更年期に多い肌トラブルは、「気・血・水」のバランスがどのように乱れていると生じやすくなるのでしょうか。そして、どんな漢方薬が効くのでしょう。例を挙げてご紹介します。
同じような症状がある人は参考にしてください。
更年期の肌トラブル別・漢方での対処法
疲れが取れず、肌も乾燥ぎみ
⇒【気虚】
更年期になると疲れやすくなったり、風邪をひきやすくなったり、胃もたれしやすくなったりと体力が落ちて「気虚」になりやすくなります。気虚になると全身の皮膚が薄くなって刺激に敏感になり、ボディソープで体を洗うといったちょっとしたことで肌が乾燥します。このような場合、補中益気湯(ほちゅうえっきとう)などの気虚を改善する漢方薬が効果的。元気が出て、皮膚も丈夫に。
イライラすると首の後ろがかゆくなる
⇒【気滞】
OurAge世代は、親の介護や子どもの進学などさまざまな問題によりストレスを抱えがちで、気が滞る「気滞」にもなりがち。するとイライラしやすくなり、それがかゆみを悪化させます。特に首の後ろがかゆくなることが多いようです。気滞は脇腹を軽く押しただけで痛みを感じるのが特徴。このような場合、柴胡桂枝湯(さいこけいしとう)という気を流す漢方薬が効果を発揮。ストレスによる神経性胃炎がある場合にも効果的です。
汗で顔がかゆい
⇒【水毒】【瘀血】
更年期に増えるのが、ちょっとした拍子に流れるように汗が出る冷えのぼせの症状です。これは瘀血や水毒の状態。汗が出るので顔がいつもじとじとしてかゆくなります。つい強くこすってしまい炎症を起こす場合も。このような場合、瘀血と水毒のどちらにも効く桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)や加味逍遙散(かみしょうようさん)などの漢方薬を用います。冷えのぼせが改善し、顔のかゆみも生じにくくなります。
下着の当たる部分が赤くなり、かゆい
⇒【水毒】【気虚】
多汗症で汗をかきやすく、脇の下や乳房の下など下着が食い込む部分がべたついてかゆみが出るというのも更年期に多い症状。これは水毒と気虚の状態。水毒になると汗をかきやすく、それに加えて気虚で皮膚が薄くなっているため、刺激に過敏になりかゆみが生じるのです。このような場合によいのが防已黄耆湯(ぼういおうぎとう)。水毒にも気虚にも効き、皮膚が丈夫になり、かゆみも改善。
次回も更年期によくある肌トラブルとそれに合う漢方をご紹介します!
イラスト/中村久美 取材・原文/和田美穂