男性の更年期障害「LOH症候群」かどうかを、自分でチェックする方法を泌尿器科医の井手久満先生に教えてもらいました。パートナーが「LOH症候群かな?」と思ったときに、役立てて。
教えていただいたのは
低侵襲治療センター長。ロボット支援手術プロクター認定医、日本メンズヘルス医学会理事、日本抗加齢医学会理事など。前立腺がん、腎臓がんのロボット手術などから、男性更年期などまで、泌尿器科で扱う幅広い診療内容に長けたエキスパート。 市ヶ谷ひもろぎクリニックでは男性更年期外来を担当
LOH症候群かどうかを見極めるには、彼の変化をチェックして
自分のパートナーが、LOH症候群かな?と思ったときに、チェックするにはどんな方法があるのでしょうか?
「男性自身が自分で『LOH症候群かな?』と思ったときに、いちばんわかりやすい指標となるのが、性機能の低下や朝立ちの消失、性欲の減退です。これらの症状があったら、LOH症候群の可能性が高いです。
また、パートナーに以下のような変化があったら、LOH症候群の可能性を疑うとよいでしょう」(井手先生)
こんな変化があったら要注意!
・最近、イライラしていることが増え、怒りっぽくなった
・最近、よく眠れていないようだ
・元気がなく、落ち込んでいることが多い
・メタボ体型になってきた
・以前は休日によく出かけていたのに、家でゴロゴロしていることが増えた
・昔は正直で公平な性格だったのに、最近は悪代官のような悪どい性格になってきた
LOH症候群かどうかをチェックできる「AMSスコア」
「そのほかに、男性更年期障害の診断に世界的に広く用いられている『AMSスコア』という質問票があります。
以下の17項目の質問に5段階で回答し、それぞれの点数を合計して、総点数で評価します。自分のパートナーが、LOH症候群かなと思ったときにも、このAMSスコアをやってもらうといいと思います」
「AMSスコア」でLOH症候群をチェックしてみよう
結果の見方
• 26点以下 : 正常
• 27~36点 : 軽度
• 37~49点 : 中等度
• 50点以上 : 重度
「AMSスコアをやってもらって、結果が中等度以上になったら受診をすすめてください。ただし、本人がどう感じているのかも重要なので、軽度という結果になっても、本人がつらさを感じているようだったら受診をすすめたほうがよいと思います。
LOH症候群の診療科は、一般的には泌尿器科ですが、最近増えてきている男性更年期外来やメンズヘルス外来などなら、よりよいと思います」
うつ症状の場合は、精神疾患かLOH症候群かを見極めて
ただし、うつ症状がある場合は、精神疾患のうつの場合もあり、見極め方にこんなポイントがあるとか。
「LOH症候群のひとつの症状に“うつ”があり、この症状が目立つと精神科を受診してしまいがちです。私の患者さんの中にも、最初に精神科でうつ病と診断され、抗うつ剤を処方された方が少なくありませんが、一部の抗うつ剤(ドグマチールなど)にはテストステロンを減少させてしまう作用があり、症状の悪化につながることがあるので注意が必要です。
精神疾患によるうつなのか、LOH症候群によるものなのかを見極める方法としては、LOH症候群によるうつ症状は、死にたくなる気持ち(希死念慮)が起きるほどは重くないということです。死にたくなる気持ちがあれば精神疾患の可能性が高いので、精神科の受診をすすめましょう」
次回は、LOH症候群の治療法についてご紹介します。
イラスト/カツヤマケイコ 取材・文/和田美穂