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【更年期、進藤やす子さんの場合】 本物のホットフラッシュがついにやってきた!(インタビュー後編)

その年齢も、期間の長さも、症状の有無も。驚くほど個人差のある更年期。閉経する年齢も大きく異なります。大活躍しているあの人は、どんな更年期を体験しているのでしょう? それぞれの貴重なエピソードを、自身の言葉でお届けします。

バセドウ病を発症、筋腫により子宮全摘、その後コロナ禍で仕事の状況が大きく変化。怒濤の40代を過ごした進藤やす子さんは、その後大学で教鞭をとることになり、イラストレーターだけではない新しい環境に身を置きます。多忙な日々ですが、その明るい表情からは、むしろ更年期を楽しんでいることがうかがえます。

 

進藤さんの前編インタビュー「バセドウ病、子宮筋腫の症状に悩まされた40代」はこちら。

 

進藤やす子さん(49歳・イラストレーター)

更年期、私の場合。進藤やす子後編

コロナ禍に感じた不安や焦燥は、更年期あるあるだったのかも

2020年からのコロナ禍。どの業界も打撃を受け、仕事が減っていましたが、フリーランスである進藤さんにも波及しているように思えました。

 

「体が元気な限り働きたいとは思っていたんですけど、雑誌が次々と休刊になったりして、『私はいつまでイラストレーターとして働いていけるんだろう』という不安が募って、不安で泣いちゃうようなこともあったんです。

今思えば、仕事と仕事の狭間で少し仕事が減っていただけだったんですけど、暇な期間ができてすごく心配になっていた。親にも『不安だ、不安だ』と話してましたし、都落ちして実家に帰らなきゃいけないかも…みたいな言い方をしていました。

それがまさに、よくいう更年期あるあるの不安感や焦燥感みたいなものだったのかもしれません」

 

さらには、ホットフラッシュのような症状も起きてきました。子宮筋腫で子宮を全摘してからは生理もなく快適に過ごしていたので、婦人科には行かなくなっていました。エストロゲンを分泌する卵巣は残しているので、子宮を取ってもホルモンは出続けているはずですが、やはり年齢とともに女性ホルモンがじわじわと減ってきていたのでしょう。

進藤さんのホットフラッシュは、特にじっとしているときや夜寝るときにひどいそうです。

 

「それまではずっと冷え症で、夜は足が冷えて眠れないタイプだったのに、それが逆。ともかく暑いんです。夜寝ている間に布団から必ず脚を出してしまう。

新幹線に乗っているときなども、冷房が効いているにもかかわらず『あっつーい』とパタパタ。服は汗で濡れるし、髪を巻いて外出しても、汗の湿気ですべて取れちゃう。

そういえば、母親も40代から60代にかけてホットフラッシュがひどかった。私にもついにきたな〜という感じですね。

バセドウ病でもあるので、汗っかきの症状は経験していて予行演習はできていたんですが、それとこれとは明らかに違います。『本物のホットフラッシュがきたな』って感じです!」

 

更年期、私の場合。進藤やす子後編

いろいろあるけれど、多忙な日々は不調を忘れさせてくれる

ホットフラッシュ以外にも気になることはあります。髪の毛がものすごくうねりやすくなったとか、急に歯並びがガタガタになってきたとか、老眼が進んで見えにくいとか…。挙げればキリがないそう。

 

「探せばいろいろあるけれど、人は経年劣化していくんだな、と受け止めています。

私の中では、更年期は誰でも通る道なので、あまり深刻に受け止めたくないと思っているところがあって。更年期に起こっていることを隠すマインドが一切ないので、友達ともよく話します。すんなり受け入れて、むしろみんなで面白がっているほうかもしれないです。ネタですね、ネタ」

 

ところで、44歳でバセドウ病を発症した進藤さん。定期的に病院に通って治療(飲み薬)を続け、いろいろな症状は治まっているはずでした。

本業のイラストレーターのほかに、2023年春から山形県の東北芸術工科大学デザイン工学部に准教授として迎えられ、新しい環境に入ろうとしていたとき。就職するタイミングで健康診断を受けると、不整脈という診断。不整脈はバセドウ病の症状のひとつ、つまり、再発しているということ!

 

「子宮筋腫も手術でよくなったことで調子に乗っちゃったのか、ある期間、甲状腺の病院に行かなくなっていたんです。バセドウ病は完治せず寛解するだけなのに、症状が治まっていたから、勝手に治ったかのように思い込んだといいますか、もともと病院嫌いですからね。

新しい職場の敷地が広いせいか移動で息切れするようになったり、痩せてきたのは行動量が増えたせいかな、なんて思っていたんですが、まさにどちらもバセドウ病の症状でした。

おかげで一時は、2週間ごとに甲状腺の病院に通わなくてはいけなくなりました。今は少し落ち着いて1カ月半おきです。ともかく病院嫌いを直さないといけませんね」

現在は、大学の授業のために東京と山形を行き来する日々。新幹線での移動は日常、週に何日かは山形泊と多忙な毎日を送っています。

「髪のうねりが…肌の調子が…とか、考えている暇がない感じです。とにかく朝起きて授業に行かなきゃいけない。

私は大学では初心者マークがついている状態で、苦手な経理とかもやらなきゃいけないし、1年たっても毎日がバタバタです。そして、今は学生ファーストな生活。完全に黒子として生きています。

その分、やりがいがあって心が安定しているし、充実しているのであまり更年期のことを考えなくていいのも、私にはグッドタイミングでした。

寝るときにだけ、何かこう体が更年期を思い出すのか、ホットフラッシュに見舞われるんですけどね」

 

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進藤やす子

Yasuko Shindo
1974
年生まれ。武蔵野美術大学卒業後、ライオン広告制作部デザイン室にパッケージデザイナーとして5年間勤務後、フリーランスのイラストレーターとして独立。女性誌や広告媒体で活躍するとともに、イラストコラムを連載して人気に。多数のブランドとコラボ商品を展開するほか、各地のホテル取材もライフワーク。『簡単におしゃれ度UP! 大人の着こなしルール』(宝島社)ほか、著書多数。20234月より東北芸術工科大学デザイン工学部グラフィックデザイン科准教授としてのキャリアもスタート。Web「よみタイ」にて「イラストレーター、准教授になる」連載中。

Instagram:@yasukoshindo

 

 

 

撮影/富田一也 取材・文/蓮見則子

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