50代でも、こんなにキレイで、こんなに元気。
調理師免許を持っているだけあって、食に関してはプロ級の腕と知識。
ボディに関しても、知識と意識を磨きながら、日々、実践している。
そんな永作さんが今、ハマっていることを聞いてみた。
(映画『朝が来る』で感じた「人生の幸せ」について語った、インタビュー前編はコチラ)
撮影/萩庭桂太 ヘア&メイク/重見幸江(gem) スタイリスト/古牧ゆかり 取材・文/岡本麻佑
永作博美さん
Profile
ながさく・ひろみ●1970年10月14日、茨城県生まれ。1994年に女優デビュー。以後、映画、ドラマ、舞台で活躍中。『腑抜けども、悲しみの愛を見せろ』(07)でブルーリボン賞ほか6映画賞で助演女優賞、『酔いがさめたら、うちに帰ろう』(10)、『八日目の蟬』(11)で日本アカデミー賞ほか9映画賞で主演・助演女優賞、『さいはてにて~やさしい香りと待ちながら~』(15)で台北映画祭最優秀主演女優賞を受賞。主な映画出演作に『人のセックスを笑うな』(08)、『四十九日のレシピ』(13)、『ソロモンの偽証 前篇・後篇』(15)、『夫婦フーフー日記』(15)など。
パセリ・豆乳・筋肉!
女優であり、妻であり、二児の母でもあり。毎日忙しく暮らしているはずなのに、凛として笑顔がキレイ。そんな永作博美さんの元気の素は?
「最近凝っているのは、パセリです! それも大量のパセリ(笑)。
タマネギをみじん切りにして、そこにみじん切りにしたパセリ、それから四つ切りにしたプチトマトを入れて、あとはクスクス。キヌアで代用しても美味しいです。
レモンをたっぷり絞って塩とオリーブオイルで味付けすると、おいしいサラダになります。スプーンで混ぜながらいただく、主食にもなるサラダですね」
付け合わせとか彩りとか、パセリは脇役になりがちだけど、栄養豊富で美味しくて、永作さんにとってはメインの食材なのだ。他の料理にもパセリは大活躍。
「自分だけ食べるときには、いちいち料理するのが面倒なので、ごはんの上に目玉焼きをのっけて、パセリのみじん切りをばーっとかけて、何かしらのオイルとナンプラー、あと、鰹節をパパッとかけていただきます。手軽で、おいしいです」
実は永作さん、調理師免許を持っている料理人。そこにある食材でパパッと作るのは、お手のもの。
「スーパーで旬の野菜や珍しい食材を見つけると、『あ、これ、使ってみたい!』と思って買ってしまうんです。あとでそれが自分の首を絞めることになるんですけど(笑)。
冷蔵庫の中に使われていない食材が残っているのが、とにかく嫌いなんですよ。買ってきたらすぐに使って、使い切るのが好きなんです。だから残ってしまったものを前にすると、どうにかして使えないかって実験ばかりしているの(笑)」
もうひとつのマイブームは、豆乳。そういえば、豆乳甘酒にもハマってましたよね?
「豆乳が好きなんです。今は甘酒を加えるよりも、豆乳に蜂蜜とお酢を入れて飲むことにハマっています。
酢を入れるので部分的に固まってヨーグルトみたいになるんですけど、それと蜂蜜がからまって、すごくおいしい。あまり食欲が無いときとか喉が渇いているときに、飲むというか、食べるというか」
食事以外にも、気にしていることがある。
「筋肉ですね。週に1回、ジャイロトニックとピラティスの両方に詳しい先生について、教えてもらっています。筋肉をどう使って、どこの筋肉を鍛えるべきなのか、いちいち確認しながらやったほうが効果が上がるんです」
日常の動作も、筋肉に大きく影響するらしい。
たとえば、座り方。背中を丸めてぐだっとくつろぐ習慣が身についていると、お腹がぽっこり出ている体型になってしまう。
「腰を立てて、お腹の中の筋肉をタテに伸ばしてまっすぐに座るんです。それを心がけているだけでも、体型って変わってきます。ふだんの生活の中でもよく『あっ』って気が付いて姿勢を正したり。大事なのは意識、ですよね」
ストレッチするときも、身体が柔らかければいい、というものでも、ないらしく。
「私はわりと身体が柔らかいので、思う存分伸ばしたくて調子にのってしまうんですけど、『ちょっとそれ、やめておきましょう、伸ばしすぎです』って止められます。
つまりそれって、身体のクセなんですね。クセをそのままにしていると、身体が偏ってしまう。使うべき筋肉が使われていなくて、違う筋肉ですませている可能性もあります。
ちゃんと先生の話を聞いて、これは何のための運動なのか、どうするのが正しいのか、意識していないと」
それはどうやら、身体の話だけではないらしい。
「50代に入って、これからは人の話をちゃんと聞ける人間になろう、と思っています。
今までは主張するばかりで、自分は間違っていない、という思いが強かった。それはそれで、そのタイミングの私にとっては大切なことだったのかもしれないけれど。
でもこれからは、その強さはいらないかなって。それより人がどう思っているのか、それを知ることによって、私の中に違う要素が生まれてくるような気がするんです」
映画『朝が来る』で演じた佐都子が、人の話を聞くことから人生の朝を迎えたように。永作さんの人生も、ここから新たな局面を迎えるのかもしれない。
「突然50歳になったわけじゃないから。38を経て、42を経て、45を経て、だんだんと歳を取ってきた。女性のしんどいところを、ちゃんと、だんだんと。神様は優しいから、『心の準備をしておきなさいよ』って、教えてくれていたんですよね。だから、『はい、わかりました。これからは謙虚に生きます』って思うようになりました(笑)」
『朝が来る』
6年前、特別養子縁組で男の子を迎え入れた夫婦のもとに、「子供を返して欲しいんです」と、突然の電話・・・。あなたは、いったい誰? 直木賞、本屋大賞受賞の人気作家・辻村美月のヒューマンミステリーを、世界で高い評価を受ける河瀨直美監督が映画化。カンヌ国際映画祭公式作品【CANNES 2020】にも選出された。
10月23日(金)より、全国ロードショー
監督・脚本・撮影:河瀨直美
共同脚本:髙橋泉
出演:永作博美 井浦新 蒔田彩珠 浅田美代子ほか
原作:辻村美月 『朝が来る』(文春文庫)
製作:キノフィルムズ・組画
配給:キノフィルムズ/木下グループ
©2020「朝が来る」Film Partners
公式サイト:http://asagakuru-movie.jp/