不調の引き金に気づいたら早いうちにケアを。「更年期だから仕方がない」と不調を我慢していると、身も心もボロボロになって後半の人生を送ることにもなりかねません。そのためには、小さな症状も初期に摘み取る心構えができるように、体のメカニズムを知っておくことが大切です。
お話を伺ったのは
八田真理子さん
Mariko Hatta
産婦人科医。1990年、聖マリアンナ医科大学医学部卒業。順天堂大学、千葉大学、松戸市立病院を経て、98年、千葉県松戸市で女性のためのクリニック「ジュノ・ヴェスタクリニック八田」を開業。幅広い世代の女性の診療を行い、クリニックはいつも女性でいっぱい。著書に『産婦人科医が教えるオトナ女子に知っておいてほしい大切なからだの話』(アスコム)など。
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たくさんの役目を担っていた女性ホルモン
「エストロゲン」が減るから不調が起こる
女性ホルモン(エストロゲン)は「性ホルモン」ですが、妊娠・出産にだけかかわっているわけではありません。全身のあらゆる場所に影響を与えているといってもいいほど重要な存在。
下で記すようにたくさんの役目を果たしていたホルモンが、閉経前後に急激に減少。その恩恵を受けられなくなった場所に不具合が起きてしまうのは当然のことなのです。
女性ホルモン「エストロゲン」のおもな働き
- ● 卵胞を育てる
- ● 妊娠に備え、子宮内膜を厚くする
- ● 女性らしい体をつくる
- ● 肌の潤いを保つ
- ● 髪のツヤを保つ
- ● 骨を丈夫に保つ
- ● 血管や関節をしなやかに保つ
- ● 脳の機能を維持する
- ● 自律神経を安定させる
- ● 動脈硬化を予防する
- ● 代謝を促して肥満を予防する
- ● 悪玉コレステロールを減らし、 善玉コレステロールを増やす
女性ホルモンが分泌されないと脳がパニック!
自律神経系が司っている部分に異常が起こる
ホルモンを出すよう卵巣に指令を送るのは、脳の下垂体の役目。卵巣が老化してホルモンが分泌されないと、脳下垂体が指令を出し続けてパニック状態に。
下垂体の近くには自律神経の中枢である視床下部があるため、全身を司る自律神経が誤作動を起こし、その結果、いろいろな機能に支障をきたします。これが多くの更年期不調の正体です。
イラスト/内藤しなこ 構成・原文/蓮見則子