<お悩みその20>
もうすぐ50歳です。終活にはまだ早いと思っていますが、そうは言っても自分の身の回りのモノ(物だけではなく人間関係も含めて)をそろそろ整理して、できるだけ快適に過ごしていきたいと思います。人生のお片付け、地曳さんはどうされていますか?(49歳・会社員・愛知県)
<お答え>
もうすぐ50歳…。わかります。50歳って人生の折り返し地点、そういうことを考える歳なんですよ。
私はまず40歳のときの引っ越しで、ものすごく持ち物を処分しました。50歳のときも『服を買うなら、捨てなさい』って本を書いちゃったから(笑)もう一回、モノも人もかなり整理しましたね。
だけど、日本に生きている限りモノは増えていくし、モノの片付けに終わりはない。本当に、亡くなるときまでお片付けはついてきます。
確かに、モノを減らしたほうが人生はラクなんですよね。私も本に「買うなら捨てなさい」とか書いたくらいですから、それはわかってるんです。わかっちゃいるけど、新しいものに触れる楽しさってあるからいつの間にかモノは増えていくし、私もやっぱり片付けは苦手。最近だって、コロナ禍のステイホームの間は家にいてすごく時間があったわけですけど…人間、時間があってもできないことはできない。ステイホームで、“やる気”もステイしてしまった(笑)。
でもね、私の友達で、雑誌に出てくるみたいにすばらしくきれいなリビングのお宅に住んでる人が何人かいるんですけど、そういう人たちには共通して絶対ひとつ、「開かずの間」があるんです。つまり、一部屋を犠牲にしてそこにぎゅーっとモノを詰め込んでるの。もう「ええ~っ!?」って驚くくらい。
だから、もしあなたがそういう開かずの間、秘密の部屋が作れなかったら、秘密の箱をいくつか作るといいと思います。ウチにも実は“開かずのクローゼット”があるんだけど、そうすると、目に見えるところはわりときれいにできます。私はお風呂場と洗面所と台所、寝室だけはきれいにするって決めてるの。自分が長くいる場所だけはきれいにして、ちょっと犠牲になる部屋とか箱とかコーナーを作る。で、あるとき、その部屋とか箱を見ると、そこにはいらないモノ、普段使わないモノがたまってるから、それは思い切ってほぼ全部捨てる。
あとね、最近私が訪ねた友達の別荘も、本当に片付いててきれいなお宅なんだけど、そこの友達は「そうよね~いく子さん」とか言いながら玄関のスリッパを片づけたり靴をそろえたり、なにかしらずっと片付けてるの。「今日ゆっくりできるんでしょう?」って言いながらちょっとごみを拾ってまとめるとか、もう3アクションぐらいしてる。片付けが動作の一部分になってるんです。
私、それで開眼したの。コーヒーを飲んだら、以前は全部まとめて夜やればいいや~ってソファーでぐだぐだしたり、せいぜいカップに水を入れておくだけだったんだけど、そこで洗って布巾で拭いて棚にしまう、までしちゃうわけ。ホントにちょっとしたことですけど、「彼女だったらどうする大作戦」でやってみると、実際1分も違わないわけですよ。しかも、次に台所行ったときにきれい!
できるかな~って思うでしょ? いやいやいや、ちょっとやってみてください。全部やらなくても、ちょっとプラスアルファでいいんです。片付けを動作の流れのひとつに入れるだけ。片付けって言うと、例えば服とか雑誌とかまとめて捨てようと思うじゃないですか。でもなかなか捨てられない。だから1つずつ捨てるの。帰ってきて服を脱いで、「あ、もう肩紐が落ちてきたじゃないこのブラ」って思ったら、それはもうそのままゴミ箱に捨てる。1週間ためてとか1カ月ためてじゃなくて、ちょこちょこおそうじ、ちょこちょこ捨て。これ、片付けが苦手な方におすすめです。
友だち関係もね、自分がしんどいときとか疲れてるとき、いつもだったら何とも思わないLINEの返信に心がやられちゃうことってありますよね。そしたら1回、そのお友達を整理してもいいと思います。その人には悪気がなくても「あ、自分には合わないんだな」と感じたら、まめにLINEをミュートしたり返信忘れたり、するといいですよ(笑)。
そうして少し距離をおいていて、また自分の状態がよくなったら「ごぶさたしてま~す、ちょっと私疲れてました、ごめんね」って復活する方法もありますから。だからとりえず今、苦手だな~つらいな~と思う人からは離れておく。そうすると人間関係はうまくいきます。
あなたは「できるだけ快適に過ごしていきたい」っておっしゃっていますけど、ポイントはまさにそれ! モノを捨てるときの基準は、肩ひもが落ちちゃうブラジャーとか、なんだかしらないけど勝手に縮んでしまったスカートとか(笑)、「自分が快適じゃない」と感じたときです。服だって靴だって、今まで大丈夫だったのに突然着心地が悪くなったり足が痛くなったりするでしょう? 人間関係もそう。それはもう、その人とかモノとおつきあいする時代が終わったってことなんです(ここで中島みゆきの『時代』が流れる 笑)。
イラスト/松元まり子
・・・・・・・・・・・
「ババア上等!悩み相談」では、あなたのお悩みを募集中!
【お悩み投稿のルール】
①宛先:toko@shueisha.co.jp ←こちらまで!
②メールタイトル:【いく子さんの悩み相談】※違うタイトルでお送りいただくと、受付できないことがありますのでご注意ください。
③必要事項:年齢・ペンネームのみ(本名は書かないでください)
④文字数の目安:200字程度【注意事項】以下の内容をお読みの上、ご了承いただいた上で投稿をお願いいたします。
・投稿いただいた内容は、OurAgeの企画および、集英社の雑誌・書籍等(web・SNSを含む)にて掲載、キュレーションメディア等に転載する場合があります。
・掲載する際には、ペンネームおよび内容を一部改編する場合があります。
・投稿の採用結果につきましては、お知らせいたしません。
・投稿内容等の確認のため、編集部よりご連絡する場合があります。
・投稿いただいた方のメールアドレス・ペンネームは本企画遂行の目的以外には使用いたしません。
投稿お待ちしています!
・・・・information・・・・
●2020年11月26日発売『日々是混乱 これが私のニューノーマル』(集英社)
ホーム社の文芸サイト「HB」で地曳さんが連載した1年半のエッセイが一冊に。
「BBA(ババア)であっても新しい自分に出会うことをこれからの喜びにしたい」と、コロナ禍の中、時に悩みながらもポジティブ思考で綴ったエッセイにきっとあなたも勇気づけられるはず。地曳さんの暮らしが見えてくる、愛用のアイテムやお気に入りスポットなどの写真も満載です!