4月です、春ですね!何歳になっても春を迎えるのはうれしいもの。桜は綺麗だし、空気はあったかいし、ウキウキしてきます。そして街にあふれるフレッシャーズの姿も、まぶしいものです。
私たちもあの頃、あんな風に初々しく、キラキラしていたのかも。新しい世界に何が待っているのか、期待でワクワクしていたっけ…そんなフレッシャーズの頃の気持ちが、この本を読んで少しよみがえった気がします。
『ガールズ・ビー・アンビシャス
一歩踏み出したいあなたへ贈る21のコトバ』
この本は、各分野で活躍する21人の女性たちが、世界的な会議や、講演会、大学の入学式・卒業式、記者会見などで行ったスピーチを、1冊にまとめたもの。登場するのは社会学者の上野千鶴子さん、宇宙飛行士の山崎直子さんをはじめ、ヒラリー・クリントン、グレタ・トゥーンベリ、アン・ハサウェイ、マララ・ユスフザイ…誰もが知るビッグネームが並びます。
彼女たちがジェンダーバイアス、環境問題、労働問題など、自分が専門とする、さまざまなテーマについて語ります。悩みを抱えがちな若い女性たちが、信念のもとに活動する女性たちの言葉に励まされるように、という意図で編まれた1冊です。
論理的に『書かれた』文章ではなく、大勢に向けて『語りかけた』言葉だからでしょうか、より強く気持ちに響く感じがします。
たとえばヒラリー・クリントン。自分の母が両親や祖父母に虐待され、14歳でハウスメイドとベビーシッターの仕事を始めた、と明らかにしています。その話を知ったとき、衝撃を受けた、と。そのうえで「あらゆる側面において、女性や少女たちの完全な社会参加を推進していくことは、21世紀に残された大きな課題です」と主張します。
マララ・ユスフザイ。ご存じのように2012年、15歳の彼女は下校時にタリバンに額の左側を撃たれました。でも「私はなにひとつ変わっていません。以前と同じマララです。私がここにいるのは、すべての子どもたちに教育の機会を届けたいからです。タリバンやほかのすべてのテロリストの子どもたちに教育を受けてほしいのです」と力強く語ります。
自分の体験を踏まえたうえで語られる言葉は、リアリティをもって届けられます。平易な言葉だからこそ、心にしみいるような気がします。新しい季節に、「一歩踏み出してみよう」という勇気をもらえた気がします。
最後に、上野千鶴子さんが2019年、東大の入学式で行ったスピーチの一節を。東大という日本一の大学においても、いまだに女性差別や女性蔑視から脱却できない現状にふれ、こう言います。
「あなたたちのがんばりを、どうぞ自分が勝ち抜くためだけに使わないでください。恵まれた環境と恵まれた能力とを、恵まれない人々を貶めるためにではなく、そういう人々を助けるために使ってください。そして強がらず、自分の弱さを認め、支え合って生きてください」
あなたもこの本で、自分の心に響く『言葉』に出会ってみませんか?新しい季節への、素敵なプレゼントが隠れているかもしれません。
『ガールズ・ビー・アンビシャス 一歩踏み出したいあなたへ贈る21のコトバ』
(集英社インターナショナル刊・1,300円+税)