最近は、ビジネスの方に情熱を注いでいる感じのグウィネス・パルトロー。女優業は休業中という感じもします。それでも2019年、2020年と2年続けて彼女にインタビューしてるのは、彼女がネットフリックスの『ザ・ポリティシャン』(2シーズンで終了)というテレビシリーズで、主役の高校生の母親役をやっていたからです。
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高校からすでに始まる、政治的な裏工作&策略を描くこのシリーズ。プロデューサー&ライターの1人が、グウィネスの夫ブラッド・ファルチャックです。なかなかのやり手で、人気テレビシリーズをいくつも世に送り出してます。
このシリーズの脚本も彼女の夫が書いてるのですが、グウィネスは「私はグープ(“GOOP”、グウィネスが経営する会社)の方が忙しすぎて出られない」と、ブラッドの誘いをずっと断っていたそうです。
「この役は君にインスパイアされて書いている。他の人には頼めない」と、ブラッドは諦めなかったそう 。仕事を妨げないようにスケジュールを組むと言われ、彼が書いた脚本も素晴らしく、ブラッドが監督もするというおまけまでついたので、出演を決意したとグウィネスから聞きました。
彼女がオーナー社長として君臨するGOOPは、彼女が11年間かけて築きあげたオンライン・ブランドです。心身共に健康で、輝くように満ち足りた人生の“ウェルネス(wellness)”を目指す人の、お手伝いをするブランドだそうです。食品、サプリ、化粧品、衣類、靴やハンドバッグなど、健康な人生を総合的にサポートする商品ラインがずらり。
あまりお手頃な値段ではないのも特徴です。例えば下着(ショーツ)が150ドルします。wellnessは比較的最近使われるようになった言葉ですが、グウィネスは言葉の使い方に、新しい意味合いを含ませるのが得意です。コールド・プレイのクリス・マーティンと13年間の結婚に終止符をうった時も、「私たち離婚します」と言う代わりに「“conscious uncoupling” しました」と発表しました。簡単に言うと「意識的にカップルではなくなることにしました」という意味です。しばらくは、このuncouplingという言葉が、ちょっと冗談ぽくメディアを賑わしました。
人気絶頂の頃、「ハリウッドで一番嫌われてる女優のトップ」と言われたこともあるグウィネスですが、それとは裏腹に人気も落ちず、彼女の名前が出るだけで話題を呼びます。GOOPの成功も、彼女がいかにパワフルな立場にいるかを物語っています。今では250人の従業員をもつGOOPの年商は上がるばかり。年間150億円とも200億円とも言われてます。
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彼女のビジネス才覚から来るのか、彼女を囲むブレインが時代を読む感覚に優れているのか、時代の先端を行く商品を次から次から発表します。色とりどりのアートオブジェまがいのセックストーイ。確かに形も色もなかなかです。宣伝文句の一つが“ベッドサイド・テーブルを飾るアートピースのようなバイブレーター”(この商品の彼女のインスタグラムお披露目は、260万のヒット数が出ました)。
それと大胆なネイミング。“Smell Like My Vagina”というラインがあるのです。なんて訳したら良いのか戸惑います。オンライン販売ですから、お店に行って「“Smell Like My Vagina”のキャンドルください」(*編集部注 Vaginaは女性器のこと)と言わなくてもよいことを知っていての大胆さかもしれません。オンラインで買える特典も考え抜いているのでしょう。彼女がイニシアティブを取ってるのですから、やはり彼女のビジネス感覚は、ただものではありませんね。
グウィネスは自分を、”完璧主義者“と呼んでます。「同じ失敗を繰り返す事を許しません。厳しいボスだと思います」と告白します。
17歳の娘、アップル・マーティンのインスタグラム動画で「ママは朝早くから時間をかけてGOOP商品を使った自分磨きに忙しい」と言われてます。あっけらかんとセレブ・ママの事を暴露してしまう娘の言葉を、にこやかに受け入れる、自信のある良いお母さんの姿も見えてきます。
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親の七光りの“お嬢さん女優”と揶揄されたグウィネスの世界は、無限に広がって行く感じがします。