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”時代のアイコン”だった秀樹と素顔の秀樹 /フォトグラファー中村昇さんが語る西城秀樹、撮影の裏側

"時代のアイコン"だった西城秀樹と間近で見た素顔

 

歌番組で熱唱する秀樹、ライブでパフォーマンスする秀樹、カメラを向けられたときの秀樹は、大胆で情熱的なオーラを放つスター。一方、素に戻ったときの秀樹は、気さくで優しくて、誰にでも分け隔てなく接していた“良い人”。そんなエピソードがさまざまな人の口から語られています。若き日の彼を長年撮り続けたフォトグラファー中村昇さんが間近に見た、“二人の秀樹”とは。

 

アイドル時代。あどけなさが残る笑顔がかわいい。70年代の撮影衣装は、ジーンズやジャケットなどデニムスタイルが多い。「明星」より

 

Noboru Nakamura
中村 昇さん
フォトグラファー。集英社の社員カメラマンを経て現在はフリーに。長年にわたり、数多くの男性・女性タレントを撮影。今回掲載するのは、集英社の「セブンティーン」の専属カメラマンだった時代に撮影した写真。西城秀樹のシングルレコード「涙と友情」「ブーメランストリート」などのジャケットも撮影している

 

 

素顔は大らかでストレート、
裏表のない気さくな青年

 

写真集『HIDEKI FOREVER blue』に数多く掲載されている、フォトグラファー中村昇さんの写真。中村さんが撮影した若き西城秀樹は、時には無邪気な笑顔で、時には孤独な影をまとって、さまざまな表情を見せてくれます。
秀樹のデビュー当時から「セブンティーン」で撮影を続け、国内はもちろん、ハワイ、フィリピン、ロンドンなど海外ロケに同行することも多かったという中村さん。最も近くで秀樹を見ていた一人かもしれません。

 

「秀樹は勘がよくて飲み込みが早く、ロケ場所のイメージや雰囲気、求められていることをすぐに理解してくれるから、とても撮影しやすかったですね。撮影しているときは、細かいことを言わなくても互いに通じ合うものを感じていました。自分で考えて、どんどん動いてくれるし。例えば海で撮影したときも、服を着たまま、自分からどんどん水に入って、波をバシャバシャしたり、寝転んだり、いろいろな動きをしてくれる。プライベートでのつき合いがそんなにあったわけでなくても、心を許した素のままの表情が撮れた瞬間が、いくつもありました。

普段の秀樹は、周りに気を遣う真面目さと、飾らない気さくな面を併せ持った青年。超多忙な有名人なのに、スタイリストさんが自宅で開いたカレーパーティに来たり、コンビニのお兄ちゃんと気さくに話したり、コンサート中は照明さんなど裏方のスタッフとも一緒にごはんを食べたり…。海外ロケに行っても、現地の人とすぐに仲良くなるんです。子どもや現地の人と撮った写真が多いのを見てもわかりますよね。本当にいつもフラットで、気取りがない、いい青年でした」

 

ステージでの秀樹を
撮影するのは最高だった

「いろいろな撮影をしましたが、いちばん好きだったのは、歌う秀樹を撮影することでした。秀樹が初めて行なったといわれる大阪球場でのコンサートも、第1回から何度も撮影しました。そのたびに迫力のある、印象に残るいい写真が撮れたと思っています。

 

秀樹はリハーサルではものすごくデリケートで、いろいろなことを細かくチェックするのですが、いざ本番になるとライブをとても楽しんでいて、高所恐怖症なのに揺れるクレーンの上でも大胆に歌っていましたね。僕は特別に、ステージの上や、照明のあるところや音響機材の上など、秀樹から3mくらいの近い距離で撮影させてもらえたの。ステージで秀樹が倒れる場所を事前にスタッフから聞いて、そこでシャッターチャンスを待ったり、クレーンに一緒に乗って至近距離で撮影したこともあります。本番での秀樹は、僕を見つけると必ず目線をくれたり、ニコッと笑ってくれたりするんですよ。そんなときは男の僕でもドキッとするほど魅力的でしたね(笑)」

 

ロケ写真もステージ写真も、中村さんの写真は臨場感にあふれ、その時々の秀樹の、生き生きとした自然な表情をとらえたものばかり。今にも秀樹の声や気配が感じられそうな迫力に満ちています。

 

 

1

1 中村昇さんが「セブンティーン」で撮影。スーツでスタイリッシュにきめた秀樹。アンニュイな表情も魅力

 

2

3

2・3 「明星」より。自転車やバイクに乗ったり、楽器を持ったり吹いたり。テニスやアメフトなどスポーツをしているシーンを撮影したり。当時の誌面では、シチュエーションに合わせてさまざまな表情やポーズを見せている。若さはじける、元気いっぱいの秀樹がまぶしい!

 

 

Hideki Saijo
西城秀樹
歌手・俳優。1955年4月13日生まれ。広島県広島市出身。'72年「恋する季節」でデビュー。キャッチフレーズは「ワイルドな17歳」。'73年「情熱の嵐」以降、数々のヒット曲が生まれた。俳優としても、テレビドラマ「寺内貫太郎一家」(TBS系)、映画『愛と誠』、ミュージカル『わが青春の北壁』ほか、数多くの作品に出演。亡くなる前月まで現役としてステージに立っていた。2018年5月16日逝去。享年63歳

 

 

 

西城秀樹写真集
HIDEKI FOREVER blue

集英社の雑誌「セブンティーン」「明星」で撮影された写真を収録した豪華写真集。若き日のキラキラした西城秀樹の魅力が満載です! 篠山紀信、中村昇などの著名なカメラマンが撮影した秘蔵写真を多数掲載。未公開写真を含む貴重なカットが100点以上。未発表音源CD1曲「CATALOG(カタログ)」とオリジナルポストカード1枚付き。¥6,500/集英社インターナショナル

西城秀樹オフィシャルサイト

 

 

取材・原文/近内明子 写真協力/集英社インターナショナル

 

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