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更年期の不調を乗り切るには? 自分で治す力、自分の体を自分でよくしていく力のつけ方があります!

「お話がわかりやすい!」と評判の産婦人科医師、吉形玲美先生。大学病院で20代から更年期医療にかかわり、今では自分自身も更年期世代に。今回も更年期症状を改善していくためのTips、ホルモン補充療法を第一選択肢に選ばない人にも、ためになるアドバイスが盛りだくさんです。

更年期外来がなかなか増えない本当の理由とは?

こんにちは。産婦人科専門医の吉形玲美です!

更年期の不調とのつき合い方について、「かかりつけの婦人科医を持つことがいちばん大事」とずっと言い続けてきました。

でも、言えば言うほど「なかなかいい先生に出会えないんですよ〜」という声も少なくありません。

地域によっては、まだ更年期専門の外来が少ないですしね。産科と婦人科を一緒に扱う婦人科が多く、更年期の女性が気軽に医師に相談できる環境は十分ではないと感じています。

 

ちょっと余談になりますが、実は更年期外来ってとっても大変なんですよ。 私は大学の産婦人科にいたとき、手術や入院患者さんの管理、さまざまな臨床研究にも携わっていました。そんな中、20代で更年期外来を任されたのです。

 

更年期の患者さんにとっては娘のようなもの。楽しくお話をしてくださる人もいますし、手厳しい人もいます。

私は一生懸命頑張っているつもりだったけれど、特にメンタルに不調のある患者さんの診察では、心が折れることも…。

当直明けで体がつらいときなんかに、カッカされたりチクチク言われてしまうと涙が出ちゃって。一人終わったら涙を拭き、また次の方で涙…みたいなときもありました。

今も私は大学で更年期外来を継続しているんですが、当時からの患者さんもいて、もう80代になられた方も。

やっててよかったと思う半面、普通は20代で外来診療だけやっていたら、心が潰れちゃうかも、続かないかも、と思ったりします。

 

同じ産婦人科の教授でも、婦人科の腫瘍が専門だったり周産期が専門だったりすると、更年期医療とは一線を画しています。 更年期不調は命にかかわるものではない、急性期の疾患でもないので、そうなってしまうのは仕方がないですよね。

 

更年期医療にかかわる医師が少ないのも、なんとなくわかっていただけましたか?

ただ、ここ数年で状況は大きく前進しています。

女性医療に通じた婦人科外来も増えてきていて、「女性医療に関わりたい」という若い医師たちも増えてきています。

だから、女性が普通に婦人科のかかりつけ医を持てるようになるには、あともう少しだけ待たなきゃね、と思うのです。

 

 

 

知識は一番の味方。信頼できる情報を見極める力を!

そんな世の中になるまでに私が強く推したいのは、まずはセルフマネジメント。もとい「セルフメディケーション」です。

近年、日本の厚労省もこの言葉を使っていますよね。

WHO(世界保健機関)によれば、セルフメディケーションとは「自分自身の健康に責任を持ち、軽度な身体の不調は自分で手当てすること」という意味です。

 

人生100年時代といわれ、保険診療も限界が見えていて。

日本人は70代以降に、人生のほぼ半分以上の医療費を使うんです。 そんな莫大な医療費は払いたくない、高齢になる前になんとかしたいと思うでしょう?

 

 

それなら、まずは知識を深めてほしい。

今は医療についてもあちこちで「まず自分で調べて」「ネットで調べて」というのが常套句のようになっています。

それも間違いではないけれど、ネット上には間違った情報もあふれています。 信頼できる情報を見極める視点を持つことが大事。

 

例えばネットの記事でも、医療機関が運営しているサイト、医師が監修しているものだけを読む、と決めるなどです。

これもよく言っていますが、知識は一番の味方です。

更年期で明らかな不調がある場合、知識がなくてどんどんつらくなっていく人は、更年期が過ぎた頃に疲れ果て、老けていってしまいます。

知識をたくさん持っている人は、きっともう治療を始めている。更年期を卒業した頃には、次のステージに向けてハツラツとしているはずです。

 

例えば、病院に行くまでの前段階で、ちゃんとセルフメディケーションができている人は、医師との関係もうまく築けます。

若いときから知識を蓄えてきた人は、更年期になったら進んで婦人科へ行き、「こういうことで困っているから治療がしたいです」と言える。 先生もすぐに「そうですね、わかりました」となる。

そうしたら診察時間は7分でいいんです。 先生にもよりますが、更年期の外来で保険診療なら診察予約枠は一人10分から15分。保険診療で一人に30分かける余裕はない。 でも、更年期の方はかかっちゃう。

更年期のさまざまな不調が整理できず、あれもこれもと、とりとめなくお話をされる方や、「更年期というのはね」と、一から説明しないといけない人も多いからです。今の日本ではまだ。

 

 食事、運動、睡眠はもちろん、サプリメントにも目を向けて 

更年期のつらい症状がある人向けには、前回前々回とHRT(ホルモン補充療法)のお話をしました。 でも、全員が治療を受けられるわけではありません。

乳がんなどを患った人、子宮筋腫が大きい人などはやりたくてもできない。 はたまた、薬を飲んだりする治療はいやだという人もいるかもしれません。

 

そこでやはりセルフメディケーション!

今はフェムテック市場も広がり、更年期かどうかを自分でチェックできる検査キットから、治療に準ずるサプリメント、オンラインサービスやアプリ、セルフケアグッズ…と、利用しない手はないアイテムがそろっています。

逆に、いろいろなものが出回りすぎて、使ってもいいものか不向きなのかがわからないことも…。

例えば、外陰部にびっくりするものを塗っていたケースもあります。 フェムゾーンにかゆみやヒリつきがあるからと、市販の軟膏や強いかゆみ止めを使って、逆に症状を悪化させている人も外来には来ます。 え、なぜそれを塗ったの? みたいな。

 

正しい知識を持っていないと、治らないばかりか、より時間もお金もかかりますよね。 あとは、何に効くのかよくわからないすごく高額なサプリを飲んでいる人もいました。

パッケージ裏を見たら、原材料には化学成分と保存料、食品添加物がズラリだったりすることもあるんです。 それが今のあなたに必要だとどこかに書いてあったの? という感じ。

 

もう少し、自分の口に入れるものや、体に触れるものを丁寧に見てみませんか?

女性ホルモンが激減した更年期女性のセルフケアとして、必要なものはほかにあるはず。 何かひとつ、と言われたら、私なら「エクオール」サプリを推します!

 

私が力を入れて開発したエクオールのサプリメントにしても、効果効能があるというデータがきちんとあります。臨床データなどが公開されているものは、難しくても目に止めてみましょう。

更年期症状は必ず卒業するもの。 今、更年期と向き合っているその時間は、これからの人生、特に70代以降の自分の人生をよりよくしていくための貴重な時期です。

 

フェムケアも骨ケアも、認知症の予防なども、更年期に始めてみたら、暮らしがだんだん丁寧に変わっていく気がします。

 

 

【教えていただいた方】

吉形玲美
吉形玲美さん
産婦人科医、医学博士
公式サイトを見る
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浜松町ハマサイトクリニック特別顧問。大学病院で医療の最前線に立ち、女性医療・更年期医療のさまざまな臨床研究にも数多く携わる。女性予防医療を広めたいという思いから、現クリニックへ。更年期、妊活、月経不順など女性の体のホルモンマネジメントが得意。著書に『40代から始めよう! 閉経マネジメント』(講談社)

 

イラスト/Shutterstock   取材・文・画像制作/蓮見則子

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