なおえビューティークリニック院長。京都府立医科大学卒業後、産婦人科医を経て、形成外科医として多くの女性の悩みに応える婦人科形成専門クリニックを、2011年に開院
咲江レディスクリニック院長。名古屋市立大学医学部卒業。日本産婦人科学会専門医。2002年開院。性交痛などの相談、治療、フェムケアゾーンの情報発信を行っている
ツヤマインド・ツヤボディでいこう!
年齢を言うと「若い!」と驚かれる人。「なるほど」と納得されてしまう人。ツヤor老けの分かれ道は、正しい腟ケアにあることが判明!
●腟ケア実践者が増加中。でも間違えている人も
毎日腟ケアを行う人は、更年期特有のトラブルが少なく、実年齢よりも若々しく見えるというのは本当? なおえビューティークリニック院長・喜田直江先生、咲江レディスクリニック院長・丹羽咲江先生は「イエス」と即答。
「ここ5年ほどで腟ケアを行う人は確実に増えています」(喜田直江先生)、「萎縮による性交痛や尿もれについても、あきらめたくないという前向きな声が増えました」(丹羽咲江先生)
時代も変わり、積極的に腟ケアをする人が増えたのはよい傾向。けれど一方では、「思い込みで間違ったケアを続けて症状が悪化する人も多い」とも。腟ケアの基本的な正しい知識を持つことが、ツヤマインド&ボディへの近道。さて、あなたは大丈夫?
閉経前後2大トラブルの現実
「洗う・保湿」の基本ケアだけではカバーできない「尿もれ(緩み)」「性交痛(萎縮)」。腟の内側2大トラブルが急増しています!
尿もれ・緩みはこんな人が多い!
尿もれ・緩みの改善のために来院する40代〜50代女性はとても多いそう。「尿もれの原因が腟の緩みなのか、骨盤底筋の筋力低下なのか。状態を診るべく腟圧を測り、場合によっては磁気マシンなどを使用する治療を行います」(喜田直江先生)。
最近は自宅で腟圧を測る市販製品も増えていて、自分の状態を知るにはおすすめだそう。ただし、「誤解している人も多い」とは丹羽咲江先生。
「腟圧を測る・腟トレボールを使う・スクワットをしている…どれも対策にはいいのですが、『それをしているから大丈夫』と思い込んでいる人が少なくありません。
どの方法も、『(起きている時間は)つねに腟や骨盤底筋を引き上げる!』という意識でいなければ改善しないもの。腟を締める感覚をつかめないままにスクワットなどのエクササイズを行うと、かえって臓器が下がるリスクもあるのです」(丹羽咲江先生)
10〜15㎖の液体を吸収するサニタリーパンツは尿もれに悩む人にも。
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乾燥・萎縮・性交痛も、大問題!
ひどい乾燥、腟萎縮による性交痛も深刻化。最近は「離婚後パートナーができたが、セックス時に痛くて挿入できなかった」という人がクリニックに駆け込む事態が急増。
「パートナーの有無や症状の強さにより、クリニックではレーザーやヒアルロン酸、切開手術などの治療を行います。半年ほどの治療期間で改善する人が多いですが、腟への刺激がないと元に戻ってしまうため、定期的な性交渉かケア、3〜4カ月に1度のメンテナンスも推奨しています」(喜田直江先生)。
つまり萎縮や性交痛問題も、「早くから腟ケアをしている人ほど避けられる」ということ。「40代後半には女性ホルモンも減って腟粘膜が薄くなり、セックス以外でも痛くて自転車に乗れない、乾燥も相まって下着の縫い目が痛い、フェムゾーンがかゆいなどの悩みが一気に増えます。保湿やマッサージなど、腟ケアは40代から始めて」(丹羽咲江先生)
乾燥・萎縮には保湿と、マッサージで血流を促すことが大切。その際、女性ホルモン、エストラジオール配合のオイルを使うことも効果的。
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●腟力チェックポイント
自分の腟を見たことも触ったこともない
「腟を締める」という感覚がわからない
(パートナーの有無を問わず)セックスをしていない
くしゃみ、軽い運動時に尿もれがある
フェムゾーン専用ケア製品は使っていない
40代〜50代で上記のチェック項目がひとつでも当てはまる人は、「尿もれ・緩み」「乾燥・萎縮・性交痛」のリスクを抱えているか、すでに症状が起きている可能性大! 関心のあるなしにかかわらず、腟は加齢とともに衰え、機能が低下します。一日も早くケアをしましょう。
撮影/角守裕二<花> 柳 香穂<物> イラスト/内藤しなこ 構成・原文/井尾淳子