1月29日に公開される映画『ヤクザと家族 The Family』で、半グレ集団のリーダーというハードな役柄を演じている磯村さん。
クランクインの前に監督から求められた身体は「細マッチョ」。
何かと「脱ぐ」ことの多い磯村さんが、短期間で仕上げたその方法とは?
(作品への思いと新しい挑戦について語った、インタビュー前編はコチラ)
撮影/萩庭桂太 ヘア&メイク/佐藤友勝 スタイリスト/齋藤良介 取材・文/岡本麻佑
磯村勇斗さん
Profile
いそむら・はやと●1992年9月11日、静岡県生まれ。2015年、『仮面ライダーゴースト』に出演。2017年にはNHK連続テレビ小説『ひよっこ』でヒロイン(有村架純)の相手役を演じ注目を集める。ドラマ『今日から俺は!!』(18 )や『恋する母たち』(20)での好演も話題を呼んだ。主な映画出演作に『覆面ノイズ』(17)、『恋は雨上がりのように』(18)、『ういらぶ。』(18)、『春待つ僕ら』(18)、『今日から俺は!!劇場版』(20)、『新解釈・三國志』(20 )、公開待機作に『東京リベンジャーズ』、劇場版 『きのう何食べた?』などがある。
筋肉を作る食事と、
身体を冷やさない食事
もともと磯村さん、高校時代はバスケ部に所属していたものの、そのマインドは体育会系というよりは文化系。筋トレもしたことがなかった。とはいえ、俳優になったらどんな役が回ってくるかもしれないので・・・
「4~5年ぐらい前から、徐々に筋トレを始めるようになりました。でも今回の映画では、監督からこういう身体に仕上げて欲しいと、写真が送られてきたんです。
韓国の俳優さんだと思うんですけど、細いけど腹筋がしっかり浮き出ているような細マッチョで、これはちゃんと鍛えないとマズイと、人生で初めて身体作りをしました。
体重を増やして筋肉に変えて、同時に脂肪を落とす必要がある。でも準備期間が1ヶ月しかなかったので、ひたすら筋トレをしつつ、食べる量は食べるんだけど、脂肪は取らない。ちょっと無茶なことしました」
食べていたのは、良質のタンパク質と野菜のみ。
「卵とささみとブロッコリーだけで、ひと月、生きてました(笑)。筋肉をちゃんとつけながら脂肪を減らすには、お勧めの食べ物ですね。
塩分を摂り過ぎると良くないので、味はつけずに、ごま油に塩をちょっとだけ足して、それにつけて食べていました。食事というより、仕事のためにエネルギーを補給する、という感覚ですね。
無になって食べる。なんか、家畜? みたいな(笑)。役のためという責任感やプレッシャーがありましたから」
さらに、ドラマ『サ道』に出演してから大好きになったというサウナの効果も、身体作りに役立ったそうで。
「筋トレのあとサウナに入ると、筋肉の疲労が早く取れますからね。はい、サウナの力も借りました(笑)」
どんなふうに仕上がったかは、映画を観てのお楽しみ。
「撮影が終わってから、焼き肉弁当とかラーメン、ハンバーガーやカレーライスを思いきり食べました。でも、まだちょっと他でも脱ぐ可能性があるらしくて・・・・」
そう、『サ道』とか『恋する母たち』とか、磯村さんにはそういう機会が最近、多い。
「なんででしょうね(笑)。そういう時期もあるのかなと思いながら、もうしばらくこういう食事が続くと思います」
実は磯村さん、料理の腕には自信あり。
以前、居酒屋の厨房でアルバイトをしていた経験もあるし、『ひよっこ』で演じたヒデはシェフ見習いという役柄だったので、キッチン経験は豊富。
だから自炊も苦にならない。
「毎年この寒い時期に、時間のない中でよく作るのは、長ネギとショウガと大根と鶏肉を圧力鍋で煮込んじゃう料理です。塩とお酒で味付けして和風にすることもあるし、中華系にすることもあります。簡単にできるし、身体が温まります。
あと、身体を内から温めるように、飲み物は白湯とか紅茶とか。なるべく冷やさないように心がけてます」
きっちりと自己管理できる人なのだ。メンタル、強いんですね!
「いや、そんなことないです。落ちるときは落ちますよ、人間ですからね。
大事なのは、落ちたときに、じゃあどうするのかだと思うんです。自分はポジティブなほうだとは思うんですが、ヤバイときはヤバイので、そういうときは身を任せて、とことん落ちます。
『あー、来た来た来た。どうするんだ、わー!』って自分の状況を認めて1回焦りまくってから、もう一度自信が持てるように、何が必要か考える。
余計なことを考えずに台本を読みまくるとか、とにかく何かに集中して、なにがなんでも、結局やるしかないんです」
ほんの少しの間インタビューしただけだけれど、しっかりしていて真面目で、自分の選んだ俳優という職業に真摯に向き合っているのが、よくわかる。
「高校生の頃から地元・沼津の劇団に所属して演技の勉強をしていたのですが、そこのメンバーの方たち、40代とか50代の大人の方たちから教えていただいたことが大きいです。
芸能界、生半可な気持ちでできるものじゃないって、ずっと言われていました。だからこそ、自分が良い俳優になる、という想いも強いんです。礼儀とか感謝の気持ちを忘れないということも、しっかり教えてもらいました。
ここまでうまくやってこられたのは、あのときの経験があったからだと思います」
そして、大人たちから学んだことが、もうひとつ。
「本当に好きなことをしていると、いくつになっても生き生きしているし、年を取らないんですね! みなさん本当に芝居が好きでやっている方々だったので、若くて元気で、魅力的な大人たちばかりでした。僕も、本当に好きなこの仕事を、一生続けていけたらと思っています」
『ヤクザと家族 The Family』
1999年、2005年、2019年と、変わりゆく3つの時代を通して描かれる、ヤクザになるしかなかった男・山本(綾野剛)の壮絶なヒューマンストーリー。父親を抗争で亡くし、幼い頃から山本に憧れていた翼(磯村勇斗)は、ヤクザが社会から排除される今、新しい世代ならではの生き方をしていた・・・。
2021年1月29日(金)より、全国公開
配給:スターサンズ/KADOKAWA
監督・脚本:藤井道人
出演:綾野剛、尾野真千子、北村有起哉、市原隼人、磯村勇斗/寺島しのぶ、舘ひろしほか
©2021『ヤクザと家族 The Family』製作委員会
公式サイト:https://yakuzatokazoku.com/