漢方薬と鍼、生活改善で症状を克服!
高木美保さん(女優 1965年生まれ・ 54 歳)
女優、エッセイスト、タレントなど幅広く活動。
著書に農業体験をエッセイにした『生かされている私 ナチュラリストの幸せ』(講談社)など。
現在は自身で絵を描き、DVをテーマにした、初の絵本に取り組む
バランスのいい食事や運動、
鍼灸などでメンテナンスを
「私の最初の症状は激しい動悸でした。もう心臓が胸から飛び出るんじゃないかと思うくらい。でも更年期症状でよく聞くのはホットフラッシュだったので、そのときには気づかずに、心臓の検査をしました」
ところが、その内科の先生曰く「年齢的にみても、これは更年期なのでは?」。そのドクターは実は、婦人科出身だったのです。当時、高木美保さんは 46 歳頃。その年齢を考慮してHRTをすすめられました。
「原因が誰にでも訪れる更年期症状だとわかり、安心したとたんに動悸が軽くなったんです(笑)。1カ月近く、誰にも相談できず、原因がわからずに悩んでいた、その不安が症状を悪化させていたのかもしれません」
そしてHRTを始めて、動悸は治まり、低迷していた気持ちも盛り返し、やる気も満ちてきました。
「でもHRTを開始して2カ月間で体重が4㎏も増えてしまって…。仕事に支障が出るので、医師と相談して、漢方薬に切り替えました」
更年期の症状は、女性ホルモンの分泌が急激に減ることに脳がついていけず、混乱することが原因。
「ホルモンを補ったことで、脳が納得したようで、HRTをやめたあとも、ひどい症状はなくなりました」
とはいえ、動悸のほかに、頭痛、不安感、ホットフラッシュなどを経験。これらも最初に行ったHRTとあとの漢方薬、エクオール系のサプリメントが役に立ったそう。
もともと高木さんは自律神経が繊細なタイプで、漢方薬とは長いつき合い。これを更年期処方に切り替え、おもな症状が治まった現在も、調子が悪いときにだけ、頓服として服用しています。
「漢方薬はその人の証(体質)に合わせて処方されたものを飲むのが鉄則です。私が飲んで効いたからといって、誰にでも効くものではありません。市販品を買うよりも、きちん と漢方の薬剤師に問診や舌診などをしてもらうことをおすすめします」
例えば、生活スタイルやリズム、その中に隠れているストレス、親の体質まで考慮することも。
高木さんの場合、執筆仕事などが深夜に及ぶことがあり、自宅がある田舎と東京を行き来する中で、思い通りの時間の割り振りができず、どうしても生活が不規則になりがち。また集中力を要する仕事であることなども考慮した処方に。
「もう人生相談みたい(笑)。そうした細かいところまで診て、たとえ同じ加味逍遙散(かみしょうようさん)であっても、生薬のさじ加減が微妙に違う、その人だけのカスタマイズ漢方薬であることが重要です」
漢方薬局とは30年のつき合い。
症状別に頓服薬を常備して
写真手前が更年期用の高木さん仕様の「加味逍遙散」。上は右から、二日酔い用、胃の調子が悪いとき用、疲れたとき用。いずれも服用しやすい顆粒状で。
初回は1時間ほどじっくりと症状について問診を行う、昔ながらの漢方薬局。その人の証や生活スタイルなども考慮して、微妙なさじ加減でその人に合った薬が処方されます。
「銀座ペンギン薬局」 ☎03-3574-8278(漢方相談は要予約)
次回は、高木美保さんの更年期とのつき合い方(後編)をご紹介します。
撮影/玉置順子(t.cube) ヘア&メイク/銭盛孝子(特攻隊) 取材・原文/山村浩子