イライラや落ち込み、うつなど、更年期に起きやすいメンタルの不調の改善には、「オキシトシン」という脳内の神経伝達物質を増やすことがおすすめです。気心の知れた人との心地よいおしゃべりなどで増やすことができるので、“オキ活”を取り入れてみませんか?
お話を伺ったのは
有田秀穂さん
Hideho Arita
東邦大学医学部名誉教授。セロトニンDojo代表。セロトニン研究の第一人者。おもな著書に『医者が教える疲れない人の脳「慢性疲労」を消す技術』(三笠書房)など
「オキシトシン」を増やせば、心が整う
前回ご紹介したセロトニンと同じ“幸せホルモン”であるオキシトシンを増やすのもおすすめ。
「オキシトシンには、セロトニンの分泌を促す作用や、ストレスホルモンの“コルチゾール”を減らす作用があるので、こちらも精神の安定に効果的。オキシトシンは、心地よいスキンシップやおしゃべりなどの“グルーミング”によって増やすことができます」
オキシトシンの働き
- ● セロトニンの分泌を促す
- ● ストレスホルモン"コルチゾール"の分泌を抑える
“幸せホルモン”オキシトシンを増やす「オキ活」の具体的な方法をチェック!
人とおしゃべりをする
オキシトシンは、人とおしゃべりをするだけで増やすことができます。
「ただし、仕事の話など難しい話をするのでは効果はありません。心地よさが絶対条件なので、気心の知れた人と楽しくおしゃべりをしましょう。とはいえ、現在はコロナ禍により、対面で話すのはなかなか難しい状況です。電話やメールだとオキシトシンを増やす効果はありませんが、Zoomなどのオンラインで顔を見ながらのおしゃべりなら有効です」
ペットと触れ合う
ペットなど動物と触れ合うのもオキシトシン増加に効果的。
「ペットと戯れるとストレスホルモンのコルチゾールが減り、オキシトシンが増えたという実験結果もあり、ペットとの触れ合いはおすすめです。犬との実験では、触れられた犬のオキシトシンも増えたという報告もあります。ペットがいない場合は、“猫カフェ”など好きな動物と触れ合える場所に行くのも◎」
マッサージをしてもらう
もちろん人間同士のスキンシップもオキシトシンの増加に効果が。
「エステサロンなどでマッサージを受けるとリラックスできると思いますが、これは肌に触れられることで、その刺激が脳に伝わり、オキシトシンが増えるためです。マッサージだけでなく、パートナーや家族とハグしたり、子どもを抱っこしたりすることでも効果が得られます」
イラスト/本田佳世 取材・原文/和田美穂