<お悩みその15>
性格が悪いので、何かやられるとずっと恨んでしまいます。それが薄れることがないので、だんだん嫌いな人やものが増えてくる。それで大病もしたけれど性格は直らない。どうしたら、この負のスパイラルから抜け出せますか?(58歳・専業主婦・石川県)
<お答え>
「性格が悪い」と自覚してるのはエライ! 実は、私もまったく同じことに悩んでいます。
許すとか忘れるということができない、粘着質な性格なんですよ。すごく昔のことをいきなり思い出しては、はらわたが煮えくり返って「ショエ~!」となったりしています。
長く生きていると、いろんなものが堆積しちゃうんですよね。嫌な思いも。だから嫌いなものも増えてくる。まだ経験が少ない30歳ぐらいまではそうでもなかったけれど、50歳過ぎるとやっぱりいろんな堆積物が増えてきて、そんな思いに押しつぶされそうになってるんだと思います。
でも、私が50歳過ぎてから出会った友達がすごく「許す人」で。彼女はとてもいい人なので他人につけ込まれることもあって、私だったらどうやって相手に報いてやろうかと思うようなことも許しちゃう。きっと彼女は私とは正反対の性格なうえに、ご両親や周りの人たちも「許す人」だったのかなと思います。
その人に出会ったことがきっかけで、私も以前より2割ぐらいは許せるようになった。まだ8割は相変わらず許せないけど、でもこれは体質だからしょうがないんですね。
で、同じ粘着質の私が提案する対処法は、嫌いな相手について考える時間がもったいないから、考えないこと!
…とはいえやっぱり考えちゃうんだけど、なるべく違うほうに意識をもっていこうと、私も修行中です。この「負のスパイラル」は、ある意味自分の背負ったカルマですから、即効性のある解決法はないんです。
他人は他人だから関係ない、とどれだけ思えるかが、私たちの課題ですね。人間関係が多少狭くなっても孤独になってもいいから、嫌いな人とはなるべくかかわらないこと。それなのに私はずっと、あの人いやだな、っていう人のそばにわざわざ「嫌いに行ってた」んですよね。見ちゃうから余計イヤになるんです。だからそういう人には5メートル以上近づかない。気持ちのソーシャル・ディスタンスです。その人を無理に好きになろうとなんてしない。
ちょっとひどい例えかもしれないけど、例えばゴキブリが大嫌いな人がいますね。だけどゴキブリはゴキブリとして生まれたのであって、ゴキブリに罪はないんですよ。わざわざソレがいるところに近づいていって、「イヤ~っ!」とかいって叩き潰そうとしたりしなくてもいい。あ、これ、あくまでゴキブリの話ですけどね(笑)。
きっと、私の友達のように生まれつき菩薩係の人と、私たちみたいな小悪魔係の人がいて、陰と陽じゃないけれど、それで世の中が回っているんじゃないでしょうか。菩薩に生まれ変わりたい、とか思わず、今生はこれで生きる!と腹を決めて、この性格とともに生きていきましょう。
イラスト/松元まり子
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