俳優というのは、想像以上に過酷な仕事。タイトなスケジュール、ハードな撮影。ロケ現場やスタジオも、寒かったり暑かったり遠かったり。あれこれとストレスもたまる。
30年以上、そんな中で日々を過ごしてきた鈴木京香さんは、自分の体に合う食事、自分の体に必要なケアを見つけて、きっちりと体調管理。今は快適な毎日を過ごしているという。
キレイな肌、見事なプロポーション、そしてハードな毎日を乗り切るエネルギーを、どうやって維持しているのだろう?
(鈴木さんが思う「実感年齢」について語った、インタビュー前編はコチラ)
撮影/萩庭桂太 ヘア&メイク/板倉タクマ スタイリスト/藤井牧子 取材・文/岡本麻佑
鈴木京香さん
Profile
すずき・きょうか●1968 年5月31日、宮城県生まれ。1989年、映画『愛と平成の色男』でデビュー。91年にはNHK連続テレビ小説『君の名は』でヒロイン真知子に抜擢され、以来、映画・ドラマ・舞台・CMと幅広く活躍中。現在放送中のNHK大河ドラマ『鎌倉殿の13人』(日曜・20時~)では、後白河法皇(西田敏行)の寵愛を受ける丹後局(たんごのつぼね)を演じている。
カツカレーをカレーに
変えるべきでしょうか?
鈴木京香さんのファンの間では、「カツカレーが大好物」と、知れ渡っているらしい。
「今はカレーになりましたけど(笑)、昔から揚げ物が大好きなんです。
取材のたびに「カツカレーが好き」と言っていたから、みなさんよく覚えてらして、ファンの方が描いてくださる私のイラストは、カツカレーを食べてたりするんですよ(笑)。だからそれにちょっと応えたい気持ちもあるので、まだそういう攻めの食生活もしていきたいんですよね。
重めの食事をしたら、それこそサプリメントをきちんととったり、前後の食事を控えめにして調整したり。そういうふうにしながら体調を整える自信みたいなものはありますね。
それに、好きなものって長年食べてきたわけだし、それで体調を崩すようなことがない限り、悪いものじゃないだろうという気持ちもあります。好きなものは食べていいんですよ、食べ過ぎさえしなければ(笑)」
最近の体調管理のポイントは、痩せてしまわないこと。
「以前は、体がむくみやすかったんです。ですから体重が増えたわけじゃないのに、画面に映ったときに、いつもの自分と違う感じに見えてしまう。でもきちんと栄養をとって、それで足りない分はサプリメントを補給しているうちに、そんなことも少なくなりました。
今は、痩せてしまうのが心配なんです。忙しいとどうしても痩せたりするので、やっぱりバランスよく栄養はとらなきゃと思っています」
運動に関しては、実は、あまり関心がなかったのだけれど。
「なにか始めるべきかな、と思ったのは30代半ばくらいです。成人してからは、運動というものをしてこなかったんです。忙しさにかまけて、まったく。
最初はパーソナルトレーニングで筋トレを始めました。今はマンツーマンのストレッチを週に1回、1時間半くらいやっています。もっと行きたいんですけど、それがなかなか。
筋トレも時間ができたらしたいですね。そうやって週に2日は運動したいとは思うんですけど」
疲れた体をストレッチするのは、気持ちいいだけじゃなく。
「自分の体の状態がわかるんです。その週にどういう仕事をして、どういう姿勢をしたのかで、あの時のくいしばりが良くなかったのかな、とか。あのロケの疲労がまだ残っているのかな、とか。そういうのがわかるんですね。
自分の中で自分に関することが理解できる、把握できるようになってきている。やはりそれは、年齢を重ねて、時間と経験を積み重ねてきたおかげなのだと思います」
ストレッチをすることで、さらにうれしいおまけがついてきた。
「肩こりが消えたんです。もともと肩や首がすごくこるので、エステサロンでマッサージしてもらうのが大好きだったんですね。でもジムに通って自分で体を動かしていると、マッサージしてもらうよりも調子がいいということに気がついて。マッサージしてもらう時間があったら、ジムに行くか散歩をしたほうがいいと思うようになりました」
食事と運動で自分を知り、整えて、あとはマインド。鈴木さんの趣味は現代アートの鑑賞なので、本来ならあちこち美術館巡りをしたいところだけど。
「今は我慢のときですものね。好きなアーティストの展覧会があるときは海外にでも足を伸ばすこともあったのですが、今はそれもできなくなりました。
でも家の中でも画集を開いたり、アートを楽しむことはできますし。そんなささやかなことでも、日常を離れてちょっとした旅気分になれるので、そうやってストレスを解消しています」
以前よりも快調で、心豊かに過ごしている50代。さて、これから鈴木さんは、どんなふうに人生を楽しんでいくのだろう?
「ここ数年が勝負、と思っています。年齢を重ねていくことは、まったく誰しも平等なことですから、この先、役がなくなるのか、できる役が増えていくのか、要は自分の生き方次第ですよね。なのでずっと演じる仕事をしていけるように、体作りを含めて、自分を充実させていく必要があると思うんです。
これからの私は、どんな役をやれるのか。おばあちゃんになったときに、何ができるのか。それを楽しみにできるくらい、きちんと仕事に向き合って行かないと。生半可な気持ちでは、あと20年やれるかどうか、わかりませんから」
きりっと、表情が引き締まった。