咲子さん(仮名) 53歳・音楽関係
【HISTORY】
■42歳:生理中の気持ちの落ち込みがひどく、婦人科を受診。精神安定剤を処方される
■49歳:五十肩になり、夜も眠れないほどの痛みが出る。不眠や倦怠感も現れ、エクオールをとり始める
■50歳:不眠やだるさ、気持ちの落ち込みが改善されず、HRT(ホルモン補充療法)を開始
プレ更年期? 40歳になって、生理時期のつらさがどんどん悪化
若い頃から生理痛がひどく、常に鎮痛薬を服用していた咲子さん。42歳の頃、生理が始まると同時にガクッと気持ちが落ち込むようになったといいます。
「もともと何でも積極的にやりたいタイプなのですが、何もしたくなくなってしまい、自分でも戸惑いました。『プレ更年期』という言葉を見聞きしていたので、もしかしてこれかも?と思い、婦人科で血液検査をしたのですが『数値的にはまだ更年期ではない』と診断され、頓服として精神安定剤を処方されました。飲んでみると確かに体は軽くなったけど、強い薬だったので必要なときだけ飲むようにしています」
その後、49歳で五十肩になり、夜も眠れないほどの痛みが一日中続くようになると、時を同じくして、気持ちの落ち込みや中途覚醒にも悩まされるように。
「最初、眠れないのは運動不足のせいかもしれないとスイミングを始めたのですが、体は疲れているのに眠れず、ますます調子が悪くなってしまって…。更年期については自分なりにリサーチしていたので、不眠、気持ちの落ち込み、体のだるさ…ときて、これは更年期に突入したなとピンときました。
42歳のときにお世話になった婦人科の先生はあまり親身になって話を聞いてもらえませんでした。その後、違う病院を探して『HRTをやりたい』と伝えたら、『漢方が効くかもしれませんよ』と提案されたのですが、服用してもあまり変化がなく。50歳になった頃から、希望通りHRTを始めました。塗るタイプのジェルを毎日腕に塗り、黄体ホルモン製剤を服用しています」
低め安定でコンディションキープ。プレ更年期は、自分の老いを認める時間だった
HRTを始めて2年が過ぎた頃から、少しずつ体調と気持ちが上向き始め、今は「低め安定」のコンディションをキープできているそう。
「たとえるなら、今までは毎日、不調の海に溺れているような状態でした。でもある朝、首から上が水面に出たかも?という気がしたんです。気持ち的に呼吸しやすくなったというか。『もしかしたら、ちょっとよくなったかもしれない』と思えました。
今も日々もがいているし、やる気全開!といえる感じではないけれど、6割ぐらいまで戻ってきたかな。今までは、やる気ゼロで布団から出たくありませんでしたから」
42歳で「プレ更年期かも?」と婦人科を受診してから10年の日々を、咲子さんは「自分の老いを受け入れる時間だったのかも」と振り返ります。
「40歳になったとき、まだまだ若いし人生は長いと思いつつ、『もう40か…』と焦る気持ちもありました。42歳のプレ更年期があったからこそ、10年かけて少しずつ自分の老いを認め、受け入れていく時間にできたのかなと。特にHRTを始めてからの3年間で、『自分の体はこういうふうに収束していくんだ』と受け入れられるようになってきました」
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月経の量も少なくなり、昨年の終わりに初めて生理がこない月を経験。「いよいよ生理を卒業かな」と感じたといいます。
「それも“私”。落ち込んでいた気持ちもだいぶ上がってきたので、今の自分を認めながら、諦めずに生きていきたいなって思います。
週に3〜4回はYouTubeを見ながら自重筋トレをするようになりました。音楽の仕事もまだまだうまくなりたいし、おしゃれも美容も諦めたくない。そう思えるようになりました」
イラスト/白ふくろう舎 取材・文/国分美由紀
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