不調に気づいたら早いうちにケアをすのが肝心。「更年期だから仕方がない」と不調を放置していると、身心共にボロボロになって後半生を送ることにもなりかねません。そのためにも、閉経前後の体の仕組みの変化を知っておくことが大切です。
お話を伺ったのは
八田真理子さん
Mariko Hatta
産婦人科医。1990年、聖マリアンナ医科大学医学部卒業。順天堂大学、千葉大学、松戸市立病院を経て、98年、千葉県松戸市で女性のためのクリニック「ジュノ・ヴェスタクリニック八田」を開業。幅広い世代の女性の診療を行い、クリニックはいつも女性でいっぱい。著書に『産婦人科医が教えるオトナ女子に知っておいてほしい大切なからだの話』(アスコム)など。
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環境や性格も不調の生じる引き金に
不調が起こる要因は大きく分けると以下の3つ。その要因が重なっている人ほど、つらい症状が出やすいといわれています。
特に注目したいのは、そのとき置かれている環境要因。仕事や家庭などのストレスが取り除かれると、途端に不調が改善する人も多いのです。
卵巣機能が低下してホルモンが激減
急激に女性ホルモンの分泌量が減ること
生まれつきの気質や体質
性格やストレスへの感受性、抵抗力など
そのとき置かれている環境
親の介護、夫・子との関係、職場や近所の人間関係など
上記の要因が重なっている人は、特に症状が出やすい
「やる気」がなくなるのは男性ホルモンも減るから
男性の1割以下の量ですが、女性も男性ホルモン(テストステロン)を卵巣や副腎から分泌しています。閉経後に女性ホルモンが低下すると、その働きを男性ホルモンが手伝い、気力や運動機能を高めたり、認知力を助けたりしてくれます。
男性ホルモンは女性ホルモンよりゆっくり減っていくのですが、人によっては男性ホルモンも激減し、仕事をバリバリこなすなどのバイタリティがなくなってしまうのです。やる気や気力がなくなっている人は、男性ホルモンを補充することもできます。
男性ホルモン「テストステロン」のおもな働き
- ● 筋肉・骨を強くする
- ● 血管を若々しく保つ
- ● バランス感覚や運動機能の向上
- ● バイタリティを高める
- ● 社会性を高める
- ● 認知機能を支える
- ● 気力・決断力を高める
- ● チャレンジ精神を支える
- ● リーダーシップを発揮する
- ● 好奇心・競争心を保つ
構成・原文/蓮見則子