散歩が趣味だという森高千里さん。2019年の全国ツアーで訪れた先では、ゆったりと街歩きも楽しめました。
森高さんにとっての、街歩きの魅力は?
知らない場所を見て、歩いて、刺激を受けたい!
体調管理のウォーキングとは別に、散歩は森高さんの一番の趣味だそうです。
慣れた道より知らない道をテクテク歩いて、未知のお店を開拓したり、思いがけない場所にたどり着いたり。
「わざわざ遠回りして、1時間ぐらい歩いて家に帰ることもあります。一人でぶらっと出かけることも、今くらいの年齢になったら、できるのかなって思います。
日本でも海外でも、知らない場所を見て、歩いて、刺激を受けたいですね」
20代の頃は、ツアーでせっかく全国の街に行っても、自分に余裕がなかったり、単純に時間がなかったりで、街に出て歩き回ることはできませんでした。
でも19年のツアーはゆったりとしたスケジュールで、街歩きができました。
「公演先の街を歩き回るのが、とにかく楽しかったです。
事前にそのエリアの名所をチェックして、おいしいお店や地元で人気の食べ物をいくつも調べてから行きました。そういう作業、好きなんです。
以前は雑誌の切り抜きをノートに貼ったりしていましたけど、今はネットがあるからすぐに調べられて、便利ですよね」
紅葉の名所でもある、埼玉県熊谷市の熊谷スポーツ文化公園にて。敷地内にはラグビーワールドカップ2019の会場となった熊谷ラグビー場もあり、ちょうど日本中が盛り上がった大会後の訪問だったので、私のテンションも上がりました(笑)。
愛媛県西条市の天川(あまかわ)集落では、65枚ある棚田の保存活動が行われているそう。春は菜の花、秋はコスモスと、休耕田を利用した季節の花畑が楽しめます。
青森県青森市、観光物産館アスパムの入り口に常時展示されている金魚ねぶた。約1年かけた今回の旅では、その地方ならではの伝統文化にも触れることができました。
滋賀県彦根市ではお堀越しに彦根城を眺め、昔ながらの街並みをきれいに再現した夢京橋キャッスルロードを散策。江戸時代の城下町の空気感が心地よかったです。
歩いて食べて写真を撮って。その全国36カ所の「街」の魅力が、一冊のフォトエッセイになりました!
「最初は本になるなんて思っていなかったんです。だから載っているのはスタッフがスマホなどで撮ってくれた写真なので、素で楽しんでいますね」
スニーカーにデニム、パーカにジャケットなどなど、プライベートタイムの飾らない私服姿も、森高さんらしい。
ステージとはまたひと味違う大人の顔です。
「今でもカワイイと言っていただくことがありますが、とてもうれしいです。カワイイって素敵な言葉ですし。でも今はカッコいい女性に憧れますね。これからはカッコいい路線を目指そうかな(笑)」
事前に調べて、ぜひ行きたいと思っていた山形県鶴岡市の加茂水族館。倒産寸前だった水族館がクラゲの飼育と繁殖を研究し、クラゲの展示種類の多さで世界一に! 直径5mの水槽で浮遊する約1万匹のミズクラゲは、とても幻想的で美しかったです。
兵庫県加古川市で地元の給食パンとして有名なニシカワ食品の直売店で。地域の伝統行事から生まれた「鬼追い饅頭」にちなんだ鬼の看板がかわいくて、一緒にパチリ。
神奈川県座間市の座間神社は、石段のまわりがまるで小さな森みたいで、思わず深呼吸。相模川の河川敷では、協力して大凧を揚げる人たちにも遭遇し、感動しました。
徳島県鳴門市の鳴門公園から見た大鳴門橋。快晴の11月、本当に気持ちがよくて、念願の大塚国際美術館に行き、商店街のアートも楽しみ、盛りだくさんな一日でした。
森高千里さん Chisato Moritaka
1969年4月11日生まれ、熊本県出身。歌手。1986年、大塚製薬「第1回ポカリスエット・イメージガールコンテスト」でグランプリを受賞。1987年デビュー。「17才」「雨」「私がオバさんになっても」「渡良瀬橋」「気分爽快」「ララ サンシャイン」などヒット曲多数。1999年に結婚。一男一女の母。子育てを中心に活動を制限していたが、2012年、デビュー25周年を機にライブを再開。2019年には21年ぶりに全国ツアーを開催。フォトエッセイ『森高千里「この街」が大好きよ』(集英社)が好評発売中。
『森高千里 「この街」が大好きよ』
美しい風景、楽しい市場、今は寂しいけれど活性化しようと頑張る商店街…そしておいしいご当地グルメもたくさん! 森高千里さんの目を通して日本の魅力を再発見し、やがて自分の「生まれた街」や「育った街」が愛しくなる一冊。
取材・原文/岡本麻佑 本誌編集部