スカーレット・ヨハンソンは今のハリウッドで、人気実力共にナンバーワンの女優だと思います。
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ハリウッドの歯車が止まる前の2019年、“世界で一番ギャラの高い女優”として注目されました。まだ36歳というのもうれしいです。人気と実力のバランスがうまく取れている“スター・パワー”を持つ俳優が急減少のハリウッドで、輝きを失わないのがスカーレットです。
待ちに待った“Black Widow”の劇場公開がいよいよ7月9日です。SNSではすでに”Black Widow “への期待感が充満してます 。
彼女が演じるブラック・ウィドウ/ナターシャ・ロマノフは、泣く子も黙るスーパースパイ。狙った相手は必ず倒す、セクシーだけど怖いアサシン(暗殺者)でもあります。
最近のポリティカリー・コレクトへの厳しいチェックは目を見張るものがあります。アメコミのキャラクターまで批判の対象になる時代です。確かに漫画ではなく俳優が演じる人気キャラクターが、女を売り物にして仕事(?)をうまくこなしていく、という生き方は、まだ自分なりの人生の価値観を築きあげてない若い人たちに、間違った理想像を与えてしまうという考えは一理あるかもしれません。
スカーレットはフェミニストとしてセクハラ、パワハラを声高に批判する人ですから、自分が演じる役がセクシーを売り物にしていることは、バッシングの対象になる可能性はあります。
「『ブラック・ウィドウ』をスタートしたのは10年前。この役に惹かれた当時の私は、今の私とはだいぶ違います。あれから人生体験を積み、色々なことに直面し、考えも変わりました。人間として進化できたと思ってます。
ブラック・ウィドウが初登場した『アイアンマン2』の中で、トニー・スタークが「僕もああ言うの欲しい!」と、ブラック・ウィドウのセクシー度を賞賛する言葉として言ったりします。モノ扱いですよね。でもあの時は、特にひどい言葉という反応は自分の中にはありませんでした。
今回はああいうセリフは登場しないし、私自身も女性の扱い方の詳細に注意を払ってます」と、火事になる前の火消しをうまくやりとげました。
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スカーレットは子役出身。ロバート・レッドフォード監督/主演の『モンタナの風に抱かれて』(1998)で、愛馬と共に大事故に遇い、心身共に深い傷を負った少女グレースを名演して、注目を浴びました。元はナタリー・ポートマンが演じるはずだった役。ナタリーが降りて、ほとんど無名だったスカーレットの抜擢だったので、すごい期待度でした。
出演作品数30本以上という、若きベテランのスカーレット。2019年には“母親役”が彼女の出演リストに登場しました。『マリッジ・スト-リー』 と『ジョジョ・ラビット』です。この2作のお母さん役で、見事アカデミー賞主演女優(『マリッジ・スト-リー』)と助演女優賞(『ジョジョ・ラビット』)にノミネートされました。『マリッジ・ストーリー』の試写を母親と一緒に見たあと、彼女が「素晴らしい」と一言、その母親役を絶賛してくれたそうです。
「子供が生まれた(2度目の結婚相手ローマン・ドリアックとの子供)ことで人生観が変わりました。この子のためならできないことはない、という無条件の愛を体験できるのは素晴らしいと思います。心の中にもう一つ、新しい大きな引き出しができたという感じ」と自分の変化を教えてくれました。
(2020年ゴールデン・グローブ賞のレッドカーペットには、現在の夫、コリン・ジョストと登場)©HFPA/GG2020
ハリウッドでは、美男美女は美しく生まれたということが“諸刃の剣”でもあります。抜群の容姿に恵まれるとすべてが努力無しで手に入る、と思われがちです。美しさゆえに努力は認められず、過小評価に悩んだハリウッド・スターは、たくさんいます。
今、ロバート・レッドフォードは監督として、ブラッド・ピットはプロデュ−サーとして、役者としてより高く評価されてます。スカーレットもいずれ監督をしたいと言います。今年アカデミー賞を取ったクロエ・ジャオ監督の作品、“The Rider”が大好きだそうです。
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