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【背中の痛み】わずか1分! 胸を回しながら呼吸すると、背中の違和感が消えていく! 呼吸で更年期の悩みを解消

肩こりや首こり、腰痛と並んで、更年期世代から聞こえてくる悩みのひとつに「背中痛」があります。肩よりも背中全体がこり固まっている嫌な感じ、気になっている人は多いですよね。慢性痛になってしまう前に、呼吸を工夫しながら背中を柔らかく保つエクササイズをしてみましょう。アドバイスしてくれるのは呼吸コンサルタントの大貫崇さんです。

姿勢の悪さが背骨の硬さにつながり、痛みにつながる!

年齢を重ねて体の柔軟性が失われると、それまでにない場所が痛くなったりします。女性ホルモンの減少によって自律神経のバランスがうまくとれなくなると、筋肉が緊張して血流が悪くなり、張りやこり、やがては痛みにもつながってしまうと想像できますが…?

 

「ベースになっているのはホルモンや自律神経もあるかもしれませんが、たいていは長時間の姿勢にあると思います。

スマホやパソコン作業をはじめ、同じ姿勢を長く続けていると、背骨のポジションはずっと変わらない。特に、首を前に出したり背中を丸めた姿勢では、背骨のまわりの筋肉は伸ばされた状態が続いていて、もはや悲鳴を上げている状態なんです。

そんなとき、よく、背骨を真っすぐにしましょう、胸を張って肩甲骨を寄せましょう、動かしましょうと言われることが多いと思います。でも、それだけでは問題は解決しません」

と解説してくれるのは、呼吸の専門家、京都で呼吸専門サロンを主宰する呼吸コンサルタントの大貫崇さん。

 

さらに大貫さんは続けます。
「背骨(脊椎)というのは、首からお尻にかけて小さな骨がたくさん積み木のように重なり、つながっています。つながり部分は小さな関節になっていて、そのおかげで背中を丸めたり横に曲げたり、ねじったりできるんです。

長時間背中を丸めていると、特に胸椎(背骨のうち、首の下から腰の上までの部分)か硬くなり、曲げたりねじったりという動きがしづらくなります。

これを放っておくと体は緊張状態のままになり、全然リラックスできません。それどころか、硬い胸椎をフォローしようとして、他の筋肉や関節がヘルプに回り、余計な痛みを出してしまうこともあります。

胸椎の自由度を上げておくと、上半身に柔らかい動きが出て、背中の痛み解消につながると思いますよ」

なるほど、キーワードは「胸椎」。首と腰の間にある背骨のこと。ここの自由度をアップするのですね!

では、どんなことをすればいいのでしょう?

 

胸を回しながらの呼吸で「胸に空気を移動させる」のがポイント

 

胸まわりの背骨を回しながら呼吸をするエクササイズです。専門用語では“胸椎の回旋運動”と言います。

目的は胸椎を動かしやすくすることですが、ただ胸を反らしたり回したりするだけではなかなか自由度が増しません。呼吸が重要なんです。特に、息が吐けている状態だと胸郭自体は回りやすくなります。

息が吐けた状態を保ったまま、胸を大きく後ろに回して、胸側に空気を入れていく。こうすることで肩甲骨が後ろにキープしやすくなり、背中は動かしやすくなります」

このエクササイズ、一見、難しそうに見えますが、順を追ってやれば誰でも簡単にできるもの。しかも、ゆっくり呼吸しても1分程度。1日に数回やるだけで、背骨の硬さが変わります!

ポイントは、やはり大貫さんが一貫して提案している「きほんの呼吸」をし続けること。

きほんの呼吸は、息をすっかり吐ききって肋骨を下げたまま、お腹と胸に同時に空気を入れる方法。マスターしてからのほうが断然効果が上がります。

きほんの呼吸の仕方は…
第2回第3回で詳しくお伝えしています。

 

さて、エクササイズのやり方です。

1)スタートは、よつばいの姿勢から! 肩の真下に両手をつきます。

 

 

2)胸椎はできるだけ丸めて。

 

 

3)両手は動かさず、左足を左手の外側へつきます。この状態で「きほんの呼吸」をします。背中は丸めたまま、肋骨を下げておくことが大切。

 

 

4)右手で床をしっかり押したまま、左腕を真っすぐ上げ、目線は天井へ。このとき、肩だけ回して腕を上げるのではなく、胸から回すことで、自然に腕が上がるようにします。
この体勢で「きほんの呼吸」を4〜5回繰り返しましょう。特に下側の肋骨はしっかり下げた状態でお腹はアーチの形を保ちます。そこから鼻から息を吸うことで上側の胸に空気を移動させます。上手に空気が上側の胸に移動してくると、胸筋群がストレッチされるのを感じるはずです。反対側も同じように。

以下は、NGあるあるパターン。

✖背中を反らしてしまう。これでは「きほんの呼吸」ができませんね。

 

 

✖肩だけ回そうとしてしまうパターン。胸で腕を上に押し上げるイメージを持つとうまくいきそう。

 

 

✖腕でつっぱり、肩に体重を乗せてしまうNG。下についた手でしっかり床を押すようにしましょう!

 

 

■■まとめ■■■■■■■
胸椎(首と腰の間にある背骨)は、痛み改善の要!
呼吸で胸に空気を入れると胸椎が動きやすくなる。
胸椎の自由度が上がれば、よい姿勢がとりやすくなる。

 

 

【教えていただいた方】

大貫崇
大貫崇さん
アスレティックトレーナー・呼吸コンサルタント
公式サイトを見る
Twitter

1980年神奈川県生まれ。呼吸コンサルタント。アスレティックトレーナー。京都にある呼吸専門サロン「ぶりーずぷりーず」主宰。大阪大学大学院医学系研究科 健康スポーツ科学講座スポーツ医学教室 特任研究員。呼吸に関連した企業研究や商品開発など法人向け呼吸コンサルティング事業を展開し、アスリートから高齢者まで呼吸目線でのコンディショニングに従事。著書に『きほんの呼吸 横隔膜がきちんと動けば、ムダなく動ける体に変わる!』(東洋出版)など。

 

【呼吸についての悩みや質問、大募集】
この連載では、大貫さんへの質問を募集しています。
●連載の内容でよくわからなかったこと、うまくできなかったこと
●自分の呼吸についての悩みや困ったこと
●呼吸についての素朴な疑問
内容についての感想などもOKです。大貫さんにお答えいただく予定です。
こちらからお気軽にどうぞ!

 

撮影/露木聡子 取材・文/蓮見則子

 

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