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ホルモン補充療法をする人に朗報! 乳がんのリスクを上げない「天然型の黄体ホルモン」が保険適用に!

最新知見をつねにキャッチ、研究論文も書き、さまざまな治療法を取り入れて対応する、お話も上手なスーパードクター、産婦人科医師の吉形玲美先生。ご自分も更年期世代ということもあり、困っている女性の気持ちに寄り添ってくれるのは本当にうれしい限り! 今回はホルモン補充療法(HRT)についての知識を一緒にアップデートしましょう。

【教えていただいた方】

吉形玲美
吉形玲美さん
産婦人科医、医学博士
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浜松町ハマサイトクリニック特別顧問。大学病院で医療の最前線に立ち、女性医療・更年期医療のさまざまな臨床研究にも数多く携わる。女性予防医療を広めたいという思いから、現クリニックへ。更年期、妊活、月経不順など女性の体のホルモンマネジメントが得意。著書に『40代から始めよう! 閉経マネジメント』(講談社)

天然型黄体ホルモンの登場で、ホルモン補充療法が身近に! 

こんにちは。産婦人科専門医の吉形玲美です!

今、ホルモン補充療法(HRT)を受ける患者さんが増えています。

「更年期のつらい症状を我慢しないでほしい!」と訴え続けてきた私としては、これはすごくうれしい傾向です。

 

ホルモン補充療法の最近のトピックといえば、やはり天然型の黄体ホルモン剤の登場。

待ちに待った薬が保険治療で使えるようになったことですね。

これまでの研究で、長く使うと「ごくわずかではあるものの乳がんリスクが上昇する」要因として、黄体ホルモンの種類が影響し、天然型に近いほどそのリスクは下がることが示されていました。一般によく「ホルモン補充療法は5年まで」といわれていた理由のひとつでもあります。

 

新しい天然型黄体ホルモン剤「エフメノ🄬カプセル」は、5年以上の長期使用でも乳がん発生率が、HRTを行っていない人と変わらないという研究結果が得られている薬。

長い間ホルモン補充療法を続ける選択肢が増えたということです。

 

Point

・天然型黄体ホルモン剤 :卵巣で作られるホルモンと同じ構造 → 乳がんリスクを上げない

・合成型黄体ホルモン剤 :吸収しやすくするなどの目的で人工的に合成 → 長期使用でわずかではあるが乳がんリスクが上がるという研究報告がある

・前提として、肥満や飲酒などの生活習慣に比べて、HRTが影響する乳がんリスクはとてもわずか。

 

黄体ホルモンが必要な意味、おさらいしましょう

そもそもホルモン補充療法は、女性ホルモン「エストロゲン」を補う治療のこと。エストロゲンの欠乏によって起きている症状を、エストロゲンそのものを補充して軽減する根本治療です。

では、なぜ別のホルモン剤が必要なのか?

ここがわからないと今日のお話はややこしいので、まずおさらいをしますね。

 

エストロゲンは、子宮内膜を厚くして受精卵を迎える準備をする働きをします。でも、子宮内膜が厚い状態が続くと子宮内膜増殖症や子宮体がん(子宮内膜がんともいいます)になりやすい傾向に。

そこで、もうひとつの女性ホルモン「黄体ホルモン」を使って子宮内膜の増殖を抑えたり、月経のような出血を起こして“子宮内膜の掃除”をしなくてはなりません。

だからホルモン補充療法では、エストロゲンと黄体ホルモンを一緒に使うのが基本。両方が配合された便利な薬もあります。

 

一方、何らかの理由で子宮を摘出した人は子宮体がんになる心配がないので、掃除役の黄体ホルモンは不要。エストロゲン剤のみでOKです。

ちなみに、主役のエストロゲン剤のほうは以前から天然型の薬がいくつも出ていました。

薬剤名は「ジュリナ」「エストラーナテープ」「ル・エストロジェル」「ディビゲル」などです。

 

私としては天然型の組み合わせをおすすめしたいところですが、エストロゲンと黄体ホルモンが組み合わさっている錠剤や、パッチ剤もあり、その使いやすさからこちらを選択する場合もあります。

また、他院で合成型を処方されていた患者さんに、「天然型にしましょうか」と薬を変えたところ、「前のほうが体感がよかった」ということで合成型に戻したこともありました。

“体感”もやはり大事なんです。

 

Point

・ホルモン補充療法は、エストロゲン剤と黄体ホルモン剤の併用が基本

・子宮がない人はエストロゲン剤のみの補充でOK

・2種類のホルモンが組み合わさった薬剤は使いやすい

 

 

使う薬を自分からリクエストしてもいい時代です!

さて、ホルモン補充療法で使う薬には「飲む」「貼る」「塗る」の3タイプがあります。

腟剤というものもありますが、厳密にはやや種類が異なります。 すべて保険適用のうえ、比較的安価です。

*アンチエイジングクリニックなど、自費診療の場合はその限りではありません。

 

飲み薬は肝臓で代謝されるので、肝機能が心配な方は避けたほうが無難でしょう。パッチ剤やジェル剤など経皮吸収タイプなら内臓に負担はかからないけれど、肌の弱い人、かぶれやすい人には不向き。

私の患者さんで使う人が増えてきたのはジェル剤のエストロゲンですね。特に天然型の「ル・エストロジェル」。

プッシュ式のボトルで腕に塗るのですが、まるで化粧品のボディジェルのように使いやすいです。「ディビゲル」は1日分ずつ小さなパックになっていて、旅行や外泊のときに持ち運びしやすくなっています。

 

以前から人気なのは貼り薬。エストロゲンと黄体ホルモン両方が配合された「メノエイドコンビパッチ」は、お腹の横に貼ります。パッチの材質が硬めなのでかぶれやすい人もいますが、「貼るだけで楽!」という声もよく聞きます。

 

子宮のない人なら、前述のル・エストロジェル、ディビゲルのほかに、貼り薬「エストラーナテープ」もあります。こちらも天然型エストロゲン剤で、パッチも柔らかいのでかぶれにくいはず。

パッチ剤では肌が心配な人、スポーツクラブや温泉などでパッチが見えるのが嫌な人がジェルを選んでいるようです。 そう、お薬のタイプは自分からリクエストしてもいいのです。

医師によっては「うちでは出していません」と言われるかもしれませんが、きちんと理解した結果なら、堂々と希望を言いましょう。

 

Point

・ホルモン補充療法に使われるホルモン剤は3タイプ

・経口薬(飲み薬)、経皮薬(貼り薬・塗り薬)

 

 

イラスト/Shutterstock   取材・文・画像制作/蓮見則子

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第2回/ホルモン補充療法(HRT)は、年齢に関係なく受けられるってホント?

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