
1958年生まれ。対馬ルリ子女性ライフクリニック銀座・新宿理事長。産婦人科医、医学博士。女性の生涯にわたる健康推進活動に積極的。『「閉経」のホントがわかる本 更年期の体と心がラクになる!』(集英社)が大好評。
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八田真理子さん
Mariko Hatta
産婦人科医。1998年、千葉県松戸市で女性のためのクリニック「ジュノ・ヴェスタクリニック八田」を開業。著書に『産婦人科医が教えるオトナ女子に知っておいてほしい大切なからだの話』 (アスコム) など。
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イラスト/かくたりかこ グラフ作成/ビーワークス 構成・原文/蓮見則子