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不調につながりやすい「呼吸のクセ」に要注意!正しい呼吸法で空気を吐ける体に【OurAge動画チャンネル】

呼吸と健康の関係が注目されています。呼吸コンサルタントでアスレティックトレーナー、日本で唯一の「呼吸専門サロン」を主宰する大貫崇さんが、大切な「きほんの呼吸」を教えてくれました。

 

STEP1:「吐いて・止めて・吸う」をリピート!

長くしっかり吐ききることを第一に考えて

 

きほんの呼吸のSTEP1は、胸とお腹が同期する、「アンチパラドックス呼吸」です。

横隔膜を自然に動かすため、まずは胸とお腹をシンクロさせて呼吸(大貫式では「アンチパラドックス呼吸」)する練習をします。
まず「あお向けに寝て」胸とお腹に手を当てて始めます。慣れてきたら座ってでもかまいません。

 

■吐いて:8~9秒かけて、鼻から(すぼめた口を使ってもOK)ゆっくりと息を吐く

■止めて:3秒息を止める

■吸う:少なめに息を吸う(短いほどいいのですが、目安は3秒程度)

 

秒数は絶対ではなく、だいたい8~9秒:3秒:3秒(3:1:1)を目安に。

どうしても苦しくてたくさん吸ってしまう人は、自分のできる秒数から始めましょう。6秒:2秒:2秒でもかまいません。

 

※吐くときも吸うときもお腹と胸が一緒に同じように動くことは鉄則として守ってください。毎日少しずつでよいので続けることで、できるようになっていきます。

胸とお腹が一緒に同じように動くことがポイント!

 

胸だけ動いている状態は、NG

 

お腹だけ動いている状態も、NG

 

 

STEP2:「息を吐いて肋骨を下げる」練習

慣れたら下げたまま「吐いて・止めて・吸う」

 

きほんの呼吸のSTEP2 は、肋骨を下げたまま呼吸する「肋骨内旋呼吸」の練習です。

 

どこからが胸骨で、どこからが肋骨かわからないぐらいまで肋骨を下げられれば理想的。

もともと肋骨がポコッと出ている人はなかなか下げられないものですが、焦らずゆっくり呼吸していると、そのうち必ず肋骨が下がってくる感覚がつかめます。

 

肋骨を下げて呼吸している状態。

 

 

まずはここまでを、ドリルとして行いましょう。STEP1とSTEP2を、1分ずつでもよいので、毎日繰り返すことに意味があります。

呼吸が変わった! と実感できる日を目指してコツコツと!

 

 

「自分の呼吸」チェックリスト!

 

平均すると、1日に約2万回もしているといわれる呼吸。不調知らずの呼吸を目指すには、まず自分の呼吸がどうなっているのか、クセを観察することから始めます。

 

チェックリスト①「1分間の呼吸数は?」

「吐いて吸う」を1回とカウントします。あなたの呼吸数は1分間に何回?
誰にも邪魔されないところで、座るかあお向けに寝て、リラックスした状態で数えるのが理想です。

 

□ 9回未満

□ 10回~14回

□ 15回~19回

□ 20回以上

 

理想は何回? 呼吸数が表す意味とは?

9回未満:優秀!ゆっくり呼吸ができています。呼吸数が少なく肺や横隔膜が静かにきちんと動いている状態です。心身をリラックスさせるのが上手ですね。

 

10回~14回:大人の呼吸数としては平均的なほうです。呼吸数はその時々で大きく変わるので、もう少しゆっくりとした呼吸もできそうです。

 

15回~19回:やや呼吸数が多めですが、まだなんとかOK。息を吐ききるのが苦手なのかもしれません。寝る前などの安静時に数が減っていれば大丈夫です。

 

20回以上:呼吸数が多すぎるようです。何か不調を感じている人は呼吸が原因かもしれません。息を吸いすぎる傾向にあるので「息を吐く」ほうに意識を向けてみて。

 

 

チェックリスト②「自分の呼吸の傾向を知る」

もう一度、1分間程度、普通に呼吸してみてください。次のうち当てはまる項目はいくつありますか?

