「プリセス・ダイアナが亡くなった時、私はまだ3歳だったの。彼女の生前の姿をリアルタイムでは全く知らなかったのが、むしろ幸いしたと思ってるわ」とエマ・コリンが教えてくれます。彼女のお母さんはエマよりも、もっともっとダイアナ妃に似ていて、ある日彼女が地下鉄に乗ったとき、亡くなったダイアナ妃に遭遇したと思った人が気絶してしまった、というエピソードも付け加えてくれました。
世界を魅了している人気テレビドラマシリーズ、『ザ・クラウン』(“The Crown “)。エマ・コリンはダイアナ妃を演じています。地球規模で無数のファンがいたプリンセス・ダイアナの役作りは大変だったと思います。
(『ザ・クラウン』は今、世界中で人気沸騰中!ダイアナ妃そっくりのエマの演技も話題に。©Netflix)
「膨大なリサーチをしたわ。ダイアナ妃の立ち居振る舞いを習得するために、彼女の身の動かし方の特徴を教えてくれるコーチにもついたわ。彼女に『ダイアナ妃を動物にたとえたら、何だと思う?』と聞かれたの。ある時、静かにジーっとミステリアスな眼つきで、私の犬の動きを観察している猫を見て、ダイアナ妃と重なったの。彼女は周りの人たちを、深く静かに観察してたと思うわ」と、役作りのスタートを懐かしそうに話すエマ。
『ザ・クラウン』は、エリザベス女王がまだプリンセスだった頃の1950年代からスタートする壮大な英国王室の物語。合計6シーズン(4シーズンまで放映済み)と、たっぷり時間をかけて華やかに再現してます。バッキンガム宮殿の重いドアの向こう側を垣間見せてくれるのです。
クリエーターのピーター・モーガンはこのシリーズの脚本も書いてますが「メディアで報道された何十年にも渡る膨大な情報を元にしているから、新しいストーリーをクリエートするのとは違う」と最初に言ってました。もちろんドキュメンタリーではありませんが、かなりの部分が真実に近いと思ってる人が多いようです。
エマ・コリンと、チャールズ皇太子を演じるジョシュ・オコナーとの素晴らしいコラボレーションで、ダイアナ&チャールズの、実は最初から無理があった結婚の舞台裏が繰り広げられます。2人の関係の悲しい崩壊が中心になったシーズン4は、コロナ・パンデミックまっただ中の2020年の終わりに放映されました。
「華やかに見える世界最強のロイヤル・ファミリーは、とても寂しい人達の集まりだという印象を持ちました。彼らは常に外に向けた顔をキープし続けて生活している。本当の自分は誰?と思うことが、多々あると思うの」とエマは言います。
(若きプリンセスを演じるにふさわしい美貌とフレッシュさを備えたエマ。©HFPA)
インタビューはロンドンの撮影現場で行われました。エマの隣には、チャールズ皇太子を演じるジョシュ・オコナーが。彼も続けて言います。
「確かに限られた世界の、孤立した環境にいる人たちだと思う。でも、彼らの驚異的な義務感の強さには圧倒された。あれだけのパワーがありながら、そのパワーを絶対に濫用しない抑制力にも頭が下がったよ」
プリンスとプリンセスの、おとぎ話のような恋として世界中で羨ましがられた結婚でしたが、エマは「最初から“終わりが始まった結婚”だったと思う。ダイアナはまだ子供で世間知らずだったし、チャールズはカミラとの関係を諦められないでいたし。とても悲しい結婚のスタートだと思う」とはっきり言います。
エマ・コリンは1995年生れの25歳。稀に見るラッキーなキャリアのスタートです。ダイアナ妃役に抜擢されるまでは、ほとんど無名の新人だったのですが、今年のゴールデン・グローブ賞のテレビ部門で主演女優賞をもらい、瞬く間に売れっ子リストの上位に躍り出ました。すでにハリー・スタイルズ(元One Direction)の主演映画“My Policeman”に彼の妻役で出演し、現在ロンドンで撮影中。
ケンブリッジ大学で教育学を専攻した才媛でもあり、大学時代にはモデルとしても活躍していました。彼女がモデルをやめた理由が、とても彼女らしい感じです。
運動好きでランニングを楽しむ彼女ですが、ふくらはぎの筋肉が発達し過ぎている、というのがモデル業をやめる理由だったそうです。モデル独特の棒のような細い脚ではなかったことが災いしたそうですが、「じゃあランニングをやめよう」ではなく、「じゃあモデルをやめよう」という結論を出したそうです。
(モデルらしいスタイリッシュな1枚。©Goldenglobes)
(ゴールデン・グローブ賞の授賞式にはミュウミュウのピエロ・ドレスで出演。ユニークなチョイスと着こなし。©Goldenglobes)
(オンライン取材にはリラックスしたカジュアルスタイルで。子供みたいな笑顔といい、上の2枚とは真逆の素朴さ。©Goldenglobes)
彼女の将来が凄く楽しみです。