今回の「閉経前後の子宮・卵巣・膣まわり」特集を監修していただいた産婦人科医の対馬ルリ子先生が問題視するのは、日本人女性のヘルスリテラシーの低さです。
骨盤底をしなやかにして
卵巣や子宮を若く保つ。
それが健康の源
対馬ルリ子先生
最近、外来で感じるのは、血流が滞っている人が多いこと。腟まわりも骨盤底も、冷たくて硬くて、こり固まっているように感じます。
特に卵巣は生殖器の大もと。卵をつくる場所、女性ホルモンを分泌する源、男性でいえば精巣です。血流と栄養がいちばん大事。卵巣の至適温度は、深部体温の中でも高いほうなのに、きっと冷えているだろうなと想像がつく人が多いのです。
それでは卵巣や子宮の老化のスピードは止められない。もっと温めてほぐして、骨盤底を柔軟にして若く保ちましょう、と皆さんに言っています。
欧米では「日本人女性のヘルスリテラシーが低い」と言われているのをご存じですか。がんなどの検診率が低すぎる、女性ホルモンや更年期の知識がなさすぎる、ピルもホルモン補充も怖がりすぎる…と。
日本人の穏やかな気質からすると、そうそううまくいかないかもしれませんが、引っ込み思案やナチュラル志向があだとなって、予防できるものもできないことや、改善できそうな不調を抱えたままでいることが悲しいのです。
いまや、子宮筋腫を持っていたって、内膜症があったって、更年期のいろんな症状に襲われたって、なんとか改善できる、QOLを保てる、楽しく生きられる時代です。
それには婦人科医のサポート力が大きいと思います。知識不足でホルモンの波にのまれたりしないこと。病気に屈してしまわないこと。痛みや違和感を我慢しないこと。
私たち、産婦人科医がいればなんとかできますよ。
お話を伺ったのは
対馬ルリ子さん
Ruriko Tsushima
1958年生まれ。対馬ルリ子女性ライフクリニック銀座・新宿理事長。産婦人科医、医学博士。女性の生涯にわたる健康推進活動に積極的。『「閉経」のホントがわかる本 更年期の体と心がラクになる!』(集英社)が大好評。
ホームページはコチラ
イラスト/かくたりかこ 構成・原文/蓮見則子