アラフィフになってから、老後を見据えて家の片付けをしています。服はもちろん本、CD、ビデオテープやDVDなどを容赦なく処分してきました。
なぜかというと片付けは歳をとるほど、やるのがしんどくなると聞いたからです。
そしていざ思い切って始めてみれば、片付けをするといいことばかりでした。
①まず家が広く使えるようになる。
②そして掃除がラクになる。
③おまけに「あそこもここも片付けなきゃ」というプレッシャーが無くなるので、精神的ストレスも減る。
④加えて、私の場合は臨時収入もありました。
学生時代からのアクセサリーとブランドバッグを処分したら(リサイクルショップに売った)思いもかけぬ大金が入ったのです。
※その顛末や具体的な買い取り金額は、去年『昔のバッグとアクセサリーを処分したら……驚きの結果に』で紹介したので、お読みいただけるとうれしいです。
以前は窓辺に本や民芸品、CDとCDプレーヤーなどをごちゃっと置いていたリビングもだいぶすっきり。
おかげでコロナによる本格的な在宅勤務となった際には、わざわざ大片付けすることなくリビングの一部を仕事スペースにすることができました。リビングとは別に小さな書斎があるのですがその部屋は北向きで、リビングのほうが日当たりも居心地もよいのです。
気が散るようなもの、目が疲れるような派手な色のものは置かないようにしています。時計とカレンダーはたまたまもらったものですが、シンプルなデザインで気に入っています。
こうして片付けの素晴らしさを実感してきた私ですが、どうしても処分できないものがありました。
そのひとつが長年使ってきた器。
しかも欠けた、ひびが入ったで使えなくなった食器です。
処分できない理由はただひとつ。
それは……
愛着。
たとえば、すぐ上の写真のごはん茶碗。
これはなんと中学3年生のとき、買ったものです。自分で食器を選んだのはこのときが初めてでした。
他は実家を出て独り暮らしを開始したばかりの20代半ばに買ったもの。
有名作家の器とかではありません。けれど「テキトーに買った器で毎日食事をしたくない」と、当時の自分が真剣に選んで買ったもの。どこのどんな店でいくらで買ったのか今もはっきり覚えています。そのため「あ、欠けたちゃった!じゃあバイバイ」とはどうしてもできず、ずるずると持ち続けてきたのです。
金継ぎという器の修繕方法があるのは知っていましたが、〝器の破損状態による〟とかで業者に依頼する際の料金がはっきりしない。また事前に破損部分の写真を送らないといけなかったり、宅配便で送る場合は厳重に梱包しないといけないなど、手間がかかりそうでした。
自宅で自分でできる『金継ぎセット』があるのをネットで知ったのですが、そのとき見たセットは金継ぎが完成するのにたしか3ヶ月くらいかかり、価格も1万円以上。とにかく早く、安く、簡単に直せる方法はないかと焦れるばかりでした。
コロナで遠出はできず、家に籠もっていたある日。
ふと思い立って、久しぶりに〝金継ぎ 簡単〟とか〝金継ぎ 自宅〟でネット検索をしてみました。
すると……よさそうなものが。
『金継ぎラウンジ』というサイトで見つけた、自分で金継ぎをしたい人向けのスターターセット。
値段は5500円(税込み)。
5500円自体は安くはないけど、今まで見てきたものよりは確実に手ごろ。試しにチェックしてみた口コミ評価も悪くありません。
そこで注文。
届きました。中身を出すと
こんな感じ↑。
肝心の説明書は小さな紙一枚だけでその内容の大雑把さにはちょっとびっくりしましたが、土曜日の昼下がり、テレビを見ながらやってみました。
人生初の金継ぎ。しかも誰にも習わず、いきなりの挑戦。
その結果は……
じゃじゃ~ん!
簡単でした。それも拍子抜けするくらいに。
ざっと手順を説明しますと……
下の写真の粘土のようなものをよくこね、欠けた部分をこれで埋めて
丸1日乾かします。
乾いたら金色の塗料を、液剤で溶いて細筆で塗るだけ。口当たりをなめらかにしたいなら、塗料を塗る前に付属の紙やすりで軽く研磨します(私は面倒なので磨きませんでした)。
塗料も細筆も紙やすりも全部セットに含まれています。
今回は4つの器を修繕しましたが、本当に簡単でした。
「もっと早くやればよかった」、「棚に死蔵していた時間がもったいなかった」と悔しいくらい。
不器用な私がテレビを見ながらやってみてもできたのですから、器用な方がやればもっと仕上がりは美しいことと思います。
今回の捨てられない器の一件がまさにそうなのですが、片付けは〝自分は今まで何を大事にして暮らしてきたのか〟とあらためて過去を振り返り、そして〝今後は何を大事にして暮らしていきたいか〟と未来について考えるよいきっかけになります。
それにしても驚くのが、我が家のモノの量の多さ。
あれだけバンバン処分してきても、いまだに出てくる出てくる……ずっと使っていないものや持っていることすら忘れていたものが、あれこれと。
今は「もう何も買わないぞ。それより老後のお金!これからは老後資金を少しでも貯めていかねば」と自分に言い聞かせ、器の店や雑貨ショップにはけっして近寄らないように気をつけています。