腰痛や生理不順、尿もれなど40~50代の不調は「専門医でなければ治せない」と思っていませんか? でも体のねじれを戻し、筋肉の状態を柔らかくするエクササイズ習慣で、自分で改善することも可能です。
更年期の悩みを持つ女優の井上晴美さんとママ友K美さんが、理学療法士の田舎中真由美さんを訪ねました。
お話を伺ったのは
田舎中真由美さん
Mayumi Tayanaka
フィジオセンター センター長。臨床経験20年以上、1万5000人以上診てきた理学療法士。専門は腰や骨盤まわりの痛み、産後の骨盤まわりの緩みや痛み、尿もれの改善。 公式サイト
トラブルの原因、実は普段の体のクセだった!
井上晴美さんとママ友K美さんは年齢も近く、子どもも同じ3人で、出産時期も近かったそう。それぞれ年齢特有の不調を抱えていました(下カルテ参照)。
「生理不順も気になるのですが、腰痛や、腕が上がらない、膝痛などの悩みもあります。時々ストレッチはしているけれど、痛みが出たら、そのつど整体で治している状態です」(井上晴美さん)
「自己流で筋トレをしたり、エムセラ(骨盤底筋群を鍛える椅子状の治療器)やレーザー治療を受けたり。いろいろトライしても尿もれがまったく改善しなくて切実に悩んでます」(K美さん)
そんな二人が訪れたのは、理学療法士の田舎中真由美さんがセンター長を務めるフィジオセンター。問診とボディチェックを行ったところ、意外な原因が見えてきました。
理学療法士の田舎中真由美さん(上写真右)に相談する井上晴美さんとK美さん。フィジオセンターには施術ベッドのほか、トレーニングに必要なアイテムや機器があります。
「症状はそれぞれ異なるものの、二人に共通しているのは、骨盤が左側にねじれていること。真っすぐ立って骨盤に手を置いたとき、左右の手の位置が違っているのがわかりますか?」(田舎中真由美さん)
「本当だ!」。改めて自分の骨盤位置がわかって驚く二人。田舎中真由美さんいわく、骨盤がねじれた状態のままで体を使っていると、骨盤底筋のようなインナーマッスルも、うまく使えなくなってしまうのだとか。
「まずは骨盤のねじれをとり、ねじれのせいで硬くなっている筋肉を柔らかくします。つまり体の筋肉を本来あるべき状態に戻すこと。それから骨盤底筋を鍛えるエクササイズを行うことで、K美さんの尿もれも改善の余地はおおいにあると思いますよ。井上さんの腰痛は、骨盤の歪みや骨盤底筋が弱っている影響の可能性もあるし、今のうちからセルフトレーニングで予防しておくことが大切です」(田舎中真由美さん)
「スマホは左手で持つし、寝るときも左向きです。ということは、腰や腟そのものではなく、普段の体の使い方が原因なのかも! 体は全部、つながっているんですね」(井上晴美さん)
「だからこそ、早めの調整とトレーニングで、バランスのいい体をキープしていくことが大切です。さっそくチェックしてみましょう」(田舎中真由美さん)
お悩みカルテ
井上晴美さん(47歳)
- ●出産状況
33歳 第一子、35歳 第二子、37歳 第三子すべて帝王切開 - ●体の不調と悩み
腰痛、生理不順は年齢的なものなのか知りたい - ●悩みを解消するためにしていること
時々、整体に行く程度 - ●日中の過ごし方について
座っていることが多い(椅子あるいは床) - ●運動習慣について
軽いストレッチ程度
月経前症候群で、気分の落ち込み、イライラが出ることも。「母親が更年期の際に、メンタルのアップダウンがひどくてつらそうだったので、自分も今後が心配です」
ママ友K美さん(48歳)
- ●出産状況
33歳 第一子、35歳 第二子(4250g)、39歳 第三子 すべて自然分娩 - ●体の不調と悩み
1日に数回尿もれ。体を動かしているとき、運動するときなど。切実に悩んでいる - ●悩みを解消するためにしていること
レーザー治療、エムセラ治療、筋トレ(改善なし) - ●日中の過ごし方について
座っていることが多い(椅子あるいは床)、デスクワーク - ●運動習慣について
YouTubeを見ながら筋トレ・ストレッチ
尿もれ改善に真剣に取り組むようになったきっかけは、胃カメラを飲んだときの出来事。「起きたらひどい尿もれをしていて。看護師さんの驚いた表情がショックでした」
骨盤底まわりの状態をcheck!
●歪みとねじれ
後ろから姿勢をチェック。
「井上さんは、胸郭がかなり左にねじれていますね。胸のねじれが影響して、骨盤も左にねじれているようです」(田舎中真由美先生)
●腹直筋離開(ふくちょくきんりかい)のあるなし
二人とも、腹筋と腹筋の間が離れる「腹直筋離開」傾向。
「妊娠時、お腹が大きくなることで起こります。インナーマッスルが弱る原因にも」。
おへその下あたりに指を入れてみると、「あ、2.5本入る!」と井上晴美さん
●股関節の硬さ
井上さんの場合、股関節は柔らかく、合格ライン。
一方、K美さんは「硬いですね。座る際も、股関節をうまく使えていないようです」
フィジオセンターは腰痛や関節症、病後の不調などトラブルに対応する、理学療法士によるリハビリ&コンディショニングスペース。
東京都港区西新橋3-19-18
☎03-6402-7755
完全予約制。広い年代の人々を診ています。要問い合わせ。
井上晴美さん
Harumi Inoue
1974年生まれ、熊本県出身。16歳で芸能界入りし、ドラマ・映画・舞台など数多くの作品に出演。国際結婚ののち、現在3児の母。出産を機に東京を離れ、熊本で子育てと主婦業、女優業をこなしている。
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撮影/フルフォード海 ヘア&メイク/佐藤トモコ スタイリスト/寶田マリ 構成・原文/井尾淳子
※次回は、実際のトレーニング方法をご紹介します。