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女性のLDL、総コレステロール値の新しい基準範囲は?/急速に進む血管の老化に要注意!(後編)

血管の老化を予防するために必要なこと、注意すべきことをご紹介。

男女で違う脂質の基準範囲を知り、日々の生活のなかでできる脂質コントロール法をできることから実践しましょう。

 

 

天野惠子さん Keiko Amano
1942年生まれ。女性内科医師。静風荘病院特別顧問。
日本における「性差医療」のスペシャリスト。
診療は完全予約制で、初診は30分以上かけて丁寧に行うなど、医療に対する真摯な姿 勢に定評が
公式サイト

 

年齢別に記された基準範囲

年齢別に記されたLDLコレステロール基準範囲

日本人間ドック学会が発表した基準範囲は、女性ホルモンの影響を考慮して、年齢別に示されています。
参考/天野惠子先生著『女性の「コレステロール」「中性脂肪」はこうして落とす!』(PHP)

 

女性は男性とは違う新しい基準範囲も参考に!

 

定期健診の血液検査で、閉経後にLDLコレステロール値が高くなっていて、びっくりする人も少なくありません。「でも慌てなくても大丈夫! 女性ホルモンがなくなるこ とによる、正常な反応です」

 

現在、一般的な健診で導入されているのは、日本動脈硬化学会が示した基準値で、脂質異常と診断されるのは、中性脂肪150㎎/dL以上、LDLコレステロール140㎎/dL以上、HDLコレステロール値40㎎/dL未満。男女で同じ数値が使われています。

 

「しかし、女性は女性ホルモンの変動の影響を受けるため、年齢によって基準値を変えるべきだと考えています」

そこで、2014年に日本人間ドック学会が発表した、新しい基準範囲(上記)を見てみると、総コレステロール値とLDLコレステロール値は年齢別に、全体的に高い数値が示されています。これは健康な人の値を統計的に解析したもので、疾患判別値と異りますが、ご参考に!

 

 

●POINT1/油で脂を制す! 良質な油がカギ

脂質異常の予防には良質な油が役に立ちます。おすすめは、青魚に含まれるDHA・EPA、亜麻仁油などに含まれるオメガ3脂肪酸。血液をサラサラにして、動脈硬化の予防効果が

 

POINT2/適度な運動で脂肪燃焼&血管をしなやかに

血管の健康を守るためには、血流をよくすることが必要です。

それには適度な運動が一番。

早歩きによる有酸素運動と、スクワットなどで太ももなどの大きな筋肉を鍛えるのがおすすめ!

 

頸動脈(けいどうみゃく)エコーで血管の状態を知っておこう!

 

コレステロール値や中性脂肪値だけでは、血管が健康な状態かどうか断定することはできません。血圧や血糖値、肝機能の状態、喫煙の有無なども動脈硬化のリスク要因。こうしたデータをもとに、ある程度リスクを推測することができますが、50歳を過ぎたら一度受けてほしいのが頸動脈エコーです。首にある頸動脈に超音波を当てることで、血管の状態、動脈硬化の進み具合がわかります。その後、検査を5年ごとに継続するといいでしょう。

 

 

生活習慣で賢く脂質をコントロール!

 

コレステロールの7~8割は体内で作られ、食べ物から摂取されるのは2~3割程度。コレステロールの生成や貯蓄はすべて肝臓で行われ、一定に維持されるように調整されています。そのため、食べた物がすぐに血液中のコレステロール値に反映されるわけではありません。

 

しかしながら、長期にわたり、動物性脂肪をとりすぎればLDLコレステロールが増え、糖質や脂質、アルコールをとりすぎれば中性脂肪が増えます。  まずは偏った食事内容を改めること! そして積極的に 摂取したいのは、青魚に含まれるDHA・EPA、亜麻仁油 などに含まれるα-リノレン酸などのオメガ3脂肪酸です。

 

そして、しなやかで健康な血管を維持するためには、適度な運動も必須。有酸素運動は脂肪の燃焼を促して中性脂肪を減らし、筋トレはHDLコレステロールを増やすのに役立ちます。このふたつを組み合わせれば、さらに相乗効果の期待大。運動時間は30分、週に2~3回を目安に!

 

中性脂肪やコレステロールを適正に保つことが大切です

 

「コレステロール値を下げよう…といった言葉をよく聞くことから、中性脂肪やコレステロールは悪者のように思われています。しかし、コレステロールはタンパク質や糖質と並ぶ、3大栄養素の脂質の一種で、生命維持に欠かせないものです」と天野惠子先生。

 

人間の体にある約37兆個の細胞の細胞膜の材料になり、ウイルスなどの侵入を防ぐ働きをしています。コレステロールが少なすぎると細胞膜が弱くなり、免疫力が低下して、血管がもろくなります。体内にあるコレステロールの1/4は脳にあり、脳の神経細胞や神経線維も保護しています。ほかに、さまざまなホルモンや脂肪の吸収を助ける胆汁酸、骨を丈夫にするビタミンDの原料にもなります。

 

「しかしながら、コレステロールや中性脂肪が増えすぎると、血液の流れが悪くなり、血管に悪影響を与えます。血管の健康を維持するためには、適正にコントロールすることが大切です」

 

 

 

摂取した栄養はエネルギー源として使われます。しかし、そこで余った分は中性脂肪やLDLコレステロールに。栄養の偏りや運動不足が続くと、脂質異常と診断されることもあるので要注意!

 

 

イラスト/坂田優子 図表/ビー ワークス 取材・原文/山村浩子

 

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