子宮や卵巣の病気で、40代以降の女性にいちばん多いのが子宮筋腫。
閉経前後ならどう治療すべき? 選ぶのは自分です!
閉経後の子宮筋腫、どうする?
閉経後には小さくなると
わかっている筋腫でも…
小さなものまで含めれば、ほとんどの女性にあるといってもいい子宮筋腫。子宮にできるコブ、良性の腫瘍で、硬いゴムのボールのようなツルツルした筋肉の塊です。できる場所によって症状が違い、大きさもさまざま。多発する人では大小 50 個以上持っていることも! 女性ホルモンの影響で大きくなり、出産経験がない、または出産回数が少ない現代女性は、排卵と月経回数が多いため子宮筋腫ができやすいといえます。
月経痛がひどくなったり、経血量が異常に増えた、経血に血の塊が混じる…などの症状が続く場合は、まず子宮筋腫を疑います。
「症状がなく、大きさが3㎝以下なら年に1回の経過観察で、それ以上なら半年に1回は検診を。でも症状が激烈ならそう悠長にしてはいられません。まずは薬で対応し、追って手術を考えるなどの対応をします。
ずっと症状がない場合もありますが、粘膜下筋腫はわずか1〜 1.5 ㎝でも大出血することが。『筋腫分娩』といって、粘膜下筋腫が子宮から腟内に出てしまうこともあります。緊急で運ばれてきて、輸血しながら子宮摘出するケースもよくあるんですよ」(対馬ルリ子先生)
今後の Q O L を考慮して
全摘するのもひとつの選択
治療や手術の目安は?
「子宮筋腫の治療は、本人が困る症状があるかどうかで決まります。ピルやプロゲスチン製剤で女性ホルモンをコントロールするほか、内服で筋腫を小さくする新しい薬も出てきています。アワエイジ世代で悩むのは、つらい症状がある場合。閉経すると筋腫は縮むので、手術しないですむのでは、いや閉経まで何年あるかわからないし…と迷うわけです。
特に症状がなければそのまま閉経まで持っていても問題はありませんが、妊娠を希望する年代ではないので、子宮ごと全摘出することで根本的な解決にはなります。子宮を取ると更年期の症状が出るのではと勘違いしている人もいますが、女性ホルモンを分泌するのは卵巣なので、子宮を取っても関係ありません。また、閉経後にHRT(ホルモン補充療法)を受けたい場合は、筋腫を持ったままだと出血のリスクがあるということも知っておいてください」
対馬ルリ子さん Ruriko Tsushima
1958年生まれ。対馬ルリ子女性ライフクリニック銀座理事長。
産婦人科医・医学博士。女性の生涯にわたる健康のために、
さまざまな情報提供や啓蒙活動を行なっている
【子宮筋腫「先輩たちの選択」】
◆49歳の頃、お腹が出てきたと思ったら、グレープフルーツ大の子宮筋腫が見つかりました。女性ホルモン値を調べてもらうとすでに更年期レベルだとのこと。経血量が増えてはいましたが、筋腫は1年に一度の検診で経過観察すること数年。56歳で無事に閉経! 現在は筋腫がだいぶ小さくなっています。(ミキコさん・57歳)
◆54歳で子宮筋腫が多発していることがわかりました。生理痛も強く出血量も多くなってきていますが、まもなく閉経するだろうと踏んで、手術はしないことに決めました。ネットで子宮筋腫の症状を緩和してくれる新薬があると知り、それを処方してもらいにクリニックに行ったばかりです!(マリさん・54歳)
◆チョコレート嚢胞ができたのが50歳手前。卵巣がんのリスクが高いと知り、両側の卵巣摘出手術を受けることに。卵巣がなくなると更年期の症状が出るかもと医師から聞いて、ホルモン補充療法を受けたくなり、子宮がんのリスクも考えて子 宮も全摘出。今は予定通り、HRTを続けています。(ミカサさん・57歳)
◆40代前半に子宮筋腫に。毎月の大出血に閉口し、手術で筋腫を摘出しました。それでも50歳頃にはまた筋腫が増え、医師によれば「子宮がまるでぶどうのよう」な状態に…。出血量は増えるのに閉経の気配はないので、あっさり子宮全摘出を決意。正しい決断だったと思っています。(ハルミさん・59歳)
次回は、更年期を快適に過ごすための「閉経との新しいつきあい方」をご紹介します。
イラスト/カツヤマケイコ 構成・原文/蓮見則子