閉経前後の不調や閉経する時期など、
実は知らないことが多い閉経バナシ、
読者からの素朴な疑問を対馬ルリ子先生に尋ねました!
1958年生まれ。対馬ルリ子女性ライフクリニック銀座・新宿理事長。女性の生涯にわたる健康推進活動に積極的。『「閉経」のホントがわかる本 更年期の体と心がラクになる!』(集英社)が大好評。
Q.初潮が早かった人は閉経も早いってホント?
ずばり、それは都市伝説でしょう。初経はそのときの体格(身長・体重・体脂肪)と関係しています。妊娠するために、そろそろ女性ホルモンの分泌を始めていいぞ、と脳が判断すると月経がスタートするのです。かたや閉経は、単純に卵巣の老化、寿命です。このように、初潮の年齢と閉経する年齢に関連性はありません。
Q.閉経の前後にどうして不調が起きるの?
閉経の前後5年、10年間の更年期。この時期、脳が指令を出しても卵巣からは女性ホルモン(エストロゲン)が分泌されないため、脳が「サボるな! 頑張れ!」と、さらに指令を出し続けます。その結果、自律神経や感情が不安定に。環境やストレスなどの引き金により、さまざまな不調が起きるのです。
Q.閉経する時期を予測することはできる?
更年期かどうかは血液検査でわかります。たいていはエストロゲン(E2)と卵胞刺激ホルモン(FSH)の数値から。また、卵巣内に残っている卵子の数を調べるAMH(アンチミューラリアンホルモン)血液検査では、値が低いほど閉経に近づいていると判定されます。自分でできるのは基礎体温をつけること。高温期がなくなると閉経が近づいている証し!
[年代別の卵子の数:平均値]
閉経に近づくと卵子の数は限りなくゼロに近づきます。
卵子数を調べるAMH(アンチミューラリアンホルモン)の数値が目安に。
Baker TG:Am Obstet Gynecol.1971 Jul. 1;110 (5): 746-61
こちらは婦人科で調べてくれる女性ホルモン値の検査。
FSHは脳が卵巣へ向けて出す指令で、高値ほど閉経が近いことに。
E2が低いことと併せて「更年期レベル」と判定
Q.不調が起きる人と起きない人、その差は?
閉経は誰もが通る通過点なのに、つらい不調が起きる人もいれば何事もなかったようにやり過ごす人もいます。この違いには、その人の置かれた環境、気質(性格)や体質、体力、ストレス耐性など、たくさんの要因がかかわっていると考えられます。何も抱えていないように見えて、よく聞けば不調が起きている人も多いものです。
Q.閉経に向かっているとき気をつけるべきことは?
全身を巡り、あらゆる組織で健康を維持するために働いていた女性ホルモン。更年期にこの守り神がいなくなると、体の弱いところが表面化してます。急にコレステロール値が上がる、血圧が上がる、骨密度が下がる、糖尿病に近づく、などはよくある変化。遺伝的な要因がある人は特に注意が必要です。
Q.早発閉経って?
閉経の平均年齢が50歳頃とすると、平均的な更年期は45〜55歳。とはいえ40代前半で閉経しても早発閉経とはいいません。早発閉経は40歳未満で自然閉経(無月経の状態が1年以上続く)に至ること。がん治療や子宮・卵巣摘出による閉経は人工閉経といい、何歳であっても早発閉経には含まれないことも覚えておきましょう。
次回は、実は悩んでいる人が多いという「閉経前後の子宮筋腫」について、対馬ルリ子さんに教えていただきます。
イラスト/カツヤマケイコ 構成・原文/蓮見則子