北村一輝さんが地獄のように苦手なものとは？（インタビュー／後編）

ちょっとコワモテ？なイメージだけど、役を離れた素の北村一輝さんはとってもフレンドリー。穏やかで知的な大人の男性だ。

スタイリッシュなコーディネートに身を固めて、50代には見えない締まった体。きっと健康にも意識が高いはず、と思ったら･･･。

意外な食生活と健康法を披露してくれた。

（映画と福山雅治さんの魅力について語った、インタビュー前編はコチラ）

撮影／富田一也　ヘア＆メイク／安井朋美(T-FACE)　スタイリスト／kaz(Balance)　取材・文／岡本麻佑

北村一輝さん
Profile

きたむら　かずき●1969年7月17日、大阪府生まれ。’99年『皆月』『日本黒社会 LEY LINES』でキネマ旬報新人男優賞など数々の賞を受賞。以降、映画、ドラマ、ＣＭで活躍中。近年の主な映画出演作品に『劇場版シグナル長期未解決事件捜査班』『るろうに剣心最終章 The Beginning』など。9月16日公開の映画「ヘルドッグス』にも出演。2023年 Netflix映画『ゾン100 ～ゾンビになるまでにしたい100のこと～』全世界配信予定。

北村一輝が

歳をとらない理由

9月16日公開の映画『沈黙のパレード』で捜査一課の刑事・草薙を演じる北村さんは、とってもスリム。贅肉なんか1グラムも感じさせない、見事なスーツ姿で登場している。

「今回、痩せました。作品の中で草薙は、食べ物なんか喉を通らない日々を過ごしているので、痩せていないと不自然じゃないですか。

クランクインする前に、運動して、走って、食べない、走って、食べないをくり返して、7キロくらい落としましたね。でもこれ、悪い痩せ方なんで、真似しないでくださいね(笑)」

役に応じて体を作るのは、俳優として当然のことらしい。

「でもまあ、つねに真面目にやるわけでもなくて。たとえばドラマでも、体を見せる場面があれば、そこだけなんとかする。今回は腕だけ、腹筋だけ、なんてね(笑)。鍛えるとすぐに筋肉がある程度つく体なんです。

逆に内面を出したい役のときは、あえて太りますね。だらーっとしているほうが、見ている人はそこに人間性を感じたりするんですよ」

「ふだんの食事は？」と質問したら、ちょっとバツの悪そうな顔をした。

「食べ物にも気をつけたいですが、野菜が苦手です(笑)。トマトとトウモロコシ、ブロッコリーとニンニクぐらいかな、好きなのは。それ以外、ほとんどの野菜は苦手です。『採れたての素材の味をぜひ』みたいに出されると、もう本当に地獄のようですね(笑)。

サラダはドレッシングとかマヨネーズをドバドバかけないと、食べられない。脂身ばかり食べますし、人が残した脂身まで欲しがりますし。でも辛いものとか、ニンニクとか、そういうパワーの出るものを食べていれば元気になると勝手に思い込んでいるので、野菜はジュースですませてみたり」

その代わりに、とっているのが。

「漢方薬は、飲んでます。『夏は鉄分を多めに』とか、『今日は炎天下のロケで倒れるわけにいかない』と思うと、1日2錠って書いてあるのを5錠飲んだりして。良くないのかもしれないけど、それだけで『よし、いける！』と」

漢方の効果をさらに高めているのが、内に秘めたメンタルの力。

「人間、意識ひとつですごく変わります。とくに僕はその傾向が強いらしくて、『これを飲めば元気になる』と思えば、確実に効くんです。

だから女性もね、高級化粧品とか最先端の美容医療とか、どんどん使えばいいと思う。大事なのはキレイになりたという意識だから。本当にそれを楽しんで、自信をつけてハッピーになって人にも優しくなれれば、その人はキレイに見えると思いますよ」

もうひとつ、元気の源は、十分な睡眠。

「むっちゃ寝ます。寝ようと思ったら10時間でも寝られますし、ふだんでも8時間は寝る。寝ないと無理なんですよ、昼間眠くなるから」

ジャケット¥182,600・シャツ¥48,400・パンツ¥165,000・ブーツ¥110,000／ヨウジヤマモト

今年53歳。年齢なんか関係なくカッコいいけれど、多少の衰えは感じることもあるという。

「正直、40代までは、20代の頃と比べて体力が落ちているとは感じてなかったですね。同年代の人と比べても、なんで自分はこんなに体力があるんだろうと(笑)。今でも世の中の50代に比べたら、むちゃくちゃ体力あると思うけど、この２年くらいで急激に落ちてきたような気もする。

でも、若さを失ったとしても、その“若さを失ったという新しい姿”で違う勝負ができると思っているから、そっちのほうが楽しみですね。もう若い俳優ができることは若い俳優に任せて、僕は僕で自分のペースで生きて、それを楽しめばいいのかなと」

体力の衰えを感じるとはいえ、20代の頃と、外見はあまり変わっていないような･･･。

「基本、顔の濃い人は歳をとりにくいといいますよね(笑)。僕、10代の頃からこんな顔で、30過ぎとか言われてました。まあこれは親にもらったものなので、十分に感謝しながら、この先の自分の顔は自分で作っていかなきゃいけないと思ってます。

ここから先の自分と、どう向き合うか。俳優として大事なポイントになっていくと思うので、もうちょっと人間的に成長しないとね(笑)」

『沈黙のパレード』

女子学生殺害の容疑者は、かつて警視庁捜査一課の刑事・草薙俊平(北村一輝)が担当した事件で完全黙秘をつらぬき、無罪となった男・蓮沼寛一(村上淳)。蓮沼は今回も黙秘し、証拠不十分で釈放され、女子学生の住んでいた町に戻ってきた。町全体を覆う憎悪の空気・・。そして夏祭りのパレード当日、事件が起こる。天才物理学者・湯川学(福山雅治)は、沈黙に隠された真実を解き明かすことができるのか？