もうすでに一ヶ月もロックダウン(社会封鎖/外出禁止令)が続いているロスアンジェルス。最近、さらに一ヶ月「ロックダウン延長」と発表されました。 街はすべてが停止状態。生活必需品を扱っている店以外は全部閉まってます。
渋滞もなく、車がスイスイ進んでいるロスアンジェルスは、ロスアンジェルスじゃないみたいです。マスクをかけて 人と人の間の距離を最低6フィート(180センチ)あけて行動する、ソーシャル・ディスタンスもきちんと守られてます。握手もハグもしません。本当に不思議な世界の中にいます。みな「SF映画みたいだ」と言ってます。みんなで真面目に”Stay Home”です。私自身ここ1ヶ月に3回しか家をでていません。スケジュールに追われないで日々を過ごすのはつらい事だと思い始めている人が多いと思います。有名無名は関係なく誰もがStay Home です。
ブラッドとアンジーの子供たちは、全員アンジーと共にロスアンジェルスの自宅にいるとニュースで聞きました。ブラッドはいろいろな趣味を持ってます。彼の自宅で行われた最近のインタビュー記事に、茶筅を使って本格的に抹茶を点ててくれたブラッドの話がありました。 もしかしてこのロックダウンの真っ最中に1人で抹茶を嗜んでいるのでしょうか?
25年くらい前、やはり彼の自宅で行われたインタビュー記事では「散々ビールをご馳走になった」と書いてた人がいました。ビールを楽しむブラッドは簡単に想像がつきます。茶筅を使って抹茶を点てるブラッドは、言われないと想像できません。
ブラッドは常に自分を変えて行く人だと思います。自分を見つめ、好奇心に満ちた生き方をしてるからではないでしょうか。
彼は「人の前にでると言いたいことが言えなくなる」と繰り返し言います。 もう何十年も顔を知ってる記者たちには、ほんのちょっと自分を見せるようになりました。
「自分の中で出たり入ったりするエモーションと向き合うことが、なかなかできなかった。だから“感情を隠す”という方法を選んでやって来た。 自分の内部の動きを無視し、触れないようにして、その渦巻くエモーションと直面するのは避けて来た」と言います。それは「”男は感情を出して泣いたり悲しんだりするものではない”と教えられた家庭環境のせいもあると思う」と自己分析します。
「むしろ”感情は抑えるもの”っていう感じだった。父は貧しい環境で育った人で、自分の子供たちには自分が育った環境より恵まれた環境を与えたい、とそれに向かって頑張って来た人。ユラユラ揺れる自分の中のエモーションは邪魔だったに違いない。自分の中のエモーションがどうのこうのと言う余裕はまったくなかったんだと思う」と、父親像を語ります。
「僕が役者という仕事に惹かれたのは、もしかしたら自分以外の人間を演じる事で、そのキャラクターの中の感情を思っきり表現できる開放感があったからかもしれない」と振り返ります。これは去年の暮れ、映画『アド・アストラ』のインタビューで会った時に教えてくれたことです。
映画の中では父親役のトミー・リー・ジョーンズとの感情のもつれ、お互いに隠している感情の処理とぶつかり合いが描かれています。「この映画をやりたいと思った半分の理由は、父親との関係の複雑さを追求していたから」と答えてました。
やっぱりブラッド・ピットは素敵です。 会うたびに違う色合いを見せてくれる、豪華さがあります。「僕の頭の中はいつも賑やかで忙しいんだ。時々いい加減にしてくれ、と叫びたくなるくらいだ。そして僕の欠点を厳しく指摘してくれる。寝てる間も頭の中はずっと僕への批判を考えてるんじゃないか、と思う時もあるくらいだ」と笑います。
「でも年と共にそれをうまくハンドルできるようになったんだ。アルコールもやめたしね。昔なら解決できないでずっとモヤモヤしてたことを、今は何がモヤモヤの原因なのか、まっすぐ向かいあえる。大切なのは心をオープンにしていること。間違っていたらそれはマズイと認めてやり直すこと。僕は微調整っていうのを信じてるんだ。自分の中の微調整を繰り返すことで”こんな感じなら良いかな”と思える人間に近づける。
先日、”人生の最後に近づいたら、地球のどこで人生の最後を過ごしたいか“と考えたんだ(笑)。”山“という結論が出た(笑)。海を眺めているより緑に囲まれている方が良いなと思ったんだ。子供たちが巣立って行くのに、あと8年くらい。そうしたら好きな所に住める」と嬉しそうです。
なんだかとっても平和な感じが伝わってきます。父親との確執、アンジーとの離婚、子供たちとの距離、アルコール依存症との戦い…それらをオープンにできる心境まで達して、心の平和を得たのでしょうか?清々しいブラッドでした。