 

□息を吸うとき、肩が上がっている気がする

□鼻だけでなく口で息を吸っている気がする

□ゆっくり少しずつ息を吐くことができない

□ゆっくり息を吐くと、その反動で大きく吸ってしまう

□ゆっくり息を吐くと、苦しくなってしまう

□息を吸うと、お腹だけが前に膨らむ

□息を吸うと、胸だけが前に膨らむ

□息を吸うと、肋骨が浮く、盛り上がる

□呼吸している間、舌先は歯の隙間や下の歯についている

 

上の項目はどれも「よくない呼吸のクセ」です。
当てはまる数が多い人ほど、呼吸を見直す必要があるといえます。

 

呼吸の“クセ”とはどういうこと?

 

呼吸とは、肺に空気を入れて出すこと。でも、肺自体には筋肉がないため、自力で膨らんだりしぼんだりして空気の出し入れをすることができません。おもに横隔膜などまわりの筋肉が伸び縮みすることで動きます。

 

横隔膜は、れっきとした筋肉です。ドーム状(弧状)なので、縮んで短くなったとき、下がります。すると肺は広がり空気が入ります。逆に、リラックスして伸び、上がったときに肺から空気が出ていきます。

 

本来あるべき、肺と横隔膜の関係を見てみると…

 

 

 

 

赤ちゃんの頃は、誰しも横隔膜がリラックスし、自然に伸び縮みできているものです。でも、成長していく間に少しずつ動きのクセが蓄積し、横隔膜がうまく使えなくなってしまうことが多いのです。

 

いちばん多いのは“吸いすぎ”の人。肺に空気がまだ残っている状態(横隔膜が下がったままの状態)で息を吸おうとすれば、無理に吸うことになり、肩が上がったり、腰が反ったり、はたまた口を開いて呼吸してしまいます。

本来、横隔膜が下がったままでは息を吸えないはずなのに、横隔膜の代わりに他の筋肉が無理やり働かされ、別の手段で呼吸ができてしまうのです。

 

そんな間違った呼吸をずっと繰り返していれば、さまざまな筋肉に負担がかかり、しかもそれはクセとなり、姿勢や外見、メンタルの状態にも関わってきます。

 

ストレスなどで息が詰まると感じているとき、なかなか眠れないとき、緊張して体がこわばり肩がこっているときなどは、えてして息を吸いすぎて交感神経が優位になっているもの。そこで息をしっかり吐ききることができれば、副交感神経を働かせることになり、とても効果的なのです。

 

 

しっかり「吐く」だけで、体と心の不調が改善!

「無意識に続けている自分の呼吸を振り返ること。そして赤ちゃんの頃のように、自然によい呼吸ができるようにすること。

それが体や心の不調を改善できることに気づいてもらいたい。呼吸の持つ可能性に気づいてもらいたい。そんな期待を込めて、きほんの呼吸を学んでもらえたらと思います」(大貫さん)

 

 

【教えていただいた方】

大貫崇
大貫崇さん
アスレティックトレーナー・呼吸コンサルタント
公式サイトを見る
Twitter

1980年神奈川県生まれ。呼吸コンサルタント。アスレティックトレーナー。京都にある呼吸専門サロン「ぶりーずぷりーず」主宰。大阪大学大学院医学系研究科 健康スポーツ科学講座スポーツ医学教室 特任研究員。呼吸に関連した企業研究や商品開発など法人向け呼吸コンサルティング事業を展開し、アスリートから高齢者まで呼吸目線でのコンディショニングに従事。著書に『きほんの呼吸 横隔膜がきちんと動けば、ムダなく動ける体に変わる!』(東洋出版)など。

 

 

撮影/露木聡子 イラスト/内藤しなこ 取材・原文/蓮見則子

 

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