HBOC(遺伝性乳がん卵巣がん症候群)の正しい理解とチェックリストで、乳がんなどのリスクを再確認しましょう。
知っておきたい遺伝性がん!
保険も適用に。
HBOC(遺伝性乳がん卵巣がん症候群)
BRCA1、BRCA2という遺伝子の病的変異があると、乳がん、卵巣がんなどにかかるリスクが極端に高くなります。
この遺伝子変異をもっていることを「HBOC(遺伝性乳がん卵巣がん症候群)」といいます。
HBOCの診断にはふたつの遺伝学的検査が必要ですが、乳がん・卵巣がんを発症した人は、これらの遺伝子検査や遺伝カウンセリング、予防のための切除手術に2020年から保険が適用されています。
例えば、HBOCの乳がん患者は卵巣がんも発症しやすいことから、予防のために卵管・卵巣の摘出手術「リスク低減卵管卵巣摘出術」を保険で受けられるということ。
この手術により卵巣がんの発症リスクが低下するだけでなく、生存率も改善することが示されています。
HBOC簡単チェック!
ひとつでも当てはまりませんか?
- □ 血縁者にBRCA1、BRCA2遺伝子の検査で陽性だった人がいる
- □ 自身が乳がんと診断され、かつ以下のいずれかに該当
- □ 45歳以下で乳がんと診断された
- □ 両側の乳がん(同時性あるいは異時性)と診断された
- □ 片方の乳房に複数回乳がん(原発性)を診断された
- □ 46~50歳で乳がんと診断され、家族歴が不明、血縁者の数が少ない、あるいは乳がんの家族歴があるか、中等度以上の悪性の前立腺がんの家族歴がある
- □ 60歳以下でトリプルネガティブの乳がんと診断された
- □ 血縁者に卵巣がん、転移性の前立腺がん、膵臓がん、50歳以下の乳がんのいずれかの診断を受けた人が、1人以上いる
- □ 血縁者に男性で乳がんと診断された人がいる
- □ 自身が卵巣がん・卵管がん・腹膜がんと診断された
- □ 自身が膵臓がんと診断された
*血縁者の範囲/父母、兄弟姉妹、異母・異父の兄弟姉妹、子ども、おい・めい、父方あるいは母方のおじ・おば、祖父・祖母、大おじ・大おば、いとこ、孫など
※JOHBOC「遺伝性乳がん卵巣がん症候群(HBOC)をご理解いただくために」より
HBOCのがん発症リスク
- 乳がんにかかる可能性 40〜90%
- 乳がんにかかった乳房の反対側の乳房が新たにがんにかかる可能性 40〜60%
- 卵巣がんにかかる可能性 10〜60%
お話を伺ったのは
対馬ルリ子さん
Ruriko Tsushima
1958年生まれ。対馬ルリ子女性ライフクリニック銀座・新宿理事長。産婦人科医、医学博士。女性の生涯にわたる健康推進活動に積極的。『「閉経」のホントがわかる本 更年期の体と心がラクになる!』(集英社)が大好評。
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八田真理子さん
Mariko Hatta
産婦人科医。1998年、千葉県松戸市で女性のためのクリニック「ジュノ・ヴェスタクリニック八田」を開業。著書に『産婦人科医が教えるオトナ女子に知っておいてほしい大切なからだの話』 (アスコム) など。
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イラスト/かくたりかこ 構成・原文/蓮見則子