OurAge世代が若かった頃、「腟」という言葉を公の場で口に出すことはほとんどありませんでした。骨盤底という概念もなければ、フェムゾーンの触り方やマッサージ法を覚えることすらなかった時代です。研究が進み、健康情報も広まって、実践できる人も増えました。
けれども、病気予防のベースだけは医療にあります。検診抜きにはあり得ません。婦人科を積極的に訪ね、臆せずに内診台に上がれる人が、未来の健康を守ることができるのです。
かかりつけ医なら年1回こんな検査が理想的!
子宮・卵巣・腟まわりを健康に保つには、腟まわりを含めた異常にも気がついてもらえる丁寧な「検診」が大切です。
自治体が行う「健診(健康診断)」のオプションや人間ドックの婦人科検査に下記の項目があるかどうかも、事前に確認しておきましょう。
また、かかりつけ医を見つけるには、まず最初に、子宮がん検診を利用するのもいいかもしれません。
【1年に1回の検診】
- ●内診と経腟超音波(エコー)検査:腟から子宮、子宮内膜の厚み、卵巣までを触診と画像で確認。もちろん卵巣は触診できませんが、画像により腫れなどは確認可能。このとき、腟まわりの異常もチェック。
- ●子宮頸がん検診:子宮頸部の細胞診検査+HPV(ヒトパピローマウイルス)検査。集団健診などでも行われますが、自分で子宮頸部の組織を採取して検査機関に提出する方法だと、誤診率が高いと心得て。
- ●子宮体がん検診:子宮内膜の細胞診検査で、HPV検査と同時検診が可能。超音波検査を年に1回していれば省いてもOK。
40代以降なら最低限受けたい! 検診リスト
- □ 子宮がん検診(頸部・内膜の内診と細胞診)*1
- □ 経腟超音波(エコー)検査(子宮と卵巣の状態を調べる検査)*2
- □ HPV検査(子宮頸がんの原因HPVを調べる細胞診)*3
- □ マンモグラフィ(乳房専用のX線撮影検査)
- □ 乳腺超音波(エコー)検査(高濃度乳腺のがん発見に有利)
- □ 乳房視触診(乳房の異常を医師が視触診で確認)
- □ 血算(けっさん)(貧血や免疫などを調べる血液検査)
- □ 生化学検査(肝機能・腎機能・脂質・糖などを調べる血液検査)
- □ 甲状腺機能(女性に多い甲状腺機能異常を調べる血液検査)
- □ 抗核抗体(女性に多い膠原病(こうげんびょう)の素因の有無を調べる血液検査)
- □ リウマチ因子(関節リウマチの素因の有無を調べる血液検査)
- □ 炎症反応(感染や組織炎症の有無を調べる血液検査)
- □ ホルモンチェック(女性ホルモン値からバランスを見る血液検査)
- □ 骨密度(骨粗しょう症のリスクを調べる検査)
- □ ストレスチェック(うつ傾向やストレス度合いを調べる血液検査)
- □ 更年期指数(更年期症状の度合いを調べる問診票記入)
*印は、特に子宮・卵巣・腟まわりに関連する検査項目です。
慣れれば医師と話をしながら! 婦人科の内診や超音波検査
検診や検査をいくら推奨されても、いまだ婦人科の内診台に抵抗がある人も少なくありません。でも正直、これは慣れです。
初めてのクリニックに行くなら緊張してしまいますが、もしそこがかかりつけ医になったら、きっと医師と話したり一緒に画像を見ながら検診ができるはずです。
今、内診台はとてもオープンなイメージに変わっています。恥ずかしがらずに扉を開けること。そこから始まります!
●内診は手指による触診
医師が腟から指を入れて状態を調べます。性交渉の経験がない場合は、肛門やお腹の上からの検査も
●卵巣も確認できるのは経腟超音波
卵巣は経腟超音波の画像で確認。棒状(親指大の太さ)のプローブを腟から入れて検査
お話を伺ったのは
対馬ルリ子さん
Ruriko Tsushima
1958年生まれ。対馬ルリ子女性ライフクリニック銀座・新宿理事長。産婦人科医、医学博士。女性の生涯にわたる健康推進活動に積極的。『「閉経」のホントがわかる本 更年期の体と心がラクになる!』(集英社)が大好評。
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八田真理子さん
Mariko Hatta
産婦人科医。1998年、千葉県松戸市で女性のためのクリニック「ジュノ・ヴェスタクリニック八田」を開業。著書に『産婦人科医が教えるオトナ女子に知っておいてほしい大切なからだの話』 (アスコム) など。
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イラスト/かくたりかこ 構成・原文/蓮見則